2024年12月20日
アイデアよもやま話 No.6083 IOWNが国際回線として初めて台湾開通したことの意味するもの!
8月30日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でIOWNが台湾との間で開通したことについて取り上げていたのでご紹介します。 

通信大手のNTTが進めている光通信技術を使った次世代通信基盤、IOWN(添付1参照)が初めて国際回線として、日本と台湾の間で開通しました。
なぜ、最初の開通先が台湾だったのか、経済安全保障の思惑もからんだIOWN開通の舞台裏を追跡取材しました。

8月29日、NTT武蔵野研究開発センターで台湾と日本をつなぐ革新的なネットワークが発表されました。
NTTが中心になって開発する次世代通信基盤、IOWN、8月29日、台湾の通信大手、中華電信のデータセンターと接続しました。
その距離、約3000kmをわずか0.017秒でつなぎます。
IOWNとして、初めて海外とつながったことになります。
IOWNとは、電気信号を光に置き換える次世代の通信技術で、従来の通信と比べて容量は将来的に125倍に。
通信の遅れもほとんどなくなるといいます。
更に消費電力も100分の1に。
スマホの充電は年に1回すれば、よくなるとも言われています。
NTTの川添雄彦副社長は次のようにおっしゃっています。
「IOWNの展開、並びに活動が台湾と日本の業界・産業の発展と成功に寄与することを心から願っています。」

この革新的な技術であるIOWNをNTTは、なぜ最初に台湾とつなげたのか。
台湾有事と半導体、日本経済にとっても深刻な影響を与えかねないリスクへの対処。
経済安全保障が関係していたのです。
川添さんは次のようにおっしゃっています。
「(仮に)台湾有事があった時に、今でも彼らは台湾だけの企業ではなくて、グローバルに大きな役割を果たしている企業ですから、そこが損なわれてしまうと大きなダメージを受ける。」

8月29日、日本と台湾の間で初めて開通したNTTの次世代通信網基盤、IOWN。(添付2参照)
電気信号を光に替える、このIOWNは、そもそもどんな技術なのか。
開発の最前線、NTT厚木研究開発センター(神奈川県厚木市)にテレビ東京のカメラが初めて入りました。
NTTの松尾慎治フェローは次のようにおっしゃっています。
「指に乗るぐらいの非常に小さなチップでございます。」

見せてくれたのはシリコンの基盤。
ここに目に見えない細い回路が埋め込まれています。
それを特殊な機械にセットし、針から電気を流します。
松尾さんは次のようにおっしゃっています。
「電流を流すと、光が出ます。」
「電気信号が光に変換されて、導波路を通って、ここから出力される。」

左側は電気信号から変換された光、これが回路を通って画面右の丸い光となって出力されます。
間をつなぐ回路が光ってないのは、それだけ漏れがなく、光に変換した証拠だといいます。
松尾さんは次のようにおっしゃっています。
「電気だとここでいろいろ消費するんですけど、光だとここでほとんど損失なく伝えることが出来ます。」

NTTは、あらゆる電化製品などに、このIOWNの技術を組み込むことで圧倒的な低消費電力の実現を目指しています。
8月28日、NTT武蔵野研究開発センターで、初めて日本と海外がIOWNでつながる明日(8月29日)のセレモニーを前に、今、最終的なリハーサルが行われているところです。
IOWNは低消費電力であることとともに大容量のデータを遅延なく遅れるのも特徴。
通常のインターネット回線と比べ、IOWNだと、ほぼ遅れがないことが分かります。

ではなぜ台湾との開通を急いだのか。
NTTでIOWNの開発を指揮する川添副社長にその狙いを聞きました。
「今、非常にIOWNを使うニーズが高まっているのがデータセンターの間をつなぐ用途なんですよ。」
「データをバックアップして、いろんなところに保存していくってこともあるので、これが光でつながると、あたかも一つの大きなコンピューターが存在するかのように同時に、そのプロセスが進んでいく。」

日本と台湾のデータセンターを光でつないで、ほぼ遅延のないデータ送信を実現する“一つのコンピューター構想”があるといいます。
川添副社長は次のようにおっしゃっています。
「(こうした背景に台湾有事を想定されているのかという問いに対して、)私の口からは、それははっきり言えないと思うんですけど、いろんなところにバックアップ体制とか拠点をつくっておくことは実際に実施していると思いますから、それにつながるかなと思います」。

