2023年05月08日
アイデアよもやま話 No.5569 SDGsの達成 その1 つくる責任、つかう責任!
「ワールドビジネスサテライト(BWS)」(テレビ東京)では1月30日(月)の週に「SDGsの達成」をテーマに取り上げていたので3回にわたってご紹介します。
1回目は1月30日(月)放送分から「つくる責任、つかう責任」についてです。

国連が掲げているSDGs、持続可能な開発目標、17の項目(ゴール)ですが(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)、2030年までにこれらの達成を目指していこうというものです。
なお、今回のテーマ「つくる責任、つかう責任」はゴール12です。

古い新聞や雑誌の回収など、リサイクルが進んでいるように思われる紙なんですが、段ボールと比べますと、十分でないんですね。(リサイクル率 段ボール:96.7%、紙:80%)
そうした中、イオンモールが今月から紙の完全リサイクルを目指す新たな試みを始めました。
神奈川県座間市にあるイオンモール座間、ファーストフード店や飲食店などが立ち並ぶフードコートは昼時になると多くの家族連れで賑わいます。
しかし、今、ある問題が。
イオンモール座間の川端徹彦さんは次のようにおっしゃっています。
「プラスチックのストローを紙に替えてもらうかたちで取り組んでおりまして、ごみが増えているのが現状でございます。」

“脱プラスチック”で紙への切り替えが進んだことや新型コロナによってテーブルの消毒用にペーパータオルを備え付けたことなどから燃えるごみが1割ほど増えたのです。
そこで新たな取り組みを始めました。
フードコートから出たごみはごみを分別する倉庫へ運ばれていきます。
ごみが入れられたボックスには「燃えるごみ」ではなく、「フードコート客席紙ごみ専用」と書かれていました。
川端さんは次のようにおっしゃっています。
「今まで燃やしていた紙ごみを今回の取り組みで、紙ごみについては再生するようなかたちで取り組んでいきます。」

フードコートでお客が捨てる包装容器や紙コップは月に約2トンにも及びます。
そこで、この店では座間市などと協力し、今月から紙ごみを再生するプロジェクトを始めたのです。

移動すること1時間半、富士山の麓にある静岡県富士市の製紙会社、コアレックス信栄株式会社に着きました。
原料となる古紙が集められている倉庫には、捨てられていたはずの包装紙や紙コップが目立ちます。
川端さんは次のようにおっしゃっています。
「これを原料として、再生紙100%のトイレットペーパー、ティッシュペーパーを作っております。」

そもそもリサイクルされる紙と燃やされる紙は何が違うのでしょうか。
佐野仁専務執行役員は次のようにおっしゃっています。
「こちらは一般的に再生されている段ボール、新聞、雑誌、牛乳パック。」
「こちらは「難再生古紙」で、一般的には焼却処分されている古紙になります。」

防水加工された紙コップやアルミ箔の付いた飲料や菓子の容器は、紙以外の異物が混ざり、再生が難しいと言われています。
佐野さんは次のようにおっしゃっています。
「複合素材や汚れがあるものも一つの資源として捉えていて、これらを機械的に取り除いて再生出来る技術を持っております。」

これまで捨てられていた大量の紙ごみを資源へと変える新たな試み、紙の完全リサイクルを目指す独自技術とはいったいどんな技術なのでしょうか。
静岡県富士市のコアレックス信栄ではリサイクルが難しい、汚れが付いたり、異物が混ざったりしていても再生出来るといいます。
巨大な洗濯機のような機械に古紙をそのまま投入、水と特殊な薬品を加えて溶かします。
水に溶けた古紙はタワーに移されます。
約12時間かけてふやかし、異物を取り除き易くするのがポイントです。
遠心力によって重量異物を除去していくのです。
機械から出てきたのは紙ごみに混じっていたクリップやバインダーなどの様々な金具です。
またフィルターに通し、フィルムやプラスチックなど軽い異物も取り除きます。
更に下から空気を出して気泡にインクを付着させて除去します。
黒い泡が印刷に使われていたインクです。
全ての作業が終わると、紙らしい白い色に変わりました。
幅およそ3m、直径およそ2.5mの巨大な紙に再生されました。
この工場では再生紙によるトイレットペーパーを1日およそ110万個生産出来るのです。
製紙としては後発のコアレックス信栄は大手が使わなそうな紙ごみを原料にするため、この独自の技術を開発しました。
今、自治体や企業などから問い合わせが相次いでいます。
佐野さんは次のようにおっしゃっています。
「焼却されていたものが資源として分別されて回れば100%リサイクルしていくと。」

