2023年12月04日
アイデアよもやま話 No.5755 水の再利用で水道管が不要に!
8月31日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で水道管が不要になる水の再利用について取り上げていたのでご紹介します。 

今、各地で水道料金の値上げが相次いでいます。(こちらを参照)
宮城県東松島市などが既に値上げを行いました。
更に神奈川県などは来年以降の値上げを検討しています。
老朽化した水道管の改修費などが原因で、30年後には単価が3倍になる地域もあるとの試算も出ています。
こうした水道が抱える課題を解決するための取り組みが今日(8月31日)発表されました。
日本の水インフラ問題に立ち向かう「Water 2040」プロジェクトです。(こちらを参照)

神奈川県鎌倉市では古くなった水道管を撤去する工事が行われています。
引き揚げられたのは約60年前に埋められた水道管、内部はびっしりとサビで覆われています。
水道管の耐用年数は約40年、神奈川県営水道では水道管の半数以上が耐用年数を超えているといいます。
そのため、水道管の交換工事が急務となっているのです。
神奈川県水道部の柳川哲也部長は次のようにおっしゃっています。
「1年間で約400件の(水道管)更新工事を行っております。」
「(費用は)30年間で約1兆円の規模になるかと思っております。」

膨大な工事費用は利用者が払う水道利用料金によって賄う必要があります。
鎌倉市の平均的な水道料金は1ヵ月で3767円ですが、来年の秋には値上げが検討されているといいます。
特に山間部など、水道を利用する住民が少ない地域では水道料金が割高に。

こうした課題の解決にある企業が乗り出しました。
東大発のスタートアップ、WOTA株式会社です。
前田瑶介CEOは次のようにおっしゃっています。
「これで抜本的な解決が出来るんじゃないかと。」

汚れた水を循環させて再利用出来る「水循環システム」を開発するWOTA、コロナ禍でポータブルの手洗いスタンドなどが注目されました。
そのWOTAが今日(8月31日)、発表した新たな取り組みとは。
その現場は、愛媛県西予市に。
実は山間部にあるこの地域には浄水場からの水道菅が敷かれていません。
この水はどこから来るのか。
山を登り、案内してくれたのは水源の湧き水です。
この水をろ過して各家庭に届けています。
しかし、住民の山本英明さんは次のようにおっしゃっています。
「こういうの(木の小さな枝)を拾うんです。」
「ちょっとでもこういうのが溜まると(水が)汚れるんです。」
「それに泥の粒子がくっつくので。」
「自分一人だと半日ぐらいかかるので。」
「中々、世間の人には分からない重労働なんです。」

この地域に浄水場からの水道管を敷くには大きな費用がかかります。
住民の高齢化も進む中、将来の水インフラに不安を抱えていました。
この場所に先週(番組放送時)やって来たのがあのWOTA。
山本さんの自宅に巨大な機械を設置しました。
WOTAの越智浩樹執行役員は次のようにおっしゃっています。
「これは、この場で使った水を処理して循環させて、また使えるようにする「循環再生システム」といいます。」

WOTAが開発した住宅向けの水循環システム、この装置を家の配管とつなぐのです。
生活で使った水は捨てずに、この機械に。
フィルターや紫外線などを使い、人が飲めるレベルにまで浄化します。
また住宅向けに排せつ物を微生物が食べる仕組みを導入、トイレの水は再びトイレに使います。
循環する水は蒸発などで徐々に減りますが、雨水をろ過して補います。
新たな水を手に入れた山本さんは次のようにおっしゃっています。
「(こうした装置に対して抵抗があったかという問いに対して、)7〜8割は信じてる方になっていますが、1〜2割は疑いが。」
「水は1回使ったら捨てるものという感覚があるので、慣れていかざるを得ないというか、将来、年を取って動けなくなった時には、この水は頼りになるので。」
「(この技術が入ることについて、)それはもう私個人的には万々歳ですね。」
「これがあると、(地域に)残ろうかなとか、よそから来て、田舎が好きなので田舎に行ってみようかな、これをつけるなら。」
「もっと来る人が増えるのではないかと。」

導入費用は約300万円。
水道インフラの維持が困難になる中、その代替策となるのか検証するため、愛媛県が費用を負担します。

越智さんは次のようにおっしゃっています。
「水問題を解決する、それに向かって今までプロセスを踏んできていて、やっと、いよいよ、やりたかった住宅。」
「今までは水道補完をやって来たんですけど、これからは水道代替をやっていくと。」
「次のフェーズに入ったので、これから全国、全世界に向けて、このプロダクトを標準化して出していくというのを今からやっていく。」

現在、人口増加などで世界で約36億人が水不足に直面しているということで、WOTAのシステムには中東、南米、ヨーロッパなどから既に問い合わせが来ているということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

考えてみれば、既に国際宇宙ステーションでは長期間にわたって宇宙飛行士が滞在出来ている裏では、生活用水全般の再利用システムが機能しているわけです。
しかし、ここで使用されている水循環システムはとんでもなく多くの資金が投入されていると思われます。
一方、現在、世界で約36億人が水不足に直面しているといいます。
なお、「世界人口白書2023」によると、2023年の世界人口は80億4500万人で、昨年に比べ7000万人増加しています。(こちらを参照)
ですから、現在、人類の半数近くは水不足に悩んでいるということになります。
こうしてみると、水の供給という面だけを見ても、人類の暮らしは2極化のままの状態が続いていることが分かります。