そこで台湾の中華電信のトップにIOWN開通の意図を尋ねると、有事の際には台湾企業のデータをIOWNを通じて日本に移すことも想定しているようです。
中華電信の郭水義会長は次のようにおっしゃっています。
「IOWNによって自然災害などの緊急時に企業の持続、事業継続計画(BCP)を実行出来る。」
「これは非常に意義がある。」

こうした有事を想定した民間の連携を裏で支えているのが国。
自民党 経済安全保障推進本部長の甘利元幹事長(番組放送当時)は次のようにおっしゃっています。
「例えば、九州にあるデータが自然災害の影響受けて大変なことになると予測出来たら、分単位で大量のデータを台湾に移送出来るわけですよね。」
「これが非常に経済安全保障上は有利な点。」

様々な思惑を乗せて動き始めた光の技術、IOWN。
NTTは経済安保を追い風にビジネスとしても“勝ち筋”を見出すことが出来るのでしょうか。
経済安全保障の分野では「戦略的不可欠性」という言葉があるます。
IOWNは、まさに国際社会にとって不可欠な通信インフラになることを目指しているわけです。
で、最初にタッグを組むのが半導体の分野で既に不可欠な存在いなっている台湾だというのも(取材を通じて)印象的でした。
経済ジャーナリストの後藤達也さんは次のようにおっしゃっています。
「素晴らしい技術なんですけども、今の段階では、ちょっとコストが高いというところがネックですよね。」
「かなり普及してくるようになってくると単価も下がってくるので新たに採用するところも増えてくるっていう好循環になるかと思いますので、スピーディに広げられるかがカギになると思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(IOWNが国際回線として初めて台湾と開通)
・NTTが中心になって開発する次世代通信基盤、IOWNが8月29日、台湾の通信大手、中華電信のデーターセンターと接続した
 -IOWNとして、初めて海外とつながったことになる

(IOWNの性能)
・通信の遅れもほとんどなくなるという
 - 日本ー台湾間の距離、約3000kmをわずか0.017秒でつなぐ
 -通常のインターネット回線と比べ、IOWNだと、ほぼ遅れがないことが分かる
・IOWNとは、電気信号を光に置き換える次世代の通信技術で、従来の通信と比べて容量は将来的に125倍になると見込まれる
・更に消費電力も100分の1になると見込まれる
 -スマホの充電は年に1回すれば、よくなるとも言われている

(IOWNが世界初で台湾と開通した理由)
・今回、この革新的な技術であるIOWNをNTTは、なぜ最初に台湾とつなげたのか、その理由は経済安全保障である
 -仮に台湾有事があった時に、今でも彼らは台湾だけの企業ではなく、グローバルに大きな役割を果たしている企業なので、そこが損なわれてしまうと大きな影響が出ることになる
 -日本と台湾のデータセンターを光でつないで、ほぼ遅延のないデータ送信を実現する“一つのコンピューター構想”がある

(今後のIOWN活用の狙い)
・NTTは、あらゆる電化製品などに、このIOWNの技術を組み込むことで圧倒的な低消費電力の実現を目指している
・NTTは経済安保を追い風に、IOWNが国際社会にとって不可欠な通信インフラになることを目指している
 -最初にタッグを組むのが半導体の分野で既に不可欠な存在いなっている台湾である
・台湾の中華電信のトップは、IOWN開通の意図について、以下のように述べている
 -有事の際には台湾企業のデータをIOWNを通じて日本に移すことも想定している
 -自然災害などの緊急時に企業の持続、事業継続計画(BCP)を実行出来る

(有事を想定した民間の連携を裏で支えている政府)
・自民党 甘利前経済安全保障推進本部長(現在は半導体戦略推進議員連盟の名誉会長)は、台湾とのIOWN開通は経済安全保障上は有利な点と述べている
 -例えば、九州にあるデータが自然災害の影響受けて大変なことになると予測出来たら、分単位で大量のデータを台湾に移送出来る

(経済ジャーナリスト、後藤さんの指摘)
・IOWNは素晴らしい技術だが、今の段階では、ちょっとコストが高いのがネックである
 -「かなり普及してくると単価も下がり、新たに採用するところも増えてくという好循環になるので、スピーディに広げられるかがカギになる

要するに、NTTが進めている光通信技術を使った次世代通信基盤、IOWNは以下の点で画期的なのです。
・従来の通信と比べて容量は将来的に125倍になると見込まれる
・消費電力も100分の1になると見込まれる

