2024年11月01日
アイデアよもやま話 No.6041 “生きた皮膚”の顔ロボット!?
7月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“生きた皮膚”の顔ロボットについて取り上げていたのでご紹介します。 

東京大学(東京・文京区)の竹内昌治教授は次のようにおっしゃっています。
これは、今から取り上げますけども、“生きた皮膚”を表面に持つ顔面の構造体です。」

この皮膚はヒトの細胞から培養したものです。
培養皮膚を人型ロボットに貼り付けて、人の皮膚の機能をロボットに与えます。
作り方は、顔の型にヒトの皮膚細胞が含まれた培養液を注入します。
約2週間培養すると、ヒトの皮膚構造に似た“生きた皮膚組織”が出来上がります。
竹内教授は次のようにおっしゃっています。
「ロボットの周り(表面)を皮膚で、“生きた細胞”で覆ったら、より人間に近いものが出来るのではないか。」

これまでのロボットの表面は金属やシリコンで出来ているイメージですが、こうした“生きた皮膚”で覆うことでより人間らしいロボットが開発出来るといいます。
竹内研究室では、これまでも“培養皮膚“の研究に取り組んできました。
こちらの指ロボット、こちらも生きた皮膚で覆われています。
人間と同じように関節を持ち、モーターで曲げることが出来ます。
この指ロボットの研究では、人間の皮膚のような、水をはじく撥水性の機能やけがをしても傷口が塞がる自己修復の機能を持つ皮膚の開発に成功しました。
竹内教授は次のようにおっしゃっています。
「(このロボットは、放っておいても傷口が治るのかという問いに対して、)度合いにもよるんですけども、ちょっとした傷でしたら細胞が増殖することで修復することが出来るんじゃないかなと思います。」

また、ヒトの筋肉細胞を培養した“培養筋肉”の研究も。
この二足歩行のロボット、白い部分が“培養筋肉”(こちらを参照)です。
ヒトのように筋肉が伸び縮みすることでロボットが歩くことが出来ます。
竹内研究室の研究は、「人間」と「機械」、それぞれの強みを併せ持った「バイオハイブリッドロボット」という概念だといいます。
竹内教授は次のようにおっしゃっています。
「生物と機械が融合したようなロボットを作っていきたい。」
「生物に見られる機能を人工物だけで実現しようと思うと中々難しいというのが現状だと。」
「だったら、生物がいとも簡単にやっているのであれば、生物の素材そのものを取ってきて、生物と機械のいいとこ取りをしたロボットが出来るのではないかと。」

「今回の技術を発展させて、現在はこんなもの(こちらを参照)が出来ているんですね。」

このバイオ皮膚(添付参照)を使った「笑う顔ロボット」、電気モーターで動かすことで笑う表情を作ることが出来ます。
「笑う顔ロボット」の笑顔はヒトの“シワ”を再現出来るようになりました。
竹内教授は次のようにおっしゃっています。
「(シワとかえくぼが出来るのもこの実験ならなのかという問いに対して、)そうですね。」
「皮膚同士を引っ張ることでほほが上がりますよね。」
「実は、このデコボコの形成が表情を作る上でも重要なんですが、医薬品とか化粧品がどのように入り込んでいくかを調べるためにも重要なモデルになってくる。」

こうした「顔型ロボット」や「笑う顔ロボット」といった立体的に人間の顔を再現した培養皮膚は医療や美容の分野において、今までは難しかった表情や重力の影響の調査に役立つといいます。
ヒトと機械の強みを融合させていく「バイオハイブリッドロボット」の今後はどのような展開があるのでしょうか。
竹内教授は次のようにおっしゃっています。
「人間なのか機械なのか分からないようなヒューマノイド型ロボットを作っていきたい。」
「例えば人間と機械のインタラクション(相互作用)がどう変わってくるのかとか、あるいはどのくらいその生物の機能を再構成することが出来るのかを調べていきたい。」

今回の生きた皮膚の顔のロボットなんですが、現在はまだ開発段階なので、サイズであったり見た目にまだまだ課題が残っているんですが、近い将来、汗を出す機能だったり、血管の機能を加えることによって本物のヒトにより近いロボットの顔を作っていくということでした。
また、お話を聞いたところ、現在は毛穴であったり、実際の皮膚の厚さまでは再現出来ていないということで、現在は難しいんですが、将来的には、そういった医療の分野(義手や義足、あるいは皮膚の毛穴だとか、再生医療など、人間の医療)にも取り組んでいきたいということでした。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、“培養皮膚“の研究に取り組んできた東京大学の竹内研究室の研究成果を以下にまとめてみました。

(顔ロボット)
・顔の型にヒトの皮膚細胞が含まれた培養液を注入し、約2週間培養すると、ヒトの皮膚構造に似た“生きた皮膚組織”の顔ロボットが出来上がる

(指ロボット)
・人間と同じように関節を持ち、モーターで曲げることが出来る。
・この指ロボットの研究では、人間の皮膚のような、水をはじく撥水性の機能やけがをしても傷口が塞がる自己修復の機能を持つ皮膚の開発に成功した

(培養筋肉)
・二足歩行のロボットの白い部分がヒトの筋肉細胞を培養した“培養筋肉”である
・ヒトのように筋肉が伸び縮みすることでロボットが歩くことが出来る

(笑う顔ロボット)
・「人間」と「機械」、それぞれの強みを併せ持った「バイオハイブリッドロボット」という概念で、生物の素材そのものを取ってきて、生物と機械のいいとこ取りをしたロボットとして、電気モーターで動かすことで笑う表情を作ることが出来る、バイオ皮膚を使った「笑う顔ロボット」が出来た
 -「笑う顔ロボット」の笑顔は、ヒトの“シワ”を再現出来るようになった
 -皮膚同士を引っ張ることでほほが上がる
・このデコボコの形成が表情を作る上でも重要で、医薬品や化粧品がどのように入り込んでいくかを調べるためにも重要なモデルである

(竹内教授による「バイオハイブリッドロボット」の今後の展開)
・人間なのか機械なのか分からないようなヒューマノイド型ロボットを作っていきたい
 -近い将来、汗を出す機能や血管の機能を加えることによって本物のヒトにより近いロボットの顔を作っていく
 -将来的には医療の分野(義手や義足、あるいは皮膚の毛穴などの再生医療など、人間の医療)にも取り組んでいきたい

こうしてまとめてみると、顔ロボット、指ロボット、笑う顔ロボット、あるいは培養筋肉は、全てヒトの各部の細胞組織の培養、および、一部はモーターを組み合わせて作られます。
このようにヒトの各部のロボットを作っていくと、いずれこれらを組み合わせることでヒューマノイド型ロボットが完成します。
一方で、こうしたロボットの関連技術は医療分野への適用も出来ます。
ですから、東京大学の竹内教授は、いずれでヒューマノイド型ロボットを作ること、および医療や美容の分野への適用を目的にヒトの各部のロボットを作ってきていると思えます。

いづれにしてもヒューマノイド型ロボットの完成型の見た目は限りなく人間に近くなり、更にAIが搭載されることで身近な使用人兼アドバイザーになり得えます。
そうなると、いずれ見かけや性格は個々人の好みで、いかようにも作ることが出来ます。
これが実現したら、ヒューマノイド型ロボットに恋をして、実物の異性と結婚する人が少なくなってしまうというようなことも懸念されます。
なお、犬や猫といったペット型ロボットも作られるようになると思われます。

 
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