2023年04月29日
プロジェクト管理と日常生活 No.815 『日本は極東のポーランド!?』
昨年11月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本は極東のポーランドという見方について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

ポーランドにミサイルが着弾し、市民2人が死亡した問題で欧米各国とウクライナ側でミサイルを巡る見解が一致しません。
ウクライナのゼレンスキー大統領は次のようにおっしゃっています。
「ウクライナ軍から上告を受けた。」
「ウクライナのミサイルではないと信じて疑わない。」

一方、ポーランドとNATO(北大西洋条約機構)は「ミサイルはロシアのミサイルを迎撃するために発射された、ウクライナの地対空ミサイルの可能性が高い」との見方が広がっています。
また、現地記者の見解では、「ウクライナを攻撃しているロシアに最も責任がある」との見解で一致しているとのことです。

こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「最近、日本の安全保障関係者の間でよく使われる言葉があるんですけども「日本は極東のポーランド」という言葉なんですね。」
「つまり、今、ロシアがウクライナに侵攻して以来、ポーランドは軍事物資の供給をする前線基地になっていますし、大量の難民を受け入れることもやっています。」
「で、それが翻って、じゃあ中国が台湾に侵攻した場合は、ポーランドの役割を果たすのはどこかと言ったら日本になると思うんですね。」
「実際、今、宮古とか石垣、いわゆる先島諸島には10万人の日本人が住んでいるわけですが、今回の件はそこにミサイルが着弾したというようなことに例えられるわけですね。」
「それが台湾から来たものかとか、中国から来たものかは犠牲者が出たという意味でいくと、そこは同じことなんですね。」
「で、今、実際、中国というのは尖閣(諸島)の一部を戦域と見なしている節がありますから、そういう意味では台湾やポーランドで起きていることは日本にとってはシミュレーションだと思った方がいいです。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

ロシアによるウクライナ侵攻の状況下において、ポーランドにミサイルが着弾し、市民2人が死亡した問題はまさに地政学的問題と言えます。
原因がウクライナ軍によるものなのか、ロシア軍によるものなのか、その原因については、「ミサイルはロシアのミサイルを迎撃するために発射された、ウクライナの地対空ミサイルの可能性が高い」との見方が広がっています。
しかし、どちらにしても元を正せば、ロシアによるウクライナ侵攻が根本的な原因です。
そして、今回の件はポーランドがウクライナと隣接しているという地政学的な観点からすれば、当然起こり得る問題だったのです。

翻って、台湾や中国と隣り合わせの日本もこうした地政学的なリスク(添付参照)を抱えているわけです。
すなわち、中国による台湾への軍事的な侵攻成功の次は日本の尖閣諸島侵攻、更には沖縄侵攻といったリスクの高まりをもたらすのです。
ですから、日本政府も“台湾有事は日本有事でもある”というような表現をしているわけです。

そこでこうした中国リスクの対応策ですが、日本が単独で対応することはほとんど不可能です。
そこでこうしたリスク対応策ですが、大きく以下の2段構えになります。
・中国による台湾への軍事的侵攻の阻止
・中国による台湾への軍事的侵攻が成功した場合の日本への軍事的侵攻の阻止

なお、習近平国家主席の目論見は“中国を中心とした国際社会への再構築”です。
ですから、こうした目論見が中国共産党政権とした、いかにを自由と人権が尊重されない国際社会をもたらすかということを日本政府はアメリカを中心とする自由主義陣営の国々と共同で途上国を中心に国際社会に働きかける一方で、軍事的な台湾進攻は中国にとっても破滅の道を歩むことになるということを納得させることがリスク対応策としてとても重要なのです。


添付)

地政学的リスクとは *ChatGPTより
地政学的リスクとは、国家や地域の地政学的な状況によって引き起こされる潜在的なリスクや問題のことを指します。地政学的リスクは、政治的・軍事的・経済的・文化的な要因によって引き起こされることがあります。
例えば、国際的な紛争やテロ攻撃、貿易摩擦、自然災害などが地政学的リスクとして挙げられます。また、国境を接する国家との関係や、地域の人口構成、文化的・宗教的な対立なども地政学的リスクの要因となることがあります。
企業や投資家は、地政学的リスクを十分に考慮してビジネス戦略を立てる必要があります。政治的な不安定要素や社会的な動揺がある地域に投資を行う場合は、地政学的リスクに対するリスクマネジメントが必要となります。

 
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