2025年01月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.903 『コーヒー栽培を巡る2050年問題への対策!』
昨年8月26日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコーヒー栽培を巡る2050年問題への対策について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

世界中で多くの人に親しみられているコーヒーですが、今、ある問題に直面しています。
地球温暖化などの影響でコーヒー栽培に適した土地が大幅に減ることが予想されているんです。
2050年にはコーヒー栽培に適した土地が現在の50%にまで縮小するという、いわゆる2050年問題に向け、今、企業が対策を打ち出しています。

東京・渋谷区にあるカフェ・バーae(アッシュ)では今日(昨年8月26日)、日本での発売が発表されたのがサステナブル・エスプレッソ、コーヒー豆を使わない、コーヒー味の飲み物、代替コーヒーです。
Atomo Coffee(アトモ コーヒー)のエド・ホーンCOOは次のようにおっしゃっています。
「分子レベルで開発した実際のコーヒーと同じだ。」

開発したのは、アメリカのスタートアップ企業、アトモ コーヒー。
通常は廃棄されるナツメヤシの種子など12種類を粉末化し、カフェインを加えて再現しました。
従来のコーヒー栽培に比べてCO2排出量を83%削減出来るといいます。
商品開発の背景にあるのが・・・
ホーンCOOは次のようにおっしゃっています。
「ほとんどの消費者はコーヒー業界が大きな課題を抱えていると知らない。」
「業界では、それを「2050年問題」と呼んでいる。」

温暖化などの影響により、世界のコーヒー豆の栽培適地が2050年には50%ほどに減少すると予測されています。
コーヒーの価格も既に大幅に上昇していて、生産量の減少が懸念されています。
サステナブル・エスプレッソ、肝心のその味は・・・
日本での販売は渋谷にある、こちらの店舗だけですが、ホーンCOOは販路の拡大に向けて動き出しています。
発表会終了後、その足で向かったのは、アトモ コーヒーの販売に向けた商談です。
COO自ら、商品の特徴を説明し、実際に試飲してもらいました。
グッドグリーンカンパニーの磯井駿さんは次のようにおっしゃっています。
「(私たちの店は)サステナブルな部分に目を向けている方も多いので、いろいろと試験的な導入も含めて、試していきたい。」

アトモ コーヒーは、2026年までに1000店舗に商品を導入する目標に掲げています。
また、家庭向けにドリップコーヒー用の商品も年内に販売する予定です。
「私たちはコーヒーが直面するサプライチェーンの問題を抱えている。」
「コーヒーの供給量の減少を背景に今後20年〜30年の間に克服しないといけないコーヒー産業と一緒に、この商品を作りたい。」

ということで、コーヒー業界が2050年問題への危機感を持ち始めているわけなんですが、この2050年問題とは何なのか、あらためて見ていきましょう。

コーヒー豆というのは現在、北緯25度〜南緯25度の地域でのみ栽培されていて、この一帯はコーヒーベルトと呼ばれています。
もし、地球温暖化がこのまま進みますと、気温や湿度の上昇、降雨量の減少などを引き起こし、豆の品質が下がって、コーヒーにとって深刻な病気も発生し易くなります。
その結果、コーヒーの生産量が大きく減少する恐れがあります。
例えば、世界一のコーヒーの生産量を誇るブラジルですけども、栽培に適した土地がこれだけあるんですけども(こちらの地図のピンクと赤の部分)、2050年にはこの赤の部分、南側の一部に限定されてしまうという予測もあるんです。
もし、世界中でこうした影響が広がった場合、喫茶店などで使われる「アラビカ種」(添付参照)と呼ばれるコーヒーなどの栽培地は2050年になんと半分に減ってしまう可能性があるといいます。
既にコーヒー価格は大きく上昇していまして、この先、更なる高騰のリスクも高まっています。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(コーヒー栽培の2050年問題)
・コーヒー豆は現在、北緯25度〜南緯25度の地域でのみ栽培されており、この一帯はコーヒーベルトと呼ばれている
・もし、地球温暖化がこのまま進むと、気温や湿度の上昇、降雨量の減少などを引き起こし、豆の品質が下がって、コーヒーにとって深刻な病気も発生し易くなる
・その結果、コーヒー栽培に適した土地が大幅に減少し、コーヒーの生産量が大きく減少する恐れがある
・コーヒーの価格も既に大幅に上昇していて、生産量の減少が懸念されている
・2050年にはコーヒー栽培に適した土地が現在の50%にまで縮小すると予測されている

(2050年問題に向けた企業の対策)
・昨年8月26日、サステナブル・エスプレッソ、コーヒー豆を使わない、コーヒー味の飲み物、代替コーヒーの日本での発売が発表された
・日本での販売は渋谷にあるカフェ・バーae(アッシュ)だけだが、販路の拡大に向けて動き出している
・開発したのは、アメリカのスタートアップ企業、アトモ コーヒーである
・通常は廃棄されるナツメヤシの種子など12種類を粉末化し、カフェインを加えて再現した
・従来のコーヒー栽培に比べてCO2排出量を83%削減出来るという
・アトモ コーヒーは、2026年までに1000店舗に商品を導入する目標に掲げている
・また、家庭向けにドリップコーヒー用の商品も年内に販売する予定である

