2023年05月25日
アイデアよもやま話 No.5590 中国の闇 その2 “諜報活動”の実態!
人権を無視し、世界制覇を目指している中国の闇を3回にわたってご紹介します。
2回目は“諜報活動”の実態についてです。
4月24日(月)放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日)で“諜報活動”の実態について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

前回、中国の“秘密警察”の実態についてお伝えしましたが(参照:アイデアよもやま話 No.5589 中国の闇 その1 “秘密警察”の実態!)、そんな中、“秘密警察”が諜報活動も展開しているのでしょうか。
中国公安当局とのつながりも指摘されています。
今回、拘束された容疑者をはじめ、“秘密警察”には中国の公安当局が関与しているという話もあるのです。
アメリカの司法当局は、4月17日にニューヨークで2人の容疑者逮捕が発表されたのと同じ日に公安部の工作員、34人を訴追したと発表しています。
中国政府に批判的なアメリカ在住の中国人に嫌がらせや脅迫を行った疑いがあるという指摘をしています。
イギリスBBCによりますと、彼ら34人が所属するのは「912専項行動工作組」と呼ばれていて、アメリカなど世界各地の中国の反体制派を標的にする精鋭部隊だということです。
更にアメリカの司法当局によると、この公安部の「912専項行動工作組」は数千もの偽SNSアカウントを作成し、中国のプロパガンダを発信しているということでした。
更に共同通信によりますと、ニューヨークで“秘密警察”を運営したとされる容疑者2人のうち1人は日本の内閣に当たる中国国務院の情報機関、公安部から指示を受けて活動していたということなのです。

“秘密警察”の活動ですが、外国にいる国民の監視や取り締まりに止まらないということです。
ゲストの東京大学の阿古智子教授によりますと、中国公安部の息がかかった“秘密警察”は各地の中国人への脅迫だけでなく、その国の機密情報も抜き取る諜報活動なども行っている可能性が高いということです。
そうした他国で諜報活動を行う背景には習近平国家主席の意向も関係しているということです。
2013年に遡ります。
国家主席に就任した習氏は「統一戦線工作」という戦略を重要視していきます。
「統一戦線工作」というのは、中国共産党を支持する人を出来るだけ増やし、反対する人を減らすための活動を指すということなんですが、阿古さんによりますと、「統一戦線工作」という大号令のもと、公安部や“秘密警察”の対外的な諜報活動が強まったということです。
また2017年には、企業や個人に国の情報活動への協力を義務付ける「国家情報法」を施行しておりまして、諜報活動などを強化していってるということでした。
こうした状況について、阿古教授は次のようにおっしゃっています。
「(「統一戦線工作」はいろんな部門に分かれていることについて、)例えば国家安全部ですとか、党の宣伝工作部もあるんですけども、政府の中にもそういった部門がありますし、宣伝部門が情報に対してコントロールしたりだとか、インターネットの管理に関して対応していくという部門もあって、そういったとことも連携して取り組んでいるんだと思います。」
「(国外にいる反体制派の中国人の監視だけではなく、諜報活動も行っている可能性もあることについて、)広く見れば、そう捉えられるんじゃないかというのは、やはりそういったマークしている人物に当たっていく中で様々な情報を入手していくと。」
「脅す中で、いろんな情報を入手したり、そういうことをして、留学生とか、いろんな企業の方とかに情報を伝えてくれというような、圧力をかけて、やってる可能性もあるなと思います。」
「(各国にある“秘密警察”は中国公安部の指示で動いているのかという問いに対して、)統一的に上から、中央から全部指示が行っているわけではないとは思うんですけども、例えば日本の福州市の出先機関だと言われる秋葉原の“秘密警察”も華僑が多い、出身者が世界各地で活動しているような地域なんですけど、そういったところは地方の部門が国家安全部にも地方のいろんな部門がありますし、公安部も地方に出先機関がありますけれども、そこが海外の自分たちの出身者もしっかりと監視をすべきだと言われている可能性があるんですよね。」
「ですから華僑が多い地域は、地方の部門がかなり力を入れて見ている可能性があるなと思っています。」
「(中国では近年、嘘の情報を流すかたちの情報戦、プロパガンダも重視しているようですが、情報を受け取る側も気を付ける面があるのかという問いに対して、)嘘かどうか分からない、結構微妙な情報とか、信じてしまって、本当は嘘だったとか、あるいは嘘ではないけれども特定の意図を持って誘導するような情報発信の仕方ですね。」
「そういった動きがかなり目立つんですよね。」
「それが民主主義の国でもネットでいろんな情報を得る人が多いので、例えば選挙の時期に中国の政府として支持したいなと思う人に有利な情報が流れたりとか、こういった体制派のマークしている人も全然やっていないことについていろんな悪い噂が流されたりだとか、そういったことはあります。」

