2023年11月06日
アイデアよもやま話 No.5731 注目すべき”インフルエンサー経済圏”!
7月7日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でインフルエンサーの経済圏について取り上げていたのでご紹介します。 

東京・港区内の一室で行われていたのがSNSのインスタグラムを使ってライブ配信です。
発売前の試作品を披露していました。
「ももち」という名前で情報を発信する牛江桃子さん、27歳のZ世代です。
アパレル販売員の経験をもとに5年前からSNSを活用、インスタグラムのフォロワーは17万人を超える、いわゆるインフルエンサー(添付1参照)です。
「ももち」さんは昨年「M−YOU」を設立し、インフルエンサーをしながら社長も務めています。
配信で宣伝していたのは自らプロデュースしたブランド「リル アンビション」です。
“着やせ”してスタイルよく見えるのがこのブランドのコンセプトです。
2年前の立ち上げ時にインスタグラムでライブ配信したところ、販売開始からわずか15分で完売、売り上げは1900万円を突破しました。

そんな服を「ももち」さんはどうやって作っているのでしょうか。
「ももち」さんが訪ねたのはエニーマインド ジャパン(東京。港区 六本木ヒルズ)です。
企業がインフルエンサーを活用するのをサポートするIT企業です。
設立から7年で売り上げは247億円と、急成長しています。

今、力を入れているのがインフルエンサーのモノづくりをサポートする新たな事業です。
「ももち」さんが見ていたのは新作スカートの試作品。
そして「ももち」さんから出された試作品に対する要望に応えていたのはエニーマインド ジャパンの堂免直美さん、大手アパレル企業などで15年の経験を積んだデザイナーです。
他にもアパレルのプロを正社員として雇用し、インフルエンサーのモノづくり支援が大きな事業となると考え、専門部署を立ち上げました。
堂免さんは次のようにおっしゃっています。
「「ももち」さんご本人の投稿に対する(ファンの)反応だったりとかをリアルに吸い上げて反映させるので、その部分で早く、よりリアリティのある、ファンに向けたモノづくりが出来ているかもしれません。」

エニーマインドジャパンの取締役でインフルエンサーのマネジメントなどを統括する、元芸人という異色の経歴のある北島惇起さんは次のようにおっしゃっています。
「インフルエンサーとか、これはインフルエンサーに限らずではあるんですけど、“個の経済圏”が広がっていって、・・・」
「(「ももち」さんの展開するブランドが15分で1900万円の売上げ、このスピード感はすごいと思うが、)インフルエンサーのブランドの強みは大きく2つあるかなと思っていまして、1つがインフルエンサーには既に根強いファンがついていること。」
「これは消費行動を促しても、しっかりついて来てくれるということなんですけども、これは強みの1つかなと思っていて。」
「もう1つ挙げるとすると、自分の市場を持っているということなので、消費者の方と直接コミュニケーションを取って、その意見を商品開発に活かすことが出来るというのもインフルエンサーならではの強みかなと思っています。」

「消費者とコミュニケーション」というワードが出てきましたが、「ももち」さんの取材をしていた時に実際にこんなことがありました。
「ももち」さんのライブ配信、フォロアーからの意見をくみ上げるシーンで、最新のトレンドと異なる要望なども聞き、ブランドをフォロアーと共に創ることが武器になっているといいます。
「ももち」さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱりライブ配信して、今、ユーザーの方が思っている、今の意見を今もらえる。私たちの今作りたいものも今、伝えられるという、リアルタイムでコミュニケーションが取れることが一番のメリットと思っているので。」

