2023年05月15日
アイデアよもやま話 No.5578 SDGs達成に多大な貢献が期待出来る就活サイト「エシカル就活」 その1 「エシカル就活」とは・・・
国連が掲げているSDGs、持続可能な開発目標については、これまでアイデアよもやま話 No.5576 SDGsの達成 その2 SDGsとビジネスは両立出来るか!などで何度となくお伝えしてきました。
そうした中、2月3日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で就活サイト「エシカル就活」について取り上げていたので3回にわたってご紹介します。
1回目は、「エシカル就活」の内容についてです。

今、SDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)を巡って、学生の就職先選び、あるいは企業の採用方針に大きな変化が起きています。

これから本格的な就職活動シーズンを迎える大学3年生の清水碧さんは次のようにおっしゃっています。
「誰かの役に立ちたいというのが多分自分の中で大きいのかなと思っていて、問題に立ち向かえる企業が自分の就活軸であります。」

社会課題への関心が高いとされるZ世代(こちらを参照)の若者、清水さんも貧困や多様性などの問題に取り組みたいと考えていました。
そこで最近使い始めたのが「エシカル就活」、社会に貢献したい学生と企業をつなぐ就活サイトです。
この就活サイトについて、清水さんは次のようにおっしゃっています。
「どの社会課題に取り組んでいるかがピックアップされてたりとか、自分にとって必要な情報が最短距離で見れるかな。」
「業種や業界で絞るんじゃなくて、自分がどの社会課題に興味があるかで絞ることを肯定してくれる。」

関心がある項目を選び、検索すると、関連する問題に取り組む企業が表示されます。

鎌倉の名所、鶴岡八幡宮、その目の前にエシカル就活を開発した企業があります。
株式会社アレスグッド、まだ創業2年のスタートアップです。
率いるのは24歳のZ世代社長、勝見仁泰さん、1年半ほど前にエシカル就活を開発しました。
勝見さんは次のようにおっしゃっています。
「エシカルは元々“倫理的な”だったりとか、“道徳上の”という意味合いがあるんですけど、本当にサステナビリティに関心ある方々を採用したいニーズはかなり高まっているな。」
「毎月、10数社からお問い合わせが来ている状況。」

現在、50社以上が活用するエシカル就活、企業は登録する学生に自社の取り組みをアピール出来る他、社会課題に関心を持つ学生の情報を見て、直接スカウトすることも出来ます。
サービス開始間もない中、登録する学生は既に5000人を超えました。
人気の裏にある理由について、勝見さんは次のようにおっしゃっています。
「これが実際にはまだ弊社の中で公開出来ていないんですけども、企業様のサステナビリティの取り組みをスコア化したものになっております。」
「赤色がビジョンとかミッションですね。」
「青色が実際の自社の取り組み。」

企業から直接ヒアリングする他、専門家などの助言をもとに独自に審査、基準を満たした企業だけがサイトに掲載出来るのです。
勝見さんは次のようにおっしゃっています。
「サステナビリティをやっている企業に人・モノ・金・情報がちゃんと集まるようなインフラを作りたいと思っているのが僕らのミッション。」
「それがエシカル就活。」
「企業の中で「それは我々は出来ないですよ」とか、「うちはそういうのじゃないから」と言ってしまう企業は間違いなく淘汰される。」

就活を変えるZ世代企業家、勝見仁泰さんが企業に求められる新たな人材戦力に迫ります。
「(起業の理由について、)元々自分自身が2年ぐらい前に大学生で就職活動している時に、今回のテーマでもあるSDGsを軸に就職活動してたんですけど、中々自分に合った企業が見つからなかったという原体験から、じゃあ自分で会社を興そうと考えてエシカル就活を始めました。」

