2024年05月03日
アイデアよもやま話 No.5885 被災地で奔走するスタートアップ その4 目指すべきは“自立分散型組織”、そして“自立分散型社会”!
1月1日に発生した能登半島地震の被災地では、早くからスタートアップなどの企業も入り、支援に乗り出していました。
そうした中、1月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で被災地で奔走するスタートアップについて取り上げていたので、4回にわたってご紹介します。
4回目は、目指すべきは“自立分散型組織”、そして“自立分散型社会”についてです。

今(番組放送時)もなお、能登半島の北部では、ほぼ全域で断水が続いています。
実は、災害時のライフラインの復旧で、特に時間がかかるのが水道なのです。
東日本大震災では完全復旧にかかったとされる日数がガスの60日、そして電気の90日に対して、上下水道は180日と、大きく違うことが分かります。(出所:東京消防庁)
なぜ、このように時間がかかるのかといいますと、設置場所が関係しているのです。
水道管は地中に埋まっていますので、破損があった箇所の特定が難しく、掘り返す作業ですとか修理などの手間がかかります。
また、1ヵ所でも水漏れが残っていますと水の供給が出来ませんので、どうしても時間がかかってしまうのだといいます。
水道管を交換して、被災する前の状態に戻す場合、1km当たり1億円がかかるとも言われています。
災害時のもろさに加えて、過疎化で将来、水の需要も減ることが予想されることから、未来の水道インフラをどう構築するかは大きな課題です。
こうした中で、石川県の馳浩知事は、1月10日の記者会見で次のようにおっしゃっています。
「水道管はズタズタなんですよ。」
「当面使えません、水道は。」
「そんな中で、水道管をつなぐエリアも必要ですし、同時に自立型の水環境も必要です。」
「この組み合わせも踏まえた創造的復興が必要だと考えています。」

自立型の新たな環境が必要だということですが、その技術を持っているのがスタートアップのWOTA株式会社(参照:アイデアよもやま話 No.5755 水の再利用で水道管が不要に!)です。
こちらがWOTAが開発した水道システム(こちらを参照)で、家の配管とつながった専用の機器が生活排水を浄化して、繰り返し使うことが出来るというものなんです。
それぞれの住宅がこのシステムを備えることで、水道管を引く必要がなく、災害時の断水リスクも減らせる可能性があります。

こうした水を循環させるシステムについて、前田さんは次のようにおっしゃっています。
「能登半島に来て、昔の方々が、この半島の隅々まで水道管を普及させられたというのは本当に偉業だと思っています。」
「だからこそ、復旧に時間がかかると。」
「これからの日本のインフラを考えていく時に、災害対応と人口減少、これは必須のテーマだと思ってまして、そういう意味では事実的な自立分散型の水インフラというのが、どうやっても必要になるんじゃないかというふうに、今、この能登で考えております。」
「(こうした災害の時に、スタートアップだからこそ出来ることについて、)スタートアップというのは、定義上、誰も今まで解決出来なかった問題を解決するということが役割、使命だと思ってます。」
「そういう意味で、我々にとって災害はそうなんじゃないかと。」
「阪神淡路やこの能登半島の地震を経験して、次の災害で同じような問題を解決するということが我々の役割だと思ってます。」

まさに本当にそういう出来ることをやるということにスタートアップとしての意義があるということで、能登半島の支援は広がっていますが、中でもスタートアップが活躍している状況について、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「素晴らしいですね。」
「大企業でも解決出来ない問題をスタートアップが解決しているということで、本当にスタートアップの強力な使命感を感じました。」
「(そうした中で、“自立型”という言葉が何度も出てきましたが、)まさに今回VTRで出ましたWOTAなんかがビジネスモデル、テクノロジーの世界でいくと“自立分散型システム”(こちらを参照)と言われてまして、分かり易くいうと、反対側の概念が“中央集権型”ということですね。」
「“中央集権型”に対して“自立分散型”というのは、自分たちが自立分散して、価値を提供していくという位置づけで、今、VTRに出たようにWOTAとか、とくし丸が典型例ですね。」
「課題としては、どう自分たちで運用するのかというのが課題なので、その課題を解決するためには次に“自立分散型組織”。」
「自分たちで自立分散型の組織を運営しなきゃいけないわけですけども、これも非常に驚きましたけども、先ほどのVTRを見ますと、既に中学3年生が自分たちで運用しているわけですよね。」
「ですから既に現地では“自立分散型組織”が出来上がっているということですけども、更に、やはり、これからの日本にとって重要なのは“自立分散型社会”。」
「一人一人の個性とか、強みを生かして、自立的に分散して発展していく社会が望まれるということで、まさにそれが今回、顕在化して、被災者に使われているということですよね。」
「(こういった“自立分散型”が実現可能になったのはブロックチェーンなどの技術、ブロックチェーンなどの存在があることも欠かせないという指摘に対して、)そうですね。」
「やはりブロックチェーンや分散型とか、そういった技術が支えているということで、こういったことが可能なタイミングが到来しているということですよね。」
「(こういったシステムは増えていくと見ればいいのかという問いに対して、)そうですね。」
「増えていっていただきたいと思いますし、何とか“自立分散型組織”、“自立分散型社会”に対して、日本もシフトしていっていただきたいと思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(災害時のライフラインの復旧で、特に時間がかかる水道)
・1月11日現在もなお、能登半島の北部では、ほぼ全域で断水が続いている
・災害時のライフラインの復旧で、特に時間がかかるのが水道である
・東日本大震災では完全復旧にかかったとされる日数は以下の通りである
 -ガス  : 60日
 -電気  : 90日
 -上下水道:180日
・なぜ、上下水道の完全復旧にこのように時間がかかるのかは設置場所が関係している
 -水道管は地中に埋まっているので、破損箇所の特定が難しく、掘り返す作業や修理などの手間がかかる
 -1ヵ所でも水漏れが残っていると水の供給が出来ない
 -水道管を交換して、被災する前の状態に戻す場合、1km当たり1億円がかかるとも言われている