こういったマーケティングによって本当のニーズをつかんでいる状況について、北島さんは次のようにおっしゃっています。
「SNS上でお客さんがいて、リサーチも出来て、宣伝も出来る。」
「そして販売も出来るという、これが「インフルエンサーの経済圏」なのかなというふうに思いますね。」
「(ただ大きなトレンドを追いかけて服を作っているのではないということなのかという問いに対して、)はい。」
「(こういった「ももち」さんのような事業主だとか社長になるインフルエンサーのパターンは今、多いのかという問いに対して、)そこまで多くはないんですけども、ポテンシャルのあるインフルエンサーというのは非常に多くて、我々みたいな企業が一緒に共創することによって、その“ダイヤの原石”を常日頃、探して追っかけているという感じです。」

今、どんなインフルエンサーを掘り起こしているのかというところ、ヒントがあります。
こちら、「溜めて開放」と書かれたタオルと「だる」と書かれたキーホルダー、わずか1ヵ月で2000万円売れたヒット商品ということですが、なぜそんなに売れているのでしょうか。

野球部の監督と部員のやり取りをコメディにした動画、2人で野球の“あるある”を配信しているのはYouTuber、「あめんぼぷらす」です。(こちらを参照)
動画はどれもちょっとマニアック、それこそ野球部の経験者ぐらいにしか伝わらなそうなのですが、これが“おおバズリ”。
チャンネル登録者数は157万人、どうして人気なのか、「あめんぼぷらす」の監督役、「おまつ」さんに訊いてみると。
「(ファンは)間違いなく野球好きが多いなとは思ってます。」
「層を狭めて分かる人に分かる面白い動画を作っていく考え方。」
「専門性というか、希少価値が高いと需要が高まって見てもらえるなと考えたので。」

支持するのは10代、20代の男性。
そして“バズったワード”を打ち出したグッズを作ったところ、何とわずか1ヵ月で最高2000万円の売り上げがあったといいます。
「おまつ」さんは次のようにおっしゃっています。
「こんなに買ってくれるんだと衝撃的でしたね。」

活動開始以来、動画づくりで忙しく、グッズまで手が回らなかったといいますが、「おまつ」さんは次のようにおっしゃっています。
「「グッズ制作はどう?」という提案をして下さって、ちょうど視聴者さんからのコメントでグッズ「グッズ欲しいです」っていうのがあったんで、「じゃあ、やりましょう」っていう。」

主導したのはインフルエンサーをサポートする事業を行っているエニーマインド。
こうしたニッチな分野に目を付け、他にも釣り系ユーチューバーのルアーを販売。
そしてフィットネス系インフルエンサーによるジムウエアなど、分野を問わずインフルエンサーのモノづくりを支援する事業でこのところ利益は5割増しに。
ニッチな市場から新たな需要を掘り起こしています。
こうした状況について、北島さんは次のようにおっしゃっています。
「“インフルエンサー経済圏”は基本的には“狭く、深く”が売れますね。」
「(これからも、こうしたインフルエンサーを増やしていきたいのかという問いに対して、)そうですね。」
「あめんぼぷらす」の動画にもあったんですけども、彼らは動画のプロフェッショナルではあるんですが、それ以外の知見や人的リソースがないことが多いんですね。」
「我々みたいな会社はSNSとか、EC(Electronic Commerceの略 電子商取引)販売のデータを分析出来る自社プロダクトを持っているので、企業からインフルエンサーまで幅広くサポートしているので、私たちのような会社がどんどんどんどんインフルエンサーさんに対して価値提供をしていくことによって、この経済圏がもっと成長していくんじゃないかと思っています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(インフルエンサー、「ももち」さんの活躍)
・「ももち」さんは27歳のZ世代である
・アパレル販売員の経験をもとに5年前からSNSを活用、インスタグラムのフォロワーは17万人を超える
・「ももち」さんは昨年「M−YOU」を設立し、インフルエンサーをしながら、社長も務めている
・2年前の立ち上げ時にインスタグラムでライブ配信したところ、販売開始からわずか15分で完売、売り上げは1900万円を突破した

