2023年05月23日
アイデアよもやま話 No.5588 ウクライナ国民の考える停戦条件から見えてくること!
2月15日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウクライナ国民の考える停戦条件について取り上げていたのでご紹介します。 

ウクライナ情勢は停戦どころか、ロシアが攻勢を強めているということですが、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「(ウクライナ国民はどう考えているかについて、)停戦の条件について、ウクライナ国民の世論調査(2022年11月MSC調べ)の結果なんですけど、1年前に戻すということではなくて、クリミア侵攻の前に戻して、そこからロシアが全軍撤退することに93%が賛成しているってことですから、ハードルは極めて高いんですよね。」
「(ただ各国の支援あってこその話ですが、ウクライナ国民による支援の評価について、)これをちょっと見ていただきたいんですが、イギリスが最も高評価を受けていて、アメリカが続いてるんですが、日本は残念ながらG7の中で一番低い評価。」
「その理由は、中国とか悪いんですけど、こちらを見ていただきたいんですが、ウクライナに対する国別の支援額を見ると分かるんですね。」
「ダントツでアメリカの軍事支援が大きいんですけど、EUは続いていると。」
「日本はこの6位以内に入ってなくて、13位なんですよね。」
「これだと岸田総理も中々ウクライナに行きにくいのかなと。」
「(武器支援を続けている欧米に比べると日本の支援は限られますが、G7議長国として各国をウクライナ支援でどう結束を続けさせていくのかは難しい舵取りですが、)もうちょっとお金を出さなくちゃいけないんじゃないでしょうかね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

ロシアによるウクライナ侵攻はいつ終息するのかについては、この侵攻は長期に渡るとの専門家の見方があります。(こちらを参照)
そうした中、今回お伝えしたように、ウクライナ国民の実に93%がクリミア侵攻の前に戻して、そこからロシアが全軍撤退することに賛成しているという世論調査が出ているのです。
ですから、欧米各国から武器・弾薬の調達がウクライナの満足のいくかたちで続く限り、クリミア侵攻前の状態まで領土を取り戻すというゼレンスキー大統領を始めウクライナ国民の意志はとても固いと言えます。
一方、今回のウクライナ侵攻は“プーチンの戦争”と言われるように、プーチン大統領自らのウクライナを支配下に置きたいという強い民族主義的な野望が大きなきっかけであるという見方があります。
そして、当初、プーチン大統領はこの侵攻は短期決戦で終えることが出来ると思っていたのが未だに続いており、現状での停戦はあり得ない状況に追い込まれているのです。
このようなウクライナ、ロシア、両国の状況から今回の侵攻は当面の停戦は見込めず、長引くというのが大方の予想なのです。

ここで注目すべきは、今回の侵攻における、両国の国民の意識です。
ウクライナの国民は総じて、これまでロシアに不法に占領された領土を取り戻すという決意に満ちています。
ですから、ウクライナ軍の兵士の士気も非常に高いと見られています。
一方、ロシアの国民は今回のウクライナ侵攻に対して、その価値を十分に理解しているとは言えません。
そもそもウクライナ侵攻の始まった時点で、ロシア軍の兵士はその目的を知らされないまま戦闘状態に置かれてしまったといいます。
このように兵士が目的を知らされないままでの戦争は、兵士の立場からすればあり得ないのです。
それほどプーチン大統領は今回の侵攻を甘くみていたわけです。

さて、このように今回のウクライナ侵攻は長引くという見方がある中で、今後の終息パターンについて以下にまとめてみました。
・ロシア、ウクライナのどちらかが兵力や武器・弾薬などの不足で戦闘継続が不可能となった
・ウクライナ侵攻の継続に反対する反プーチン勢力によりプーチン大統領が暗殺、あるいは身柄を拘束された
・ウクライナ侵攻の継続に反対する多くのロシア国民の声が高まり、プーチン大統領が侵攻継続を諦めざると得なくなった

一方、今月から始まったウクライナ軍による反転攻勢が強まり、ロシア軍敗北の見込みが高まってきた状態でのプーチン大統領による核兵器使用の決断がきっかけで第三次世界大戦勃発の可能性もあります。
ですから、第二次世界大戦後で、今ほど先進国をはじめ、世界各国の首脳の世界平和に向けてのリーダーシップが求められる時はないのです。
そういう意味で、今回の日本の広島でのG7開催、および各国首脳の平和記念資料館の視察は各国首脳の核兵器廃絶に向けて、あるいはプーチン大統領による核兵器の使用を阻止する決意を固めるうえで絶好の機会であったと思います。(こちらを参照)
勿論、こうした各国の首脳の決断を左右する国民の声も無視出来ません。
ですから、今こそ私たち一人一人も平和を求める声を大にする時なのです。

 
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