そうした中、WOTAでは独自に開発した水循環システムにより、水の再利用で水道管を不要にする取り組みを進めているのです。

なお、冒頭でお伝えした「Water 2040」プロジェクトについてですが、こちらには今回ご紹介した愛媛県西予市での導入事例の他に以下の記述があります。

日本政策投資銀行 常務執行役員の原田文代氏は「人口増に対応するための水源確保として配管、水処理施設を開発してきた日本の水道事業は、2021年度に普及率98.1%を達成。しかし給水人口は2010年をピークに減少し、料金収入は減少している。一方、設備投資額は増加しており、水道を維持するには多額の費用負担が必要になる。水道事業は給水人口減による収入減と建設投資額の増加のバランスをとり、見極めることが大事」と現状を説明する。

小規模分散型水循環システムは、住宅設備として導入し、家単位で使えることがポイント。「現在の水道は浄水場から離れた地域に長い配管を整備して届けているがこの配管コストが高い。配管が長いにもかかわらず配管費用を負担する人口が少ない地域では、収支のバランスが難しい。小規模分散型水循環システムは、配管が必要ない分財政メリットも大きい」(前田氏)と説く。

今回のWater 2040では、東京都利島村に小規模分散型水循環システムに太陽光発電や通信などを組み合わせた、オフブリッド型居住モジュールを設置。加えて愛媛県の3つの市にも、小規模分散型水循環システムを備えた住宅を用意する。

こうしてみると、日本では水について2021年度に普及率98.1%を達成しており、日本で暮らす、ほとんどの人たちは水は当たり前のような存在になっています。

しかし、今後の水に関しては大きな課題があります。
現在、水の供給は浄水場から水道管を敷くケースがほとんどです。
しかし、日本政策投資銀行 常務執行役員の原田氏が指摘しているように、給水人口減による収入減と建設投資額の増加のバランスを欠く方向の流れが大きくなりつつあります。
ですから少子化の進む地方都市においては、WOTAが開発した住宅向けの水循環システムのような、水道管不要の給水装置へのシフトがより経済的になるのです。

一方、電気は系統電力と太陽光など再生可能エネルギー発電のミックスによる供給がなされています。
しかし、系統電力の内容は石油などの化石燃料、および原発です。
その中で化石燃料は“脱CO2”、すなわち地球温暖化阻止の観点から、また原発については事故リスク、あるいは核廃棄物の長期にわたる保管といった大きな課題があります。
一方、再生可能エネルギーの中心的存在である太陽光による発電関連技術はどんどん進化しており、それに伴い低価格化も進んでおります。

ということで、水とエネルギーは車の両輪のごとく、私たち人類の暮らしの最も重要なインフラなのです。
また、大災害の発生、あるいは戦争の勃発などによる被害を想定すると、水も電力も“地産地消”が最も対策として望ましいのです。
そして、究極の“地産地消”は各世帯、あるいは施設ごとでの実現です。
そういう意味で、今回ご紹介した、WOTAが開発した水循環システムは水の “地産地消”を実現する、究極の水の供給システムと言えます。
こうしたことから、WOTAのシステムには中東、南米、ヨーロッパなどから既に問い合わせが来ているということですが、当然だと思います。
このシステムの導入費用は約300万円といいますが、是非、WOTAには価格を100万円程度まで下げて、国内外を問わず、必要なところへの導入に取り組んでいただきたいと思います。
何しろ、世界人口の半数近くは水不足に直面しているのですから、需要は無限と言えます。

一方、電力の供給においては、太陽光などの自然エネルギーは天候などの状況により発電量が不安定といった制約があり、安定供給が大きな課題となっています。
そこで、究極の発電装置ですが、これまで何度かお伝えしてきましたが、アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・でお伝えした要件を満たす装置だと思います。
そして、弊社、株式会社BMCでは、この要件を満たす発電装置に関する国際特許を取得済ですが、残念ながら技術力不足から試作機作りが難航しております。
ですので、この機会にあらためて、どなたかボランティアで開発に協力していただける方がいらっしゃいましたらご連絡下さるよう、よろしくお願いいたします。(参照:【画期的な発電装置の試作機作りのボランティア、および企業の募集

さて、小規模分散型水循環システムに太陽光発電や通信などを組み合わせた、オフブリッド型居住モジュールが既に東京都利島村に設置されているといいます。
なお、EVの普及は今や世界的に加速度的に進みつつあります。
そしてEVは搭載するバッテリーを動力源としていますが、バッテリーへの充電は再生可能エネルギーで発電した電力から出来ますから、太陽光発電が出来る場所であれば、世界中どこでも充電可能です。
しかも、このバッテリーは家庭用電源としても使用出来ます。

ということで、オフブリッド型居住モジュールにEVも加えたシステムの世界的な普及は水、電気、移動手段という、普段の暮らしに欠かせない3つの観点から世界中の人たちのライフスタイルを大きく変える可能性を秘めています。
こうしたシステムの世界的な普及はまさにライフ革命をもたらします。
そして、日本にはこれら全ての最先端の技術があるのです。
現在、日本はEV競争で出遅れていますが、単にEVの販売競争に向き合うのではなく、是非こういた観点から日本はライフ革命を実現すべく、取り組んでいただきたいと思います。

 
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