1月23日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界中が熱視線のSakana AIについて取り上げていたのでご紹介します。
今、あらゆる分野で活用が広がっていますのが生成AIです。
中でも対話型AIでは生成AIの代名詞ともなったオープンAIのチャットGPTに対抗して、グーグルなどの巨大IT企業が開発競争を繰り広げています。
こうしたトップ企業を凌ぐ技術の開発を目指す新たな企業がここ、東京に誕生しました。
既にソニーやNTTといった大手が出資を決めています。
ソニーが持つAIの開発拠点、ソニーAI。
ソニーではゲームやロボットなどのエンターテインメントだけでなく、家電や自動車などの分野でAIの活用を進めようとしています。
ソニーAIのミカエル・シュプランガーCOOは次のようにおっしゃっています。
「ゲームや家電など、様々な事業部とともにソニーの将来の成功に貢献するため、最先端の技術を開発しようとしている。」
こうした中、今日(1月23日)行われたのが「Sakana」と呼ぶ人たちとの打ち合わせ。
Sakana AI株式会社の伊藤錬COOは次のようにおっしゃっています。
「私たちの野望は東京から世界クラスのAIラボを立ち上げ、真にグローバルなチームを作ることだ。」
こちらは日本のAI開発企業で、2023年8月創業からわずか5ヵ月ですが、先週(番組放送時)、ソニーやNTTなどから総額45億円の資金を調達したと発表するなど、今、注目のスタートアップです。
ソニーのAI研究をけん引するミカエルCOOもSakana AIに大きな期待を寄せています。
「皆さんが創るAIは次の世代のゲームや体験を生み出す上で重要だ。」
「これから共に東京から技術発信が出来ることを楽しみにしている。」
なぜSakana AIはここまで注目されるのか、都内のシェアオフィスにある本社を訪ねました。
伊錬COOは次のようにおっしゃっています。
「今、全ての努力を結集し、サービス・技術を開発する準備が整った。」
ここにいる、顔をそろえていたのがSakana AIの社員、わずか10人です。
創業者はカナダ育ちのデイビッド・ハさんとイギリス人のライオン・ジョーンズさん。
いずれもグーグル出身です。
ハさんはグーグル日本法人でAIを開発を主導してきた研究者。
そして、ジョーンズさんはグーグル在籍時代、チャットGPTなどの対話型AIの性能が急速に進歩した背景にある基礎技術に関する論文を執筆した人物です。
ジョーンズさんは次のようにおっしゃっています。
「強みはエネルギー効率に優れていることだ。」
「大手企業が今やっていることとは全く違う。」
Sakana AIが目指すのはチャットGPTなどとは違う仕組みの新たな対話型AIの開発です。
従来の対話型AIは、コンピューターを巨大化することで性能を向上。
その分、巨額の費用を必要としていました。
対するSakana AIは、いくつもの小型AIをつなぎ合わせて高い性能を持つ仮想AIを作る構想です。
これにより必要なコンピューターやエネルギーを削減出来るといいます。
ジョーンズさんは次のようにおっしゃっています。
「他の大手企業の方向性は面白くないと思った。」
「より大きく、より大きくつくりつづけるだけ。」
「(絵本のスイミーのように)自分たちが小さな赤い魚だったら違うことをする。」
「違う方向に進んでみようと思った。」
しかし、なぜ日本で新たなAIを開発しようと思ったのでしょうか。
ハさんは次のようにおっしゃっています。
「アメリカに行けば、100社以上のAI企業があるが、日本にはまだスペースがある。」
日本はライバルが少なく、優秀な人材が獲得し易いといいます。
1ヵ月ほど前に加わった日本人エンジニア、国内屈指のAI企業から転職しました。
秋葉拓哉さんは次のようにおっしゃっています。
「彼らの持っているアイデアも素晴らしいし、僕が何か説明した時にも返ってくるフィードバックがいい。」
「めちゃくちゃ楽しいですね。」
資金調達が出来たことで、先週(番組放送時)始めた人材募集には、数日間で300以上の応募が。
3分の2は海外からだといいます。
ハさんは次のようにおっしゃっています。
「我々は日本に独自のAI経済圏を持って欲しい。」
「そして、独自の経済圏を発展させる手助けをしたい。」