また、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「ここで習近平氏の戦略目標から「統一戦線工作」を読み解いていきたいと思うんですけども、まず習近平氏はかねてから“中華民族の偉大な復興”とか“中国の夢”を戦略目標に掲げてきてるんですね。」
「それに対して、習近平氏の戦略は孫氏の兵法そのものだと言われてまして、孫子の兵法は“戦わずして勝つ”ってことですね。」
「まさにこの“戦わずして勝つ”っていうところが策略と工作というか、情報戦略とインテリジェンスというところで、実は中国の人民解放軍は戦争をどういうふうに定義しているかというと、いわゆる武力戦とそれ以外の平時の戦争で切り分けてまして、平時の戦争のところはまさに言論を使った戦争、それから心理戦、それから法律戦と定義しているということで、我々日本としてもいわゆる武力戦だけでなくて、こういったインテリジェンスを使った戦争も戦争だと思って、いろんな対策を講じなきゃいけない。」
「そういうタイミングが来ているような感じがしますね。」

阿古教授は次のようにおっしゃっています。
「(純粋に日本のことを研究したい、勉強したいと思っていても、中国政府に協力しなければいけないという法律が背後にあるために、私たちも純粋に付き合いたくても、そういうことを意識せざるを得なくなってしまうことがとても悲しいことについて、)私も自分が中国を研究してきて、私がこういうことを解説していること自体が悲しいですけども、やっぱりもっとオープンにいろんなことを議論したいと思うんですね、中国の人たちもね。」
「でも、やはりそうやって法律もあるし、故郷にご家族とかいると、自分が何か協力しないということで、ご家族に圧力がかかってしまうんじゃないかとか。」
「実際に圧力がかかって、大変な思いをしている、逮捕されている人たちもいるわけですから、そう考えると苦しいだろうなっていう思いがしますね。」
「(中国の方はこうした情報統制をどう受け止めているのかについて、)やっぱり知識人というか、文字を使って仕事をする人たちにとってみれば、耐えられないと思います。」
「ですから、白紙運動(こちらを参照)とかあった時に、白紙を挙げたのは、文字がどんどん消されていくと。」
「自分たちが言いたいこと、本当のことを流しても都合が悪いことは消されていくと。」
「で、ネットは国を超えてつながるので、国を超えた交流も可能なんですけど、国を超えた監視も出来るわけですね。」
「そこがちょっと恐ろしい時代になったなと思いますね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、中国の“諜報活動”の実態について以下にまとめてみました。
・アメリカの司法当局は、4月17日にニューヨークで2人の容疑者逮捕が発表されたのと同じ日に公安部の工作員、34人を訴追したと発表した。
・中国政府に批判的なアメリカ在住の中国人に嫌がらせや脅迫を行った疑いがあるという指摘をしている。
・イギリスBBCによると、彼ら34人が所属するのは「912専項行動工作組」と呼ばれていて、アメリカなど世界各地の中国の反体制派を標的にする精鋭部隊だという。
・更にアメリカの司法当局によると、この公安部の「912専項行動工作組」は数千もの偽SNSアカウントを作成し、中国のプロパガンダを発信している。
・中国公安部の息がかかった“秘密警察”の活動は外国にいる国民の監視や取り締まりに止まらず、その国の機密情報も抜き取る諜報活動なども行っている可能性が高いという。
・そうした他国で諜報活動を行う背景には以下の習近平国家主席の意向も関係している。
 -2013年に国家主席に就任した習氏は「統一戦線工作」という戦略を重要視していく
 -「統一戦線工作」とは、中国共産党を支持する人を出来るだけ増やし、反対する人を減らすための活動を指す
-「統一戦線工作」という大号令のもと、公安部や“秘密警察”の対外的な諜報活動が強まった
-2017年に企業や個人に国の情報活動への協力を義務付ける「国家情報法」が施行され、諜報活動などを強化した
・こうした状況について、阿古教授は以下のように指摘している。
-「統一戦線工作」はいろんな部門に分かれており、国家安全部や党の宣伝工作部もあるが、政府の中にもそういった部門があり、宣伝部門が情報をコントロールしたり、インターネットの管理をする部門もあり、連携して取り組んでいる
 -国外にいる反体制派の中国人の監視をする中で様々な情報を入手している
 -留学生や企業の従業員に情報を伝えてくれるように圧力をかけている可能性もある
 -中国では近年、嘘の情報を流すかたちの情報戦、プロパガンダも重視している
 -嘘かどうか分からない、微妙な情報とか、嘘ではないが特定の意図を持って誘導するような情報発信がかなり目立つ
-「国家情報法」が施行され、自分が何か協力しないと家族に圧力がかかってしまうとか、実際に圧力がかかって、大変な思いをしている、あるいは逮捕されている人たちもいる
 -中国では、自分たちが言いたいこと、本当のことを流しても都合が悪いことは消されていく
 -今やネットは国を超えてつながるので、国を超えた交流も可能だが、国を超えた監視も出来るので、ちょっと恐ろしい時代になった
・また、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は以下のように指摘している
-習近平氏はかねてから“中華民族の偉大な復興”とか“中国の夢”を戦略目標に掲げてきてる
-習近平氏の戦略は孫子の兵法、すなわち“戦わずして勝つ”ものだと言われており、策略と工作、あるいは情報戦略とインテリジェンスである
-中国の人民解放軍は戦争を武力戦とそれ以外の平時の戦争で切り分けており、平時の戦争は言論を使った戦争、心理戦、それから法律戦と定義している
-我々日本としても武力戦だけでなくて、こういったインテリジェンスを使った戦争も戦争だと思って、いろんな対策を講じる必要がある