なお、コーヒーの愛好者数は世界で10人に1人程度といいますから(添付2参照)、コーヒー栽培を巡る2050年問題は世界中のコーヒー愛好家にとって無視出来ません。
そうした中、アメリカのスタートアップ企業、アトモ コーヒーがコーヒー豆を使わず、通常は廃棄されるナツメヤシの種子など12種類を粉末化し、カフェインを加えてコーヒー味を再現したのです。

今後とも地球温暖化の進行で、コーヒー以外にも様々な農作物や海産物といった、私たちが普段食べている食料となるものが急速に減少していくと見込まれるのです。
ですから、いろいろな食べ物の代替食品が今後、次々に誕生してくるというわけです。

なお、こうした状況をプロジェクト管理の観点から言えば、いかに地球温暖化の進行を抑えて様々な農作物や海産物が無くなることを防ぐか、その対応策がリスク管理であり、無くなってしまった農作物や海産物の代替食品を新たに開発する行為がコンティンジェンシープランと位置づけられるのです。
そして、現状はリスク管理がとても現状に追いつかない状態にあり、世界的に異常気象の被害が拡大しており、その一つが様々な農作物や海産物が無くなっていくことなのです。


添付1)

「アラビカ種」とは?
ChatGPT

アラビカ種(Coffea arabica)は、コーヒーの植物の一種で、世界中で生産されるコーヒーの約60〜70%を占める主要な品種です。この種は、その高品質な風味とバリエーション豊かな味わいで知られ、プレミアムコーヒーやスペシャルティコーヒーの多くに使用されています。
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アラビカ種の特徴
1. 風味
o 豊かな香りと複雑な風味を持つ。
o 酸味が適度に感じられ、フルーティーや花のような香りが特徴的。
o 品種や栽培地域によって味わいが異なるが、一般的にはマイルドで甘みがある。
2. 栽培環境
o 高地での栽培を好み、標高800〜2000メートルのエリアで育てられる。
o 温暖な気候と湿度の高い環境が適している。
o エチオピア、ラテンアメリカ(ブラジル、コロンビアなど)、アフリカのケニアやタンザニア、アジアの一部地域(インドネシアなど)で広く栽培されている。
3. 形状
o 豆は平らで細長く、中心に独特のS字型の線が見られる。
4. カフェイン含有量
o カフェイン含有量は、もう一つの主要品種であるロブスタ種に比べて少ない。
o マイルドな味わいを生む一因となっている。
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アラビカ種と他のコーヒー種との比較
1. ロブスタ種(Coffea canephora)との違い
o 風味: アラビカ種は複雑で繊細、ロブスタ種は苦味が強くシンプルな味わい。
o 耐病性: アラビカ種は病害虫に弱いが、ロブスタ種は耐性が高い。
o 栽培条件: アラビカ種は高地が必要、ロブスタ種は低地でも育つ。
o 価格: アラビカ種の方が高価で取引される。
2. リベリカ種(Coffea liberica)
o あまり流通していないが、独特の風味を持つ。
o 栽培地域や利用が限られる。
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アラビカ種の歴史
• 起源: エチオピアが原産地で、そこからイエメンやアラビア半島を経て世界中に広まった。
• 普及: 17世紀以降、ヨーロッパの商人によって東南アジアやラテンアメリカに持ち込まれ、現在のように広く栽培されるようになった。
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アラビカ種のメリット
1. 高品質なコーヒーの提供が可能。
2. 多様な風味プロファイルが楽しめる。
3. スペシャルティコーヒー市場での需要が高い。
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アラビカ種は、コーヒー愛好者やバリスタの間で特に人気のある品種です。その優れた味わいとバリエーションが、コーヒー文化を豊かにしています。

添付2)

コーヒーの愛好者数は世界でどのくらいか?
ChatGPT

世界全体でのコーヒー愛好者の正確な人数を特定するのは難しいですが、コーヒーの消費量に関するデータからその規模を推測することが可能です。
国際コーヒー機関(ICO)のデータによれば、2023年の世界のコーヒー消費量は60kg袋で1億7,560万袋に達し、これは1日約22億5,000万杯に相当します。
ドリコ
この数字から、世界中で数億人規模の人々が日常的にコーヒーを楽しんでいると推測できます。
さらに、国別の消費量を見てみると、EUが年間41,000袋で最も多く、次いでアメリカが27,000袋、日本は4位で7,200袋となっています。
Coffee Monster Yokohama
一人当たりのコーヒー消費量では、フィンランドやノルウェーなどの北欧諸国が上位を占めています。
Holly's Corp
これらのデータから、コーヒーは世界中で広く愛され、多くの人々の日常生活に欠かせない飲み物であることがわかります。

 
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