2023年05月26日
アイデアよもやま話 No.5591 中国の闇 その3 日本国内における実態!
人権を無視し、世界制覇を目指している中国の闇を3回にわたってご紹介します。
1回目は“秘密警察”の実態(参照:アイデアよもやま話 No.5589 中国の闇 その1 “秘密警察”の実態!)、2回目は“諜報活動”の実態!(参照:アイデアよもやま話 No.5590 中国の闇 その2 “諜報活動”の実態!)とお伝えしてきましたが、3回目は日本国内における実態についてです。
4月24日(月)放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日)で日本国内における実態について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

中国“秘密警察”への懸念が広がる中、諜報活動が盛んに行われているとの指摘があるのが日本です。
近年、日本の各地で多くのスパイが活動していることをうかがわせる事件が相次いでいます。
2012年には在日中国大使館の外交官がウィーン条約で禁じられている諜報活動を行い、そこで得た資金を日本国内でスパイ活動に使っていたと見られて事件が起きました。
更に2020年には、当時通信大手の会社員にロシアの諜報員が近づき、機密情報を盗み出すようそそのかす事件も起きています。
これらの事件では、諜報員が目的を悟られないように近づき、関係性を築きながら多額の報酬をちらつかせ、機密情報を不正に入手するのが特徴とされてきました。

なぜ日本はスパイに狙われるのか、そこから見える日本の脆弱性とは?
日本国内で相次ぐ他国のスパイ活動、なぜスパイが蔓延るのか、番組は元警視庁公安部外事課の稲村悠さんは次のようにおっしゃっています。
「スパイ活動を取り締まる法律がないので、現行法に合わせた、例えば窃盗など、こういった法律に合わせて摘発側は捜査しなきゃいけない。」
「これが結構至難の業で、そもそもスパイは実行行為が分からないようにしますし、そういった現行の法律の構成要件を満たすような証拠を集めて、(検挙するのは)非常に難しい状況になっています。」

日本ではスパイを取り締まる法律がないため、まさにスパイ天国になっていると稲村さんは指摘します。
それなのに、なぜ法律は作られてこなかったのか、実は日本でもスパイ防止法を作ろうとする動きがありました。
その先駆けとなったのが1985年に議員立法で提示されたスパイ防止法案です。
当時の中曽根康弘総理大臣は次のようにおっしゃっています。
「何しろ日本はスパイ天国と言われているような国でありまして、防衛庁の職員までもが係わるような事件もあります。」
「私もその後、いろいろ事情も聴き、法案の内容等もいろいろ聴いてみまして、その必要性というものを私は痛感するに至りました。」

それに対して、野党や市民団体などは、国民の知る権利や報道の自由を奪う法律だとして猛反発し、廃案となりまとした。
その後、東西冷戦の終結やソ連の崩壊があり、スパイを取り締まる法律を成立させる勢いは徐々に失速していくことになります。
歴史の中で、毎年消えていったスパイ防止法の存在、日本での成立は難しいのか?
日本カウンターインテリジェンス協会の代表理事、稲村悠さんは次のようにおっしゃっています。
「スパイ活動自体が日常生活に密接するものが多いので、そこを例えば捜査権を持って捜査していくとなると、皆さんの日常生活を侵害する可能性が出てきてしまうので。」

その一方で、稲村さんは日本の情報機関の脆弱性について次のように指摘します。
「アメリカだとかイギリス、ここら辺を見ても、日本のインテリジェンス機関(情報機関)というのは少し弱いのかなと思っております。」
「1つに統一された機関を持つことによって、情報連携もスムーズに行きますし、より効率的な情報活動が出来るので、必須であると思っております。」

スパイ防止法の廃案から約40年、日本はどのようにして他国のスパイ活動から自国を守ればよいのでしょうか?

