2023年05月09日
アイデアよもやま話 No.5576 SDGsの達成 その2 SDGsとビジネスは両立出来るか!
国連が掲げているSDGs、持続可能な開発目標、17の項目ですが(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)、2030年までにこれらの達成を目指していこうというものです。
こうした中、「ワールドビジネスサテライト(BWS)」(テレビ東京)では1月30日(月)の週に「SDGsの達成」をテーマに取り上げていたので3回にわたってご紹介します。
2回目は1月31日(火)放送分から「SDGsとビジネスは両立出来るか」についてです。

自然由来の素材を使い、世界中に店舗を展開するアメリカのシューズメーカー、オールバーズのトップが来日し、WBSの単独取材に応じました。
SDGsとビジネスは両立するものなのでしょうか。

東京・丸の内にあるオールバーズ、一見普通の店舗と変わらないように見えますが、スニーカーの底はバイオ燃料などを作る過程で出るサトウキビの搾りかすを使用、そして、布地は石油由来ではなくて羊の毛です。
全てのスニーカーに自然由来の素材を使っています。
箱に付いている紐はそのまま靴紐として使えます。
以下は来店した2人の男性客の声です。
「環境にもかなり配慮しているブランドなので、どうせ履くなら、そういうブランドのものを身に付けたいなと。」

「軽かったですね。」
「柔らかい履き心地が気に入りました。」

価格は1万円〜2万円程度、決して安くはありませんが、リピーターも多いといいます。
この日、来日していたのがオールバーズの創業者の一人、ティム・ブラウンCEOで、次のようにおっしゃっています。
「カーボンフットプリントは製品の製造でどれだけ環境に影響を及ぼすかの指標で、自分たちが製造する全ての製品に数値をふり、効果的に数字を表示しています。」

販売されるシューズや洋服にナンバーが書いてあります。
これは、素材の調達から製造・廃棄に至るまでの温室効果ガスの排出量をCO2換算で数値化したものです。
スニーカーの9.9という数字は、約10kg分のCO2を排出したことを示しています。
環境への負荷を“見える化”したのです。
ブラウンさんは次のようにおっしゃっています。
「(ビジネスとサスティナブル(持続可能)な商品づくりのバランスの取り方について、)その2つが別ものだと思っていません。」
「目的とビジネスは互いに支え合うものです。」
「今、環境に配慮するため自然な原料を使って欲しいという消費者の願いがあります。」
「大きなチャンスが訪れています。」

コロナ禍の前に比べると売り上げは必ずしもよくありませんが、オールバーズは、最大の特徴である環境への負荷の数値化のノウハウを他の企業に公開しています。
ブラウンさんは次のようにおっしゃっています。
「オールバーズが今、目指しているのは他社が追うことが出来る前例となること。」
「カーボンフットプリントが製品を評価する新しい基準になると信じています。」
「(日本のSDGsの取り組みは世界からどう見られているのかについて、)日本は今、事業・製品・サービスを再考し始める重要な時だと理解していることは確かです。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

オールバーズによる全て自然由来の素材を使っているスニーカーへの取り組みについて以下にまとめてみました。
・底はバイオ燃料などを作る過程で出るサトウキビの搾りかすを使用している。
・布地は石油由来ではなくて羊の毛を使用している。
・スニーカーを入れる箱に付いている紐はそのまま靴紐として使用出来る。
・販売されるシューズや洋服には素材の調達から製造・廃棄に至るまでの温室効果ガスの排出量をCO2換算で数値化したカーボンフットプリントが記されている。

なお、このシューズの価格は決して安くはありませんが、履き心地がよく、環境に関心を持つ人たちの増加に伴い、リピーターも多いといいます。

また、持続可能な社会、あるいはSDGsへの消費者の関心の高まりが、商品を購入する際にサスティナブルな商品が無視出来ないほどの選択要件にまで高まりつつある状況をもたらしているのです。
ですから、ブラウンさんはビジネスとサステナビリティ(持続可能性)は相互に支え合うものであると考え、大きなチャンスと捉えているのです。
更に、こうした環境に配慮したビジネスは世界的な取り組みが必要なことから、オールバーズはその先駆けとなり、最大の特徴である環境への負荷の数値化のノウハウを他の企業に公開しているのです。
また、加工食品の原料原産地表示が2022年4月から義務化されたように(こちらを参照)、近い将来、ブラウンさんもおっしゃっているように、カーボンフットプリントが製品を評価する新しい基準として普及するはずです。
そして、地球温暖化による悪影響を世界中の人たちが実感する程度が高まるにつれて、どんどん今回ご紹介したスニーカーのような商品の売れ行きが上昇していくと見込まれるのです。

ということで、SDGsとビジネスの両立は私たち人類に課せられた共通の課題なのです。
そして、今回ご紹介したオールバーズはその先駆けのうちの1社なのです。

 
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