こうした優れたIOWNの技術は以下のような活用が考えられるのです。
・あらゆる電化製品などにIOWNの技術を組み込むことで圧倒的な低消費電力が実現出来る
・国家や民間企業などの重要な大量のデータのバックアップが距離の制約なく短時間で出来る
・台湾有事は日本有事と言われる中、中国による台湾侵攻の際、台湾の国家や民間企業などの重要な大量のデータの日本国内へのバックアップが短時間で出来る

更に今後の展開として、将来的には以下のような活用が考えられるのです。(添付3参照)
・アジア太平洋地域への展開:台湾を拠点として、東南アジアや他のアジア諸国へのIOWNネットワーク拡大が見込まれる
・次世代アプリケーション:自動運転やスマートシティ、AIの分野で、IOWNの低遅延・大容量通信が鍵となる

ということで、IOWNには世界規模で、電化製品や自動運転、スマートシティ、AI、更には国家、および経済といった安全保障の分野において幅広い活用が期待出来るのです。
そういう意味では、“IOWN革命”とも言えそうです。
なお、今後の計画と展望も含めたNTTによるIOWN開発の経緯については添付4を参照下さい。


添付1)

IOWNとは(詳細に)?
ChatGPT

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の詳細について、各要素や技術的背景をさらに掘り下げて説明します。
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1. オールフォトニクス・ネットワーク(All Photonics Network)
光信号を通信の中心に据え、電気信号を極力排除することで、以下のような革新をもたらします:
• 光トランスミッションの徹底活用: 現在の通信網では、データの送受信や処理において電気信号と光信号の変換が繰り返されます。この変換が遅延とエネルギー消費を生む要因となっています。
オールフォトニクス・ネットワークでは、データ処理から通信に至るすべてを光で行うことで、通信速度を10倍以上に向上させ、遅延を最小限に抑えます。
• 消費電力の削減: 光通信は電気通信に比べ、消費電力が極めて少ないため、従来のシステムの約1/100の省電力化を目指しています。これにより、データセンターなどの巨大なエネルギー消費源を効率化できます。
• 大容量通信: 動画配信サービスの高解像度化(8Kや16K)、IoTデバイスの普及、AI処理の増加に対応するため、現在の通信容量を大幅に超えるペタビット(1秒あたり100万ギガビット)規模のデータ転送を目標としています。
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2. デジタルツインコンピューティング(Digital Twin Computing)
現実世界の物理データを仮想空間にリアルタイムで反映し、シミュレーションや予測分析を可能にする技術です。
• リアルタイム連携: センサーやIoTデバイスから収集されたデータを元に、建物、人間、環境などの「デジタルツイン」を構築。これをリアルタイムで更新することで、現実世界の挙動を仮想空間で正確に再現します。
• 高度なシミュレーション: 例えば、都市計画では交通の流れをシミュレーションして渋滞を予測・回避する方法を模索したり、自然災害に対する事前対策を立てたりできます。また、医療分野では、患者の体内環境をデジタル化し、治療効果を事前にシミュレーションすることも可能です。
• 複数未来の解析: 従来のシステムでは、現実の再現や過去の分析にとどまることが多いですが、IOWNでは複数の未来シナリオを同時並行で解析することができます。これにより、高精度の予測と計画策定が可能になります。
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3. コグニティブ・ファウンデーション(Cognitive Foundation)
AI技術を活用し、ネットワークやシステムの管理・運用を最適化します。
• 自律的な最適化: 通信状況、利用者の需要、デバイスの状態をリアルタイムで解析し、最適なリソース配分を自動的に行います。例えば、通信が集中するエリアで一時的に帯域幅を広げるなど、柔軟な対応が可能です。
• セキュリティとプライバシー保護: AIによる高度な監視と異常検知により、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぎます。また、ユーザーのプライバシーに配慮した分散型のデータ処理モデルも採用予定です。
• 新しいサービス提供: 利用者のニーズや行動パターンを学習し、最適なサービスを予測して提供することができます。これにより、カスタマイズされた体験を提供する「個別化サービス」の実現が期待されます。
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IOWNがもたらす社会的インパクト
1. 産業革命的な変化:
o 通信の高速化と低遅延化により、医療(遠隔手術)、自動運転、スマートシティなど、従来の制約を超えた応用が可能になります。
2. 環境負荷の低減:
o オールフォトニクス・ネットワークの省エネルギー設計により、通信業界全体のカーボンフットプリントを大幅に削減。持続可能な社会の実現に寄与します。
3. 新しい経済活動:
o デジタルツインコンピューティングによるリアルタイム分析は、物流や製造業、エンターテインメント、金融業界にも革新をもたらし、新しい価値創造を促進します。
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IOWNの実現に向けたステップ
1. 2020年代前半:
基本技術の研究開発と一部実証実験を開始。
o IOWN Global Forum設立(2019年)
o 初期段階の技術普及と標準化推進。
2. 2020年代後半:
光ネットワーク技術の実用化と商業導入。主要パートナー企業との連携を拡大。
3. 2030年以降:
オールフォトニクス・ネットワークの全面展開、デジタルツインコンピューティングやコグニティブ・ファウンデーションを統合した完全なIOWNプラットフォームの実現。
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この構想は、NTTが単独で進めるだけでなく、IOWN Global Forum(参加企業:Intel、Sony、Ericssonなど)を通じて、グローバルな規模で研究開発が進められています。質問やさらに知りたい技術的詳細があれば教えてください!

