2月17日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で米中首脳関係の望ましいあり方について取り上げていたのでご紹介します。
偵察気球を巡って米中が緊張する中で緊張緩和という動きに四苦八苦している状況について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「アメリカのバイデン大統領も特定の分野では中国と協力はしたいんですよね。」
「特定の分野というのは、1つはウクライナ危機を巡って、ロシア寄りの中国を引き付けたいということ。」
「2つ目は、地球温暖化で協力を得たいということですね。」
「(ただ、台湾問題やハイテク技術を巡る米中の対立は解消出来ないが、)その通りですね。」
「昨日(2月16日)、アメリカ政府は、外国の政府が特定のハイテク技術を盗んだりする、その監視組織を立ち上げたんですね。」
「で、中国を名指しして、AIや量子コンピューターとか半導体製造装置、そういったものは出さない、つまり「ハイテクで中国のキャッチアップは許しませんよ」と明確にしてるんですよね。」
「(となると、協力と対立という中でも対立が基調と見ればいいのかという問いに対して、)そうですね。」
「対立がベースになっていると。」
「ただ、そういう時だからこそ、トップ同士の話をするという、このパイプが重要だっていうことですね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
そもそもアメリカは民主主義陣営の国々のリーダー国、そして中国は独裁政権、かつ覇権主義の大国です。
そして中国は国際社会でその影響力を高めるため、アフリカや太平洋の島しょ国などの開発途上国に積極的に経済支援を行い、中国の支配下に置こうとしています。
また、アメリカは自由、および人権を尊重する民主国家ですが、中国は“まず中国共産党ありき”(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.690 『中国式“法治”の脅威!』)で国民の自由や人権よりも中国共産党の意向、および存続が優先されます。
ですから、本来、水と油のような関係で、互いの価値観は合い入れないのです。
しかし、一方でこうした価値観の相違はあるものの、お互いの国民の豊かさを追求するうえで相互の人材や資本の入り組んだ経済活動は盛んであることが望ましいのです。
ところが、厄介なことに経済力、および軍事力で急速に力をつけてきた中国がアメリカに“追いつき、追い越せ”で対抗意識むき出しでアメリカに対峙しているのです。
一方、アメリカもこうした中国の脅威を意識し、そうはさせじといろいろと策を講じつつあるというわけです。
しかし、こうした関係を俯瞰すれば、今起きている、あるいは今後起きるであろう問題の解決に際し、アメリカと中国、両国の協力の有無により、多くの問題解決にかかるコストや期間が大きく左右されるのです。
一方で、万一米中が戦闘状態になれば、即、第三次世界大戦に突入することになります。
そして、この戦争に勝者は存在しません。
なぜならば、両国の保有する兵器、中でも大量破壊兵器の使用まで突き進めば、お互いの陣営国も含めて大量の犠牲者が出てしまうからです。
このような事態を避けるべく、バイデン大統領、および習近平国家主席は以下の観点から会談を開き、何度でも徹底的に議論をすべきなのです。
・両国はともに人類存続のカギを握っているという自覚を持つこと
・同様に両国はともに人類を破戒に導くような権利は有していないという自覚を持つこと
・お互いに協力出来るエリア、および絶対に譲れないエリアを明確にすること
・協力出来るエリアについてはお互いに積極的に協業を図ること
・絶対に譲れないエリアについては、徹底的に議論を重ね、その過程で武力に依存しない解決策を見出すこと
・いつでも、どちらからでもコミュニケーションが取れるホットラインを設けること
・合意事項については、絶対に相手を裏切らないこと
さて、今やロシアによるウクライナ侵攻は長引くという専門家の見方があります。
そして、状況次第でロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を決断するリスクは残っています。
このリスクが現実のものとなれば、第三次世界大戦勃発の可能性は非常に高まります。
ですから、バイデン大統領、および習近平国家主席は手始めに、どちらからでもいいのでこの侵攻の終結に向けて働きかけ、議論を重ねて最善の解決策を見出していただきたいと思います。
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