以上ですが、中国公安部の「912専項行動工作組」は数千もの偽SNSアカウントを作成し、中国のプロパガンダを発信しており、一方で中国公安部の息がかかった“秘密警察”の活動は外国にいる国民の監視や取り締まりに止まらず、その国の機密情報も抜き取る諜報活動なども行っている可能性が高いといいます。
そして、こうした背景には 2013年に国家主席に就任した習氏による「統一戦線工作」戦略があるといい、この大号令のもと、公安部や“秘密警察”の対外的な諜報活動が強まったというのです。
更に2017年には企業や個人に国の情報活動への協力を義務付ける「国家情報法」が施行され、諜報活動などを強化したのです。
また、近年、嘘の情報を流すかたちの情報戦、プロパガンダも重視しており、嘘ではないが特定の意図を持って誘導するような情報発信がかなり目立つといいます。
一方で、自分たちが言いたいこと、本当のことを流しても都合が悪いことは消されていくのです。
習近平国家主席の戦略は“戦わずして勝つ”ものだと言われており、策略と工作、あるいは情報戦略とインテリジェンスだといいます。
また、中国の人民解放軍は平時の戦争は言論を使った戦争、心理戦、そして法律戦と定義しているといいます。

ということで、習近平国家主席はかねてから“中華民族の偉大な復興”、あるいは“中国の夢”を戦略目標に掲げてきており、それはすなわち日本も含めて他国からすれば、中国共産党にとって都合のいいかたち、すなわち“中国共産党ファースト”で自由や人権が尊重されないというような国際社会に再構築することなのです。
こうした目標を達成すべく、その具体的な手段として、以下のような取り組みが展開されているわけです。
・一帯一路政策
・南シナ海の人工島の建設による実効支配
・アフリカや太平洋の島しょ国など、途上国の中国陣営への取り込み
・こうした多くの途上国の取り込みによる国連の実効支配

そして、こうした習近平政権の戦略目標の遂行に対する他国からの批判に対しては、全て“内政干渉”の一言で済ませ、一切の妥協はしないのです。
同時に国連憲章についても都合よく解釈し、あるいは無視して覇権主義の世界展開に取り組んでいるのです。
一連の“諜報活動”はこうした戦略目標達成のための情報戦略と言えます。

ということで、アメリカを中心とする民主主義陣営の国々は、こうした中国による国際社会の再構築の実現、すなわち民主主義とは合い入れない、そして自由や人権を軽視する習近平国家主席による“中華民族の偉大な復興”に対して、断固として立ち向かう必要があるのです。
なお、先日行われた岸田首相によるアフリカ歴訪(こちらを参照)は、アフリカ諸国を民主主義陣営につなぎとめるための手段の一つといえます。

 
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