スパイ活動などを防ぐ、そして日本でもたびたび議論になってきたスパイ防止法ですが、スパイ防止法とは、不当な方法で防衛秘密を探知、収集し、それを外国に通報するなどした場合、罪に問える法律ということです。
世界のスパイ防止法の状況を見てみますと、最高刑は死刑という国は、アメリカ、中国、北朝鮮などです。
また最高刑が無期懲役という国はフランスやスウェーデンなどですが、日本にはそもそも厳格なスパイ防止法は存在しておりません。
ただ、かつてはこうした法律を制定する動きはありました。
1980年にソ連の情報機関が自衛隊に諜報活動をしかけまして、秘密文書が漏洩してしまうということもありました。
これを受けて、1985年に最高刑を死刑とするスパイ防止法案が議員立法で提出されました。
当時の中曽根康弘総理も「日本はスパイ天国であり、スパイ防止の必要性を痛感するに至った」と話していたといいます。
しかし、当時、この法案に対して、市民団体などは「報道機関の取材、一般国民の日常生活上の行為も広く処罰対象としている」、「言論の自由、表現の自由が侵害される」などの声があがり、国会周辺などで大規模なデモが起こり、1985年12月に廃案となりました。
それから約30年後に特定秘密に関する法律が出来ました。
2013年、第二次安倍内閣が一部のスパイ行為を取り締まる「特定秘密保護法」を制定しました。
この法律は、漏洩すると国の安全保障に著しい支障を与えるとする情報のみを「特定秘密」に指定、それを取り扱う人を調査・管理して「特定秘密」を外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などに最長で懲役10年を課すものです。
ただ、この時も日本弁護士連合会が、「特定秘密」の対象となる情報の範囲が広いため、行政機関が国民に知られたくない情報を「特定秘密」に指定し、国民の目から隠してしまえるなどといった反対意見が出て、いろいろと問題になったこともありました。
こうした現状について、東京大学の阿古智子教授は次のようにおっしゃっています。
「やはりスパイにしては活動し易い環境があると言わざるを得ないと思いますね。」
「インテリジェンスの面で、中国には反スパイ法があって、日本の方も拘束されたりして、日本の方では「特定機密保護法」などもありますけど、言論の自由を大切にしなければいけないっていうのもあるので、どういうふうにバランスを取るかというところで非常に難しい部分もあって、そこは国民のレベルでもしっかりと議論をしなければいけない。」
「秘密の指定も国家権力の方で勝手に指定してしまうと、国民の方では異議が申し立てしにくいというところがあるでしょうし、その辺、非常に難しいところはあるでしょうし、国民がしっかり情報をどのように分析して、何を自分たちにとっては好ましいと思えない状況にあるのかを考えていかなければいけないと思いますね。」
「(スパイ防止法については、賛否あると思いますが、現状、中国などのスパイ活動を防止する有効な手立てはあるのかについて、)現行の法律で、例えば脅迫をされたとか、あるいは何か窃盗、情報を取られたとか、具体的に警察が動く、取り調べが出来るような事実があれば、対応出来ると思うんですけれども、分かりにくいんですね。」
「裏で動いている方々の動きが中々取り締まりが出来ないというところがあって、そこをどうしていくかというところだと思うんですね。」

また立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「まず指摘しておきたいのは、各国が「スパイ防止法」を強化している中で、一番強化している国が中国なわけですよね。」
「ですから、特に昨年12月の共産党大会で習近平氏の方は「国家安全」という言葉を何度も口にしている。」
「「国家安全」というと、一般的には国家の安全とか国民の安全と思いがちですけども、彼が言っているのは「政治の安全」という概念で中国共産党政権の維持と安定ということを目的にしているわけですね。」
「ですから、そういったことで“諜報活動”を強化している中で、日本としても何か対策は絶対に打つ必要がある。」
「ただし、過去には国家機密の定義が広過ぎた、あるいは曖昧だったところがあるので、そこをしっかり議論していくことで、まずは現行法の範囲内で、あるいは、まずはしっかり外交努力をすることで、いろんな対策をすることは重要ですけども、恐らくここのタイミングでしっかり議論をしたうえで何か別の対策を打つ必要があるかどうかをまさにこのタイミングでこそ議論すべき時期が到来しているんじゃないかと思いますね。」

阿古教授は次のようにおっしゃっています。
「(その国家安全は、中国における法律の考えは権力を縛るというよりも統治をし易くするというか、統治を盤石にするという法整備の考え方の面もあることについて、)根本的に違いますね。」
「政権交代があり得ない、共産党しか政権を取らない国なんですね。」
「実はいろんな政党が存在するんですけども、アドバイスとか、そういったことは一応出来るんですけど、形式上。」
「でも政権の安定を脅かすような、異議を唱える人たちがいると、圧力をかける、逮捕もするというようなことなので、民主主義国家ではあり得ないやり方になってしまいます。」
「(法の支配の考え方の前提が民主主義側と異なるというところについて、)三権分立はあり得ないと中国の政権側も言ってますので。」