SDGsに積極的に取り組む企業かどうかが就活生の志望度にどう影響するかという調査がこちらです。
「とても影響する」と答えた人が5.8%でしたが、「やや影響する」と答えた人は34.2%に上り、合わせると4割の人が志望度が上がるとしています。
就職活動というと、自分を自己PRする場というのがありますけれども、そういうところ、SDGsを見て学生さんが判断するところに来ている状況について、勝見さんは次のようにおっしゃっています。
「まさにおっしゃる通りで、こういったSDGsという言葉自体がいろいろなところで使われたりとか、するようになるが故に、逆にSDGsウォッシュという言葉が生まれてきてまして、何かというと、SDGsをやってるっていうふうに口だけは言ってるんだけれども、実はやっていない、行動が伴っていない、そういった企業も生まれているので、そういうのを我々がしっかりと厳選して、企業さんと対話して、学生に有益な情報を届ける、それがエシカル就活というサービスになっています。」
「(スコア化するということですが、ちゃんとした基準を持っているのかどうかについて、)おっしゃる通りですね。」
「例えば、先ほどお話ししたミッション、ビジョンだったりとか、それから具体的な社会課題の取り組み、そして従業員の声、こういったかたちで企業さんをこういうふうに検索していただいているというような状況です。」
「(学生さんもちょっとSDGsやっていこうかなという、そういう方もいるのかについて、)いますね。」
「学生さんが要は、取り組みと発言が伴っていないという方々もいるので、そこはこれからもっともっとしっかりと注視していきたいなと思っています。」
「(その基準を満たしたという企業ですが、数でいうと50社ということで、ちょっと少ない状況について、)おっしゃる通りで、ここは我々の事業の課題でもあると思ってまして、やはり学生さんにとって、選択肢が少ないっていうのは非常にあまり良く体験だと思っています。」
「(マッチングもしずらくなるという指摘に対して、)まさに一方で、ただ増やせばいいだけじゃないと思っていて、我々もしっかりと厳選をして、本当の先ほどのSDGsウォッシュじゃない企業を掲載すると。」
「ここはこれからの我々の事業の課題でもあると思っています。」
「(これからどんどん増やしていくということなのかという問いに対して、)はい、おっしゃる通りです。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・Z世代の若者は貧困や多様性などの社会課題への関心が高いとされている
・こうしたZ世代の若者の問題意識に応えるべく、24歳のZ世代社長、勝見仁泰さん率いるアレスグッドは1年半ほど前に社会に貢献したい学生と企業をつなぐ就活サイト「エシカル就活」を立ち上げた
・このサイトのミッションは、サステナビリティに積極的に取り組む企業に人・モノ・金・情報がちゃんと集まるようなインフラを提供することである
・エシカル就活の内容は以下の通りである
-掲載企業がどの社会課題に取り組んでいるかなど、学生にとって必要な情報が最短距離で見ることが出来るような仕組みになっている
 -学生が関心がある項目を選び、検索すると、関連する問題に取り組む企業が表示される
-企業から直接ヒアリングする他、専門家などの助言をもとに独自に審査し、基準を満たした企業だけがサイトに掲載出来る
-現在、企業のサステナビリティの取り組みをスコア化し、その公開に向けて取り組んでいる
・登録する学生は既に5000人を超えており、50社以上が活用している
・企業は登録する学生に自社の取り組みをアピール出来る他、社会課題に関心を持つ学生の情報を見て、直接スカウトすることも出来る

これまで繰り返し、お伝えしてきたように、地球温暖化はどんどん進み、巨大台風や集中豪雨の発生回数が増え、あるいは海水の温度上昇による海面の上昇など、私たちの暮らしや経済など、様々なところに影響が出てきています。
こうした状況を食い止めるべく、世界的な目標として「2050年までにCO2排出量を実質ゼロに」を掲げ、そのための手段として国連ではSDGsを設定しています。
こうした中、特にZ世代の若者は貧困や多様性などの社会課題への関心が高いとされており、一方でSDGsの達成に消極的な企業は社会的な評価が得られないような状況になりつつあります。
このような状況において、SDGsに熱心な企業への就職を希望するZ世代の若者が増えてきており、一方でSDGsの達成に積極的に取り組む企業は社会課題への関心が高いZ世代の若者を求めているのです。
こうした状況において、アレスグッドはこうしたZ世代の若者と企業とのマッチングをする就活サイト「エシカル就活」を立ち上げたわけです。
その大きな特徴は、アレスグッドの設定した基準を満たした企業だけがサイトに掲載されること、そして掲載された企業は社会課題に関心を持つ学生を直接スカウト出来ることです。
ここにはアレスグッドの創業者である勝見社長の明確な意図が感じられます。
要するに、SDGsの達成に積極的な企業と社会課題に高い関心を持つ学生を効率的、かつ効果的に結びつける環境の整備です。
そして、こうした結びつきにより、個々の企業が効率的、かつ効果的にSDGsの達成を可能にすると思い描いているのです。

これまでは世間的に一流企業として名の知れた企業、あるいは高い給料や福利厚生の整った企業を就職先に選ぶのが一般的な就活生の就職活動でしたが、アレスグッドはこうした就活基準をSDGsという1つの基準で企業と就活生の間を取り持つシステムを作り上げたのです。
ですから「エシカル就活」を国内外で展開していけば、人材の観点から世界的にSDGs達成の起爆剤となる可能性を秘めているのです。
そして、こうした輪が世界的に広がっていくことによって、世界全体としてSDGsの達成が可能になる、すなわち持続可能(サステナブル)な社会が実現すると勝見さんは確信しているのだと思います。
ですから、アレスグッドの事業活動はSDGs達成を目指して「エシカル就活」をベースに今後ともいろいろなかたちで広がっていくと見込まれます。

 
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