添付2)

日本と台湾を結ぶIOWNネットワークとは具体的にどのようなものなのか?
ChatGPT

日本と台湾を結ぶIOWNネットワークは、次世代のオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の一部として、光通信技術を最大限に活用した国際通信回線(添付3参照)です。従来の通信回線と比較して、大容量、高速、低遅延、省電力の特性を持ち、特に次のような特徴や背景があります:
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1. 技術的特徴
光信号ベースの通信
従来の通信システムは電気信号と光信号を相互に変換する工程があり、これが遅延やエネルギー消費の原因となっていました。IOWNでは、通信回線全体を光信号のみで構成し、以下を実現します:
• 超高速通信:大容量データ(映像、AIモデルなど)をリアルタイムで送受信可能。
• 低遅延:片道の遅延が17ミリ秒と、従来の国際通信よりも大幅に短縮。
• 省電力:光通信特有の効率性により、消費電力を大幅に削減。
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専用線に近い高いセキュリティ性
国際間の光通信回線として、セキュリティ面が強化されています。
• 暗号化技術:光通信特有の物理層暗号化により、盗聴やデータ改ざんのリスクを低減。
• 信頼性:光ファイバー回線の安定性を活用し、災害時や障害発生時にも迅速な復旧が可能。
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データセンター間の接続
IOWNネットワークは、特にデータセンター間の接続に最適化されています。
• バックアップと冗長化:日本と台湾のデータセンター間でリアルタイムなデータの複製やバックアップが可能。
• 災害時の事業継続:自然災害やサイバー攻撃時でも通信網が維持され、迅速な復旧支援が可能。
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2. 活用例と期待される効果
産業分野
• 半導体分野の連携強化:日本と台湾は世界の半導体サプライチェーンの要であり、IOWNネットワークにより、製造プロセスや研究開発の効率化が期待されます。
• 物流・製造業:リアルタイムのデータ共有による効率的なサプライチェーン管理。
学術・研究分野
• 共同研究:デジタルツインやAI分野での日台間のリアルタイムなデータ交換が可能に。
• 天文や気候変動研究:高精度のデータ処理と共有が迅速化。
医療・ヘルスケア
• 遠隔医療:超低遅延通信により、高度医療技術の共有や遠隔手術が可能に。
• 医療データ共有:医療画像や患者データの安全かつ迅速な転送。
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3. 国際連携と地政学的意義
台湾との特別な関係
台湾は半導体製造の中心地であり、特にTSMC(台湾積体電路製造)がその代表例です。IOWNネットワークは、日本と台湾間の経済・技術的連携を深めるインフラとして重要な役割を果たします。
• 経済安全保障:サイバー攻撃や国際的な緊張が高まる中で、安定した通信インフラが両国の経済的自律性を支えます。
• 災害対応:地震や台風などの自然災害が頻発する日本と台湾にとって、災害時のデータ共有は復旧活動を迅速化します。
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4. 今後の展開
さらなる拡張
• アジア太平洋地域への展開:台湾を拠点として、東南アジアや他のアジア諸国へのIOWNネットワーク拡大が見込まれます。
• 次世代アプリケーション:自動運転やスマートシティ、AIの分野で、IOWNの低遅延・大容量通信が鍵となります。
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この日本と台湾を結ぶIOWNネットワークは、単なる技術革新にとどまらず、経済安全保障や国際連携、産業振興においても大きな意義を持っています。技術の詳細や関連分野についてさらに深掘りしたい場合はお知らせください!

