2023年04月08日
プロジェクト管理と日常生活 No.812 『量子計算機でも破れない新暗号!』
昨年10月24日(木)付け凸版印刷株式会社のホームページの記事(こちらを参照)で量子計算機(量子コンピューター)でも破れない新暗号について取り上げていたのでその一部をまとめてご紹介します。 

(開発の背景)
・電子メールや、オンラインショッピング、キャッシュレス決済、各種電子申請など、情報社会におけるインターネットサービスは、公開鍵暗号に基づく電子署名や認証と鍵交換、及び共通鍵暗号によるデータの暗号化などによって安全に守られています。
・しかし、研究開発が急速に進展している量子コンピュータによって、現在普及している暗号技術が破られる恐れがあります。そこで、量子コンピュータが実用化されても解読が困難とされる耐量子計算機暗号への移行準備が始まっています。その移行は、かつてない規模で2025年頃から本格化すると予想されます。
・NISTでは耐量子計算機暗号の標準化を進めており、2022年7月にその候補となる技術の選定結果を公表しました。選定された暗号方式は事実上の世界標準になり、今後世界中で置き換えが進められていくと考えられています。米国ではすでに2022年5月、大統領令が発布され、量子コンピュータがサイバーセキュリティにもたらすリスクに対処するため、強固な新暗号技術の確立と普及への動きが始まっています。
・新しい暗号方式への移行は、完全に置き換わるまでに10年規模の時間を要すると予想されることから、量子コンピュータの実用化のスピードに間に合わせるべく、早急な取り組みが必要になります。

(量子計算機でも破れない新暗号を搭載したICカードの開発)
・凸版印刷株式会社と国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長: 徳田 英幸、以下 NICT(エヌアイシーティー))は、量子コンピュータでも解読が困難な耐量子計算機暗号(Post-quantum cryptography 以下PQC)を搭載したICカード「PQC CARD®」を世界で初めて開発し、NICTが運用するテストベッド「保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システム」における医療従事者のICカード認証と電子カルテデータへのアクセス制御に適用し、その有効性の検証に成功しました。

(今後の目標)
・凸版印刷は、「PQC CARD®」と関連システムに関し、2025年には医療や金融などの用途で限定的な実用化を行い、2030年に本格的な提供開始を目指します。
・また、凸版印刷とNICTは、この技術を活用し、高秘匿情報を将来にわたって安全に流通、保管、利活用できる量子セキュアクラウド技術の実用化に向けた取り組みを推進していきます。ICカードのセキュリティにとどまらず、インターネットのセキュリティを担保する基盤技術として、電子メールや、オンラインショッピング、キャッシュレス決済、ネットバンキング、また、現行暗号方式で技術確立が進むIoT関連システムやコネクテッドカーなどへのPQCの適用・拡大を目指します。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

インターネット社会では、時間や場所に制約されず、いつでもどこでも誰とでもコミュニケーションを取ることが出来ます。
しかし、そこで取り扱われるデータは個人情報をはじめ全てのデータがデジタル化されていることが大前提です。
ところがデジタル化されているということは、パスワードが分かりさえすれば、誰もがいつでもどこでもどのデータでもアクセス出来るということなのです。
そして、以前からネット社会を生きていくうえで、個人情報の漏洩が大きな懸念材料になっていました。

どんなに素晴らしい商品でも安全性が担保されていなければ、安心して消費したり、使ったりすることは出来ません。
インターネット社会における様々なサービスも同様です。
そして、今や電子マネー、あるいはマイナンバー制度の普及により、万一これらに関連する個人情報や企業情報、あるいは国家の最高機密が漏洩した場合の影響は計り知れません。
社会的な大混乱をきたします。
そうした中、今回ご紹介した「量子計算機でも破れない新暗号」の有効性の検証が成功したことは大変な朗報と言えます。
ということで、1日でも早く、この新暗号が様々な分野で実用化して欲しいと願います。

さて、リスク管理には様々なレベルがありますが、今回ご紹介したような漏洩リスクは最大級のリスクと言えます。
ですから、それに相対するような最高のリスク対応策が求められるのです。

 
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