(IT企業、エニーマインド ジャパンによる“インフルエンサー経済圏”構想)
・エニーマインド ジャパンは設立から7年で売り上げは247億円と、急成長している
・今、新たに力を入れているのが、ニッチな分野に目を付け、分野を問わずインフルエンサーのモノづくりを支援する事業である
・エニーマインド ジャパンはSNSやECに関するのデータを分析出来、企業からインフルエンサーまで幅広くサポートしているので、今後、更にインフルエンサーに対して価値提供をしていくことによって、この経済圏はもっと成長していくと期待している
・エニーマインド ジャパンの成長要因
 -インフルエンサーには根強いファンがついていること
 -インフルエンサーが消費者と直接コミュニケーションを取って、その意見を素早く商品開発に活かすことが出来ること

(エニーマインド ジャパンの支援を受けているYouTuber、「あめんぼぷらす」の事例)
・「あめんぼぷらす」は、層を狭めて分かる人に分かる面白い動画を作っていく考え方だが、支持するのは10代、20代の男性でチャンネル登録者数は157万人である
・野球部の監督と部員のやり取りをコメディにした動画はどれもちょっとマニアックだが、“おおバズリ”である
・“バズったワード”を打ち出したグッズを作ったところ、わずか1ヵ月で最高2000万円を売り上げた
・こうしたグッズ制作のきっかけは、エニーマインドジャパンからの提案と視聴者からの「グッズ欲しいです」というコメントである

こうしてまとめてみると、“インフルエンサー経済圏”はインフルエンサー、フォロアー、そしてインフルエンサーのサポート企業、エニーマインドジャパンとの三位一体の共創ビジネスという図式で形成されていることが分かります。
そして、それぞれの役割は以下の通りです。
インフルエンサー:
・自分の想いをリアルタイムでフォロワーに発信すること
・自らのアイデアに対するリサーチや宣伝をフォロワーに対してリアルタイムで行うこと
フォロアー:
・インフルエンサーに対する共感、あるいは異なった意見をインフルエンサーにリアルタイムで直接伝えること
インフルエンサーのサポート企業:
・インフルエンサーのマネジメントを行うこと
・インフルエンサーやフォロアーの想いをかたちにした商品を開発・製造し、販売のサポートをすること

さて、マーケティングにはマスマーケティング(添付2)、あるいはターゲットマーケティング、ニッチマーケティング(添付3)といった手法があります。
そして、今回ご紹介した“インフルエンサー経済圏”はまさにニッチマーケティングとターゲットマーケティングの組み合わせと言えます。
そして、こうした新たな経済圏はインターネットの普及したネット社会があってこそ成立するのです。
そして“インフルエンサー経済圏”はインフルエンサーとフォロアーとの強い結びつきがベースになっており、顧客の生の声をリアルタイムで受け止められるので、今後とも成長の余地があると期待出来ます。
また、“インフルエンサー経済圏”はこれまでになく商品に対する顧客の満足度を高める可能性を秘めているのです。


添付1)

インフルエンサーとは?
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「インフルエンサー」は、社会メディアやオンラインプラットフォーム上でフォロワーに影響を与え、製品、サービス、ブランド、アイデアなどに関する意見や情報を共有する人々を指す一般的な用語です。彼らは自分のオンラインプリセンスを通じて、自身の専門知識、趣味、ライフスタイル、ファッション、美容、料理、旅行などの領域でフォロワーや視聴者に影響を与えることがあります。
インフルエンサーは一般的に次の特徴を持っています:
1.オンラインプラットフォームの存在: インフルエンサーは主にソーシャルメディアプラットフォーム(例:Instagram、YouTube、TikTok、Twitter、ブログ)で活動します。
2.フォロワーベース: インフルエンサーは多くのフォロワーを持ち、そのフォロワーが彼らのコンテンツを見たり、共有したり、コメントを残したりすることがあります。
3.信頼性: インフルエンサーはフォロワーに対して信頼性があるとされ、彼らの意見や推薦に価値を置く人々が多いです。
4.スポンサーシップ: インフルエンサーは時折、企業やブランドから商品やサービスのプロモーションを委託され、その代わりに製品やサービスに関するレビューや広告を提供することがあります。
インフルエンサーマーケティングは、企業が広告やブランドプロモーションを行う方法として重要な役割を果たしており、インフルエンサーは特定の製品やサービスを大規模なオーディエンスにアプローチする手段として活用されています。