添付3)

光通信技術を最大限に活用した国際通信回線とはどんなもので作られているのか?
ChatGPT

光通信技術を最大限に活用した国際通信回線は、以下の主要な構成要素と技術で構築されています。これにより、高速、低遅延、大容量、省電力の通信が可能になります。
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1. 光ファイバーケーブル
素材と構造
• 光ファイバー:
石英ガラスやプラスチックで作られた極めて細いケーブル。光信号を伝送するためのコアと、それを覆うクラッド(屈折率を調整するための層)で構成されています。
• 被覆材:
ケーブルの保護と強度を高めるための素材。海底ケーブルの場合、耐水性や耐圧性が必要です。
特性
• 低損失:長距離でも信号が劣化しにくい(一般的に1kmあたり0.2dB以下)。
• 大容量:1本の光ファイバーで複数の波長を使用(波長分割多重:WDM)することで、1秒あたり数テラビット以上のデータ伝送が可能。
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2. 海底ケーブル
国際通信では、光ファイバーケーブルが海底に敷設され、陸地間を接続します。
海底ケーブルの設計
• 多層構造:
ケーブルは光ファイバーコア、スチールワイヤー、ポリマー被覆、耐圧シールドなど複数の層で保護されており、海底の圧力や物理的な損傷から守られます。
• リピーター(信号増幅装置):
長距離伝送時に光信号を増幅するための装置。約50〜100kmごとに設置され、信号劣化を防ぎます。
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3. 光通信技術
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)
• 1本の光ファイバーに複数の波長(色)の光を重ねて伝送する技術。
• 各波長が独立したデータチャネルを持ち、通信容量を飛躍的に増加。
コヒーレント通信技術
• 光信号の振幅、位相、周波数を利用して情報を効率的に伝送。
• 従来のオン・オフキーイングに比べ、長距離伝送と高い耐ノイズ性を実現。
光増幅器
• 信号劣化を防ぐために光信号を直接増幅。代表的な技術に**EDFA(エルビウムドープファイバーアンプ)**があり、光信号を電気信号に変換せず増幅可能。
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4. 光ネットワーク装置
光スイッチとルーター
• 光信号を電気信号に変換することなく、直接ルーティングやスイッチングを行う装置。
• 「オールフォトニクス」と呼ばれるこの技術により、遅延を大幅に削減。
トランスポンダ(変復調装置)
• 光ファイバーと電子機器を接続し、データを送受信。光信号を異なるフォーマットに変換して伝送。
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5. サポートインフラと管理技術
データセンターの統合
• 国際通信回線の終端は、データセンターで処理されます。
• 光通信技術を活用した高効率データセンターは、低遅延でリアルタイムの通信を可能にします。
ネットワーク管理
• SDN(Software-Defined Networking):
ソフトウェアでネットワークの構成と制御を行う技術。柔軟で効率的な通信経路の設定を可能にします。
• AIと自動化:
異常検知やトラフィック管理にAI技術を活用。通信の安定性を向上させます。
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6. 次世代要素
フォトニックインテグレーション
• 光回路を半導体チップ上に集積する技術。
• 小型化・高効率化を実現し、次世代光通信システムの基盤技術となる。
量子暗号通信
• 光通信におけるセキュリティ技術として注目される「量子鍵配送(QKD)」を統合。
• 完全なデータ保護を実現。
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IOWNネットワークの特別性
• 国際通信回線として、IOWNは光通信の利点を最大限に活用しつつ、従来技術よりも省電力性、低遅延、大容量、高信頼性を追求しています。
• 特に、デジタルツインやAI時代に対応するため、これまでのインターネット基盤を刷新する通信技術として位置付けられています。
もし具体的な要素をさらに深掘りしたい場合や関連情報をお知りになりたい場合は、お知らせください!