再び神奈川県座間市のイオンモール、スーパーにはフードコートの紙ごみなどを再生して作られたトイレットペーパーが並べられていました。
今後、再生の取り組みをフードコートから広げて、ごみ処理にかかるコストの削減を目指す考えです。
川端さんは次のようにおっしゃっています。
「燃やすごみは今まで唯一リサイクル出来ていなかった品目ですので、再利用されるのが理想的なことであると考えていますので。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで包装紙や紙コップなどの古紙のリサイクルは技術的に難しいとされて、一般的には焼却処分されてきました。
焼却処分されるということは、そのために大なり小なりCO2を排出することになります。
そうした中、コアレックス信栄は、こうした古紙を原料とする、再生紙100%のトイレットペーパー、ティッシュペーパーの製造技術を開発したわけです。
こうした紙の完全リサイクルを目指す独自技術について以下にまとめてみました。
・巨大な洗濯機のような機械に古紙をそのまま投入する
・水と特殊な薬品を加えて溶かす
・水に溶けた古紙をタワーに移す
・約12時間かけてふやかし、異物を取り除き易くする
・遠心力によって重量異物を除去する
・フィルターに通し、フィルムやプラスチックなど軽い異物も除去する
・更に下から空気を出して気泡にインクを付着させて除去する

現在、この古紙のリサイクル技術について、自治体や企業などから問い合わせが相次いでおり、イオンモール座間では座間市などと協力し、今年1月からこの技術を使った、紙ごみを再生するプロジェクトを始めたのです。
今後、こうした動きが全国展開、あるいは世界的に水平展開されることが求められます。

なお、コアレックス信栄が開発した紙の完全リサイクルを目指す独自技術も、そのための様々なパーツ、および運用に伴い、電力を必要とします。
そして、今や、SDGsの観点からは、全てのプロセスを通して、実質“CO2排出量ゼロ”が求められるのです。
ですから、SDGsの達成はまだまだ道半ばで、更に多くのアイデア、そして、そのアイデアをかたちにするための技術開発が求められるのです。
こうした世界的な取り組みが早急に行われなければ、温暖化が急速に進み、私たちの暮らしは取り返しのつかないような状況に置かれることになるのです。

こうした状況下において、ロシアによるウクライナ侵攻は起きてしまいました。
この侵攻により、ウクライナの国民の多くは大変な犠牲を強いられています。
同時に、欧米や日本などが対抗措置としてロシアからの天然ガスの輸入を止めたため、世界規模で石炭や石油の消費量の増加などによるCO2排出量の増加ももたらしています。
ですから、ロシアのプーチン大統領はウクライナ、一国のみならず、世界規模で悪影響をもたらしていると言えます。
しかも、この侵攻は長期にわたるとの専門家の見方もあります。
ですから、国連、あるいはアメリカを中心とする民主主義陣営の国々は、何としても早急にプーチン大統領の戦闘意欲を削ぐ状況をもたらすことに取り組まなければならないのです。

ということで、SDGsの達成には、普段の暮らしにおいてCO2排出量をゼロにするだけでなく、戦争や紛争などによるCO2排出量の増加を抑止することも必要なのです。
ですから、何としてもロシアによるウクライナ侵攻の早期収束や中国による台湾進攻などを食い止めることもとても重要なのです。

 
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