添付2)

マスマーケティングとは?
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マスマーケティング(Mass Marketing)は、広告やプロモーション活動を通じて、一般の大衆や広範な市場セグメントを対象に、一様なメッセージや戦略を使用するマーケティングアプローチです。この戦略は、製品やサービスを大規模かつ均一な市場に提供することを重視します。
マスマーケティングの主な特徴と要点は次のとおりです:
1.大衆を対象:マスマーケティングは、一般の大衆や広範な市場セグメントを対象にします。特定の地域、年齢、性別、収入などの要因に基づいて市場を細分化するのではなく、できるだけ多くの人にアプローチすることが目標です。
2.一様なメッセージ:マスマーケティングでは、一つの広告キャンペーンやメッセージが多くの人に向けられます。このメッセージはできるだけ広範で包括的なものであり、特定の個人や市場セグメントに合わせてカスタマイズされていません。
3.一般的な製品またはサービス:通常、マスマーケティングは一般的な製品やサービスに適しており、特定のニッチ市場向けの製品には向いていません。このアプローチは、広告費用を節約し、大量の製品を販売することを目的とします。
4.マスメディア:テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの伝統的な広告媒体がマスマーケティングに広く使用されます。これらのメディアを通じて、多くの人々にアクセスできます。
ただし、近年のマーケティングトレンドでは、よりターゲット指向のアプローチが強調されており、デジタルマーケティングやソーシャルメディアを活用して、より個別にターゲットを絞ったり、カスタマイズされたメッセージを提供することが一般的です。それに対し、マスマーケティングはあまりターゲット指向でないため、市場の細分化や個別対応が難しいとされています。

添付3)

マスマーケティングの反対マーケティングは?
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マスマーケティングの反対として、ターゲットマーケティング(Target Marketing)またはニッチマーケティング(Niche Marketing)といったアプローチがあります。これらのアプローチでは、マスマーケティングが大衆や広範な市場セグメントを対象にするのに対して、特定の狭い市場セグメントや特定の消費者グループに重点を置いてマーケティング戦略を展開します。
ターゲットマーケティングとニッチマーケティングの主な特徴は次の通りです:
1.ターゲット指向: ターゲットマーケティングとニッチマーケティングは、特定のターゲット市場や消費者グループに焦点を当てます。これは、市場を細分化し、それぞれのセグメントに合った製品、サービス、広告メッセージを提供することを意味します。
2.カスタマイズされたアプローチ: ターゲットマーケティングは、ターゲット市場に合わせたカスタマイズされたメッセージや製品を提供します。これにより、特定の消費者のニーズや要求に合致するように製品やサービスを調整できます。
3.ニッチ市場: ニッチマーケティングは、特に狭い市場セグメントやニッチ市場に焦点を当てます。これは、一部の特定の消費者グループや特殊な需要に対応するための戦略です。
4.マスメディアよりデジタルマーケティング: ターゲットマーケティングやニッチマーケティングは、デジタルマーケティングやソーシャルメディアを活用し、特定のオーディエンスに効果的にアクセスするために、よりターゲット指向のメディアや広告キャンペーンを使用することが一般的です。
これらのアプローチは、特定の市場セグメントや消費者層に対して効果的なコミュニケーションを構築し、製品やサービスを効果的に販売するために使用されます。企業は、自社の製品やサービスがどの市場セグメントに最も適しているかを評価し、それに合わせたマーケティング戦略を展開することで、競争力を維持または向上させることができます。

 
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