添付4)

NTTによるIOWN開発の経緯は?
ChatGPT

NTTによる**IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)**の開発は、未来の情報通信基盤を再構築し、既存技術の限界を突破するための重要な取り組みです。その詳細な経緯を、技術的・戦略的な観点も含めて以下に説明します。
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1. IOWN構想の背景
(1) デジタル社会の課題
• データ通信量の急増:
5G、IoT、AIの普及により、世界中のデータ通信量は爆発的に増加しています。Ciscoの予測では、2030年には現在の数百倍の通信需要が発生するとされています。
• 消費電力の増加:
現在のインターネット技術は電子技術に依存していますが、通信量が増えるにつれ、データセンターや通信インフラのエネルギー消費も大幅に増加。持続可能性が懸念されています。
• 低遅延と高信頼性の要求:
自動運転車、スマートシティ、遠隔医療などの新しいアプリケーションには、既存ネットワークでは対応できない極めて高い性能(ミリ秒単位の遅延や無停止の信頼性)が求められています。
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(2) 光通信技術の可能性
NTTは、電子技術ではこれらの課題を解決できないと判断し、通信と計算の基盤を電子から光へ移行させるビジョンを立てました。光通信は、以下の特徴を持ちます:
• データ伝送の高速化(電子の限界を超える)
• 低消費電力化(電子回路のエネルギー損失を削減)
• 長距離通信の効率性(減衰が少ない)
________________________________________
2. 開発の経緯
(1) 2019年: IOWN構想の発表
NTTは、次世代通信基盤として「IOWN構想」を発表しました。以下の主要要素から成り立っています:
1. All-Photonics Network (APN):
o 通信や計算処理の大部分を光技術で行うネットワーク。
o 光技術を徹底活用することで、データ遅延を最小限に抑え、消費電力を従来の100分の1に削減。
2. Digital Twin Computing (DTC):
o 現実空間をリアルタイムで仮想空間に反映し、シミュレーションや高度な予測を可能にする技術。
o 例:都市全体の交通をデジタル上で再現し、渋滞の予測や効率化を実現。
3. Cognitive Foundation (CF):
o ネットワークとAIを統合し、ユーザーやアプリケーションの要求に応じた最適なリソース配分を行う基盤。
o 例:低遅延を必要とするアプリケーションに優先的に帯域を割り当てる。
________________________________________
(2) 2020年: IOWN Global Forumの設立
• 目的:
グローバルな標準化と技術普及を進めるため、NTTは「IOWN Global Forum」を設立しました。
• 参加企業:
Intel、Sony、Ericsson、Microsoftなどの世界的企業が参加し、IOWN技術の標準化や研究開発に協力。
• 主な活動:
技術仕様の策定、産業応用の検討、国際協力の推進。
________________________________________
(3) 2021-2023年: 実証実験の開始
• All-Photonics Networkのテスト:
日本国内でプロトタイプネットワークを構築し、光通信技術による省エネルギー効果や遅延削減の実証に成功。
• エネルギー効率:
光通信を使用したネットワークにより、エネルギー消費を従来の10分の1以下に削減するプロトタイプを実現。
• 産業分野での応用:
o 遠隔医療: 超高精細映像を低遅延で共有可能なネットワークを活用。
o スマートシティ: 交通、エネルギー管理、災害対策での活用。
o 農業: 高精度なセンサーとネットワークを通じた農業支援。
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(4) 技術進展と新分野への挑戦
• 光メモリ技術: データストレージにも光技術を導入し、従来の電子デバイスを代替。
• 空間通信: 衛星通信や宇宙空間通信における光通信技術の応用。
• 自動運転支援: 超低遅延通信により、車車間通信(V2V)やインフラとの連携(V2I)を強化。
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3. IOWNの特徴と技術的メリット
(1) All-Photonics Networkの特徴
• 超低遅延: 光信号を直接活用することで、電子変換による遅延を排除。
• 高信頼性: 光信号の劣化が少なく、大量データを安全かつ効率的に伝送。
• 大容量: 現在のネットワークと比較して約100倍のデータ処理能力。
(2) 省エネルギー性
• 光通信の活用により、全体のエネルギー効率が劇的に向上。
• データセンターや通信インフラの電力消費を削減し、カーボンニュートラル目標に貢献。
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4. 今後の計画と展望
(1) 2030年までの目標
• IOWNを基盤とした社会インフラの構築。
• スマートシティ、自動運転、ヘルスケア、農業分野での本格的導入。
(2) グローバル展開
• IOWN技術の国際標準化を推進し、主要なIT企業や国と連携。
(3) 社会的な影響
• 経済: 新産業の創出と既存インフラの効率化。
• 環境: エネルギー消費削減による温室効果ガス排出削減。
• 生活: より快適で安全な社会環境の実現。
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IOWNは、単なる通信インフラの進化に留まらず、社会全体を変革するインパクトを持つ構想です。NTTはこれを実現することで、デジタル社会の新たな基盤を築くことを目指しています。

 
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