そんな中、中国の“秘密警察”について、G7で行動を起こすべきとの報道も出ています。
産経新聞によりますと、(4月)19日に、中国新疆ウイグル、チベット、内モンゴル、香港の各自治区や香港出身の日本に在住している方たちで構成する団体が日本の国会内で記者会見を行いまして、「自由、民主主義、人権などの共通理念を公然と踏みにじる中国へ結束して対処するのもG7首脳の使命だ」とする要望書を発表しています。
更にこの中国の“秘密警察”への対処も求めたということです。
我々が取材しましたスペインのNGO団体「セーフガード・ディフェンダーズ」のローラ・ハースさんは「中国の悪質な行動への対策について、G7主催国である日本がリーダーシップを取ることを期待している」ということでした。
こうした状況について、阿古教授は次のようにおっしゃっています。
「(中国の“秘密警察”はG7全ての国にあり、一方で経済的に緊密な関係を築いている国もある中で、G7として一致した強い姿勢を打ち出すことの可能性について、)打ち出して欲しいですね。」
「日本も主催国でありますし、これはいいアピールの機会にもなると思うんですよね。」
「中国とは良い関係を作っていかなければいけないけれども、それだったら、だからこそ、やはり、しっかり言うべきことは言って、中国だってスパイ活動をされたら嫌なはずですから、お互いですよね。」
「やはり、そのあたりもしっかり向き合った方が良いと思いますね。」
「(このたびニューヨークで逮捕という事例が出ましたけれども、そのアメリカについていく国が出てくる可能性について、)ついていく国は出るんじゃないですかね。」
「やはり実際にそういうオフィス、表向きレストランやマッサージ店かもしれませんけども、中で人が何か具体的に活動している可能性があると。」
「そして、その人たちが実際に情報を本国に送ったりとか、脅迫をしているということが確認出来れば、逮捕されるという事例も出てくるんではないかと。」
「アメリカでもかなり遅かったんじゃないかという声もあって、以前からこういう脅迫の事実なども沢山確認されていましたので、それをやっている人たちを取り締まるということはこれからもあるんではないかと思います。」
「(こういうことが明るみに出てきたというのは、在外中国人がその国の政府に報告するようなケースが出てきていることでもあるのかという問いに対して、)そうですね。」
「例えば、私も人権問題とかで、いろんな人たちとお付き合いがあるんですけども、表向き人権活動を一緒にやっているのに実際はそういった活動をしている方もいらして、ちょっとビックリしたこともあって、内部の情報を、そういう人権活動をしているとなると、入手出来ますよね。」
「どういう人が何をやっているかというのも分かるわけですけども、そういったことで情報提供の政府の協力者になっている人もいるし、逆に本当に人権活動とか言論の自由を考えて、外で活動している人たちも中国の“秘密警察”に脅迫されて自由に活動出来なくなっているっていう両方の側面があると思います。」

また田中教授は次のようにおっしゃっています。
「(G7でこの問題が取り上げられる可能性について、)考えてみると“秘密警察”の警察というのは警察権ていう非常に強い、国民の権利を制約するような非常に強い公権力で、まさに各国のそれぞれの主権を侵害いているようなことですから、今回のG7広島、フランスが注目されるところですけども、恐らくフランスも含めてみんなが足並み揃い易いテーマだと思いますので、是非ここもしっかり広島で議論して欲しいとこですよね。」

また増田ユリヤさんは次のようにおっしゃっています。
「“秘密警察”の実態をつかんで、これが摘発されたりということが進めば、中国側もやりにくくなるっていう、そのやりにくさを出していくということが重要なのかなと思いましたね。」