Sakana AIのハさんは、アメリカのシリコンバレーですとか、中国のAI開発で先行し過ぎていることにはリスクがあると語っていらっしゃいまして、自分たちが開発中の技術で様々な国の企業が競争に参入し易くなることを狙っているということです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
なお、社名にあるSakanaですが、日本語の魚を意味する”さかな”に由来しており、進化や集合知など自然から得たアイデアを研究に活用したいという思いから、魚の群れが集まり、単純なルールから一貫した存在を形成するというアイデアを呼び起こすことを意図しています。
番組を通して、Sakana AIの生成AIへの取り組みについて、以下にまとめてみました。
(これまでの経緯)
・生成AIを巡って、オープンAIのチャットGPTに対抗して、グーグルなどの巨大IT企業が開発競争を繰り広げている
・こうしたトップ企業を凌ぐ技術の開発を目指す新たな日本のAI開発企業、Sakana AIが2023年8月に東京に誕生した
・Sakana AIの伊藤COOは「私たちの野望は東京から世界クラスのAIラボを立ち上げ、真にグローバルなチームを作ることだ」と言う
・既にソニーやNTTなどの大手から総額45億円の資金を調達している
・Sakana AIの社員はわずか10人である(番組放送時)
・創業者はカナダ育ちのデイビッド・ハさんとイギリス人のライオン・ジョーンズさんでいずれもグーグル出身である
(目指すは独自の対話型AI)
・Sakana AIが目指すのはチャットGPTなどとは違う仕組みの新たな対話型AIの開発である
-従来の対話型AIは、コンピューターを巨大化することで性能を向上させたが、その分、巨額の費用を必要としていた
-対するSakana AIは、いくつもの小型AIをつなぎ合わせて高い性能を持つ仮想AIを作る構想である
-これにより必要なコンピューターやエネルギーを削減出来るという
(日本で新たなAIの開発を目指す背景)
・アメリカに行けば、100社以上のAI企業があるが、日本にはまだスペースがある
-日本にはライバルが少なく、優秀な人材が獲得し易い
-先週(番組放送時)始めた人材募集には、数日間で300以上の応募があったが、3分の2は海外からだという
(創業者の一人、ハさんの語る事業目的)
・アメリカのシリコンバレーや中国のAI開発で先行し過ぎていることにはリスクがある
・そうした中、自分たちが開発中の技術で様々な国の企業が競争に参入し易くなることを狙っている
・日本には独自のAI経済圏を持って欲しい
・そして、独自の経済圏を発展させる手助けをしたい
こうしてまとめてみると、いくつが気付くことがあったので、以下にまとめてみました。
これまで、世界的に有望なベンチャー企業といえば、その多くは主にアメリカ国内を根拠地としていました。
ところが、二人の天才技術者は海外出身であるにも係わらず、日本国内でSakana AIを創業したのです。
しかも、その狙いは、自分たちが開発中の技術で様々な国の企業が競争に参入し易くなること、および日本が独自のAI経済圏を持つことだといいます。
こうした狙いは、世界各国のAI関連企業にとっても、日本にとっても、とても望ましく、ありがたいことだと思います。
更に、Sakana AIが開発を目指す対話型AIは、いくつもの小型AIをつなぎ合わせて高い性能を持つ仮想AIを作る構想で、必要なコンピューターやエネルギーを削減出来るというのです。
AIの活用には、大容量の処理能力を持ったサーバーが必要であり、そのためには大量の電力を消費すると言われていますが、仮想AI構想により消費電力を削減出来るというのです。
ですから、“脱CO2”の観点からもSakana AIの目指す対話型AIはとても理に適っているのです。
ということで、Sakana AIの今後の活躍、成長には大きな期待が寄せられると思います。
また、Sakana AIには国内外から多くの優秀なAI関連の技術者たちが集まってくると見込まれます。
秋葉さんの「めちゃくちゃ楽しいですね」と言う発言はこのことを象徴しています。
そして、こうした優秀な人材の総合力はきっと私たちの期待を裏切らない、あるいはそれ以上の成果をもたらすと思われます。
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