(未来の水道インフラをどう構築するか)
・災害時のもろさに加えて、過疎化で将来、水の需要も減ることが予想されることから、未来の水道インフラをどう構築するかは大きな課題である
・自立型の新たな環境の必要性について、その技術を持っているのがスタートアップのWOTAである
・WOTAが開発した水道システムでは、家の配管とつながった専用の機器が生活排水を浄化して、繰り返し使うことが出来る
・それぞれの住宅がこのシステムを備えることで、水道管を引く必要がなく、災害時の断水リスクも減らせる可能性がある
・また、過疎化の進む地方でもこのシステムを備えることで、従来の水道インフラに比べて費用が非常にかからないで済む

(目指すべきは“自立分散型組織”、そして“自立分散型社会”)
・WOTAやとくし丸のビジネスモデルは“自立分散型システム”と言われる
 -自分たちが自立分散して、価値を提供していく
・その課題は、どう自分たちで運用するかであるが、その解決策は“自立分散型組織”である
 -自分たちで自立分散型の組織を運営する
 -能登町の避難所では既にWOTAのシャワーを中学3年生が自分たちで運用している
・更に、これからの日本にとって重要なのは“自立分散型社会”である
 -一人一人の個性や強みを生かして、自立的に分散して発展していく社会が望まれる
・こうした“自立分散型”が実現可能になったのはブロックチェーンなどがあることも欠かせない
・日本も“自立分散型組織”、“自立分散型社会”にシフトすべきである

なお、5月1日(水)付け放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で、現在の能登半島地震の被災地の状況を取り上げていたので内容の一部をご紹介します。

能登半島地震の発生から、今日で4ヵ月です。
石川県内では今も4600人あまりが避難所で身を寄せ、厳しい環境での暮らしを余儀なくされています。
そして、大きな被害を受けた奥能登地域では今も約3780戸で断水が続き、被災者を悩ませています。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

やはり、東日本大震災と同様に能登半島地震でも上下水道の完全復旧までには時間がかかっているのです。

さて、そもそも大地震や大津波、あるいは集中豪雨などの大災害を想定した場合、3つの社会インフラ、水、電気、ガスの供給源の分散が被害を最小限に抑えることが出来るのです。
そうした中、水においてはWOTAが開発した水道システムがその機能を担うことが出来るのです。
ただし、その運用を販売業者などが行った場合、その数には限界があります。
ですから、WOTAでは提供する水道システムを誰でも簡単に運用出来るような構造にしたのです。
そのため、被災地の緊急避難所の中学生でも、この水道システムを運用することが出来るので、被災者の方々がシャワーの恩恵にあずかることが出来るのです。
こうした事例は“自立分散型組織”のメリットの典型例と言えます。
また、電気においては太陽光などの自然エネルギー発電、そしてガスにおいてはエコキュートにより電気で代用出来るのです。
しかも、太陽光発電は“自立分散型組織”以前の、まさに“自給自足”の典型例です。
ですから、WOTAが開発した水道システムも更にその仕組みを簡素化することによって、太陽光発電などと同様に“自立分散型組織”も不要になるのです。

こうしてみると、被災時を想定した、日本が目指すべき社会のあり方が次のように見えてきます。
・誰も今まで解決出来なかった問題を解決するということが役割、使命のスタートアップの育成に国を挙げて取り組むこと
・その際、被災時にも必須の商品、サービスについては、個人、あるいは“自立分散型組織”での運用を前提とした設計にすること
・更に、国家レベルでも“自立分散型社会”を目指し、海外に依存せず、国内での対応を目指すこと
・どうしても海外に依存せざるを得ないものについては、あらかじめ相互に協定を結んで、緊急時対応をスムーズに出来るようにしておくこと

なお、工場など、大量に水や電気を消費するケースにおいては、別な取り組みが必要になりますが、“自立分散型社会”という枠組みの中で、あらかじめ相互に協定を結んで、緊急時でもスムーズに対応出来るようにしておくことが求められます。

 
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