その出先機関がもし、その国の主権を侵害しているとしたら、(習近平国家主席は)内政干渉はダメだと言っているわけですから、「同じことをされたら、どうですか」というところもしっかりとG7で一致して出してもらいたいと思います。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、日本国内における中国の闇の実態について以下にまとめてみました。
・近年、日本の各地で多くのスパイが活動していることをうかがわせる事件が相次いでいる。
・その理由について、専門家は以下のように指摘している。
-スパイ活動を取り締まる法律がないので、現行法に合わせて摘発側は捜査しなければならず、検挙するのは非常に難しい状況になっている
-かつて、日本でも中曽根政権の時にスパイ防止法を作ろうとする動きがあったが、野党や市民団体などは、国民の知る権利や報道の自由を奪う法律だとして猛反発し、1985年12月に廃案となった。
・それから約30年後の2013年、第二次安倍内閣が一部のスパイ行為を取り締まる「特定秘密保護法」を制定した。
・ただ、この時も日本弁護士連合会が、「特定秘密」の対象となる情報の範囲が広いため、行政機関が国民に知られたくない情報を「特定秘密」に指定し、国民の目から隠してしまえるなどといった反対意見が出て、いろいろと問題になったこともあった。
・こうした現状について、東京大学の阿古智子教授は次のように指摘している。
-日本はスパイにとって活動し易い環境がある
-国の重要機密保護と言論の自由をどのようにバランスを取るかは非常に難しい部分もあり、国民のレベルでもしっかりと議論をしなければいけない
・また立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のように指摘している。
-中国では、中国共産党政権の維持と安定を目的とし、世界で一番「スパイ防止法」を強化している
-そういったことで中国が“諜報活動”を強化している中で、日本としても何か対策を打つ必要がある
・このことについて阿古教授は次のように指摘している。
-中国は共産党しか政権を取らないので政権交代があり得ない
-政権の安定を脅かすような、異議を唱える人たちがいると圧力をかけ、逮捕もする
-中国では三権分立はあり得ない
・そんな中、中国の“秘密警察”について、G7で行動を起こすべきとの報道も出ている
・産経新聞によると、4月19日に、中国新疆ウイグル、チベット、内モンゴル、香港の各自治区や香港出身の日本に在住している方たちで構成する団体が日本の国会内で記者会見を行い、「自由、民主主義、人権などの共通理念を公然と踏みにじる中国へ結束して対処するのもG7首脳の使命だ」とする要望書を発表しており、更に中国の“秘密警察”への対処も求めた
・スペインのNGO団体「セーフガード・ディフェンダーズ」のローラ・ハースさんは、中国の悪質な行動への対策について、G7主催国である日本がリーダーシップを取ることを期待している
・こうした状況について、阿古教授は次のように指摘している
-中国とは良い関係を作っていかなければいけないが、中国もスパイ活動をされたら嫌なはずなのでしっかり言うべきことは言うことが必要である
・また田中教授は次のように指摘している
 -中国の“秘密警察”は各国のそれぞれの主権を侵害しいているので、今回のG7でもしっかり広島で議論して欲しい
・増田ユリヤさんは次のように指摘している
 -“秘密警察”の実態をつかんで、摘発が進めば、中国側もやりにくくなるので、そのやりにくさを出していくことが重要である
・中国の出先機関がその国の主権を侵害しているとしたら、習近平国家主席は中国への内政干渉はダメだと言っているので、しっかりとG7で一致してその矛盾を突いて欲しい

次に問題点、および対応策を以下に整理してみました。
(スパイ活動)
問題点:
・日本の各地でスパイ活動と思われる事件が相次いでいる
・その結果、日本の知的財産や機密情報が流出している
・しかし、日本にはスパイ活動を取り締まる厳格な法律がない
・その理由は、国民が以下のような弊害を指摘しているからである
-国民の知る権利や報道の自由を奪う
 -「特定秘密」の対象となる情報の範囲が広いため、行政機関が国民に知られたくない情報を「特定秘密」に指定し、国民の目から隠してしまうリスクがある
対応策:
・海外の事例を参考にして、スパイ活動を取り締まる法律を策定する
・こうした法律の必要性について国民に理解を求める
(秘密警察)
問題点:中国の“秘密警察”はG7全ての国にあり、各国のそれぞれの主権を侵害している
対応策:
・“秘密警察”の実態をつかんで、摘発を進め、中国に厳重に抗議する
・今回のG7で対応策を検討する

なお、4月28日(金)付けネット記事(こちらを参照)では以下のように報じています。
・2014年に成立した「反スパイ法」の改正案は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会で26日に可決され、7月1日付で施行される。
・国営新華社通信が全人代法制工作委員会の当局者を引用して伝えたところによると、改正法ではスパイ行為の定義に政府機関や情報インフラに対するサイバー攻撃が加わるほか、国家安全保障に関するあらゆる文書やデータ、資料、記事を含む国家機密の所持が禁止されるという。
・中国では、外国人がスパイ容疑で当局に拘束されるケースが増えている。先月(3月)には製薬大手アステラス製薬の社員1人が反スパイ法に違反した疑いで拘束された。毎日新聞によると、中国では15年以降、5人の日本人が国家安全保障を危険にさらしたとして有罪判決を受けている。

問題は、この改正案の中に何が国家安全や利益にあたるかの記載がないことです。
中国企業に関する情報収集や歴史資料の収集なども、当局が国家利益に反すると判断すればスパイ行為とみなされかねないのです。
ですから、7月以降は、これまで以上に中国に滞在中の外国人がスパイ容疑で当局に拘束されるケースが増えると見込まれます。

なお“秘密警察”について今回のG7で対応策を検討する件については、今回のG7広島サミット首脳宣言の全文(こちらを参照)には明確な記述がありませんが以下の記述があります。
・中国との持続可能な経済関係を可能にし、国際貿易体制を強化するため、我々は、我々の労働者及び企業のための公平な競争条件を求める。我々は、世界経済を歪める中国の非市場的政策及び慣行がもたらす課題に対処することを追求する。我々は、不当な技術移転やデータ開示などの悪意のある慣行に対抗する。我々は、経済的威圧に対する強靱性を促進する。我々はまた、国家安全保障を脅かすために使用され得る先端技術を、貿易及び投資を不当に制限することなく保護する必要性を認識する。
・我々は、強制労働が我々にとって大きな懸念事項となっているチベットや新疆ウイグルにおけるものを含め、中国の人権状況について懸念を表明し続ける。我々は、中国に対し、香港における権利、自由及び高度な自治権を規定する英中共同声明及び基本法の下での自らのコミットメントを果たすよう求める。

ですから、G7の今後のフォローアップの具体的な事項として組み込まれることを期待したいと思います。

なお、このG7広島サミット首脳宣言に対する中国外務省の見解について、5月22日(月)付けネット記事(こちらを参照)では以下のように報じています。
・G7広島サミットの首脳宣言をめぐり中国外務省は、在中国日本大使館の垂秀夫大使を呼び、厳正な申し入れを行ったと発表しました。これに対し、垂大使は「中国が対応を改めない限り、言及は当然だ」と反論しています。
・中国外務省の発表によりますと、孫衛東外務次官は21日夜、在中国日本大使館の垂秀夫大使を呼び、G7広島サミットの首脳宣言について「中国を中傷、攻撃し、内政に暴力的に干渉するものだ」と指摘。「中国は強烈な不満と断固とした反対を表明する」と抗議したということです。
・また、「台湾問題は中国の核心的利益の核心であり、越えてはならないレッドラインだ」と主張しました。

このように一党独裁の中国共産党政権は従来通り、自らの非は一切認めず、“内政干渉”の一言で片づけているのです。
アメリカをはじめ民主主義陣営の国々が中国に対して指摘しているのは、自由や人権の尊重といった国連憲章の遵守なのです。
こうした中国に対する指摘が内政干渉の一言で片づけられてしまえば、そして他国も中国と同様の行為に及べば国際社会は無法社会となってしまいます。
また、こうした中国の抗議に対して、全くコミュニケーションを取らず、対立状態ではお互いに相手の持つメリットを生かせず、その分、国民の豊かな暮らしから遠ざかってしまいます。
また、こうした対立の積み重ねは武力による解決のリスクを高めることになります。
ですから、コミュニケーションの扉を閉ざさず、お互いに具体的に相手に直して欲しい箇所を示し、相手にそのことを認めさせ、直してもらうというプロセスを確立させることが重要なのです。
こうした地道な取り組みの積み重ねがお互いに信頼感を高め、より良い関係を作り上げていくのです。

ということで、今回のG7広島サミット首脳宣言の個々の内容について実際に実行に移していくことがG7各国に求められるのです。
岸田総理には、議長国として、スパイ活動や秘密警察への対応も含めて、率先してこれらの課題に取り組んでいただきたいと思います。

 
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