2023年03月11日
プロジェクト管理と日常生活 No.808 『台湾有事は日本有事!?』
これまで台湾有事についてはアイデアよもやま話 No.5379 米中の武力衝突の可能性!などでお伝えしてきました。
昨年11月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で台湾有事は日本有事であることについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「いかに台湾有事が日本企業の有事であるかについて4つまとめました。」
「その1つ目は、まず日本企業が人質になるということですなんですね。」
「(人質になるということはどういうことかについて、)今、中国には万単位で日本企業が進出していますし、台湾にも3000以上の企業が進出している状況なんです。」
「で、今、ロシアの状況を見ていると分かると思うんですが、ロシアに進出してる企業は今、事業の停止だとか撤退の憂き目にあっているわけですね。」
「それと同じことが起きるということですよね。」
「2つ目は半導体の供給難、台湾は先端半導体の供給拠点になっていますから、ここが封鎖されるという危機があるということです。」
「それから3番目のシーレーン封鎖は、中東からのエネルギーの海運の通り道になっている。」
「そこが封鎖される恐れがありますから、迂回せざるを得なくなって、エネルギーの価格の上昇リスクにさらされるということですね。」
「それから4番目のインバウンド減少、これは中国と日本の関係が悪化すれば、当然中国政府がやってくることですね。」
「(ウクライナと違って、中国や台湾は隣国なだけに日本に与える影響は非常に大きいのではという指摘に対して、)ですから岸田総理もかなり重い十字架を背負ってこの首脳会談に臨んでいるわけですよ。」
「ですから台湾問題に対しての懸念をしっかり伝えると同時に、一方であまりいたずらに関係を悪化させるような方向に持っていくのも得策ではないわけで、非常にそういう意味ではしたたかな外交が求められている中で岸田総理がぶれずに今回どうやったかどうかというのが一番のチェックポイントだと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

いかに台湾有事が日本企業の有事であるかについて、山川さんは以下の4つをあげております。
・日本企業が人質になること
・半導体の供給難
・シーレーン封鎖
・インバウンドの減少

私たちはロシアによるウクライナ侵攻を通して、世界のグローバル化、およびその中でのサプライチェーンの危うさを実感させられました。
多くの商品の供給不足、そして物価の上昇といった影響は今も続いています。

なお、台湾有事については、1月29日(日)付けネット記事(こちらを参照)では以下のように報じています。

・米空軍のマイク・ミニハン大将が、2025年に台湾有事が起き、米中間で戦争になる可能性があるとのメモを作成し、空軍内で共有していたことが明らかになった。
・メモには「間違いであることを願う。直感では25年に我々は戦うことになる」と記してあった。24年に台湾総統選と米大統領選が行われることに触れ、直後の台湾有事を想定していた。射撃訓練の準備を急ぐよう指示した内容もあった。
・21年に米インド太平洋軍司令官だったフィリップ・デービッドソン氏は、27年までに中国の台湾侵攻が起こりうるとの見方を米議会に示していた。

また、2月17日(金)付けネット記事(こちらを参照)でも以下のように報じています。

・もはや「台湾有事」はあるか、ないかの問題ではない。それが、いつ起きるか、という問題だ。多くの専門家がそう警鐘を鳴らす。
・例えば、米ジョンズ・ホプキンス大学のハル・ブランズ特別教授と、米タフツ大学のマイケル・ベックリー准教授の共著『デンジャー・ゾーン 迫る中国との衝突』(奥山真司訳、飛鳥新社)は、序章を「2025年1月8日、いままさに戦争が始まろうとしていた」と書き出す。
・今月2日には、米CIA(中央情報局)のウィリアム・バーンズ長官が講演のなかで、「27年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えるよう、習近平国家主席が人民解放軍に指示した」との情報を明かした。
・参考になるのが、今月9日、米有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が公表した台湾有事シミュレーションだ。26年の侵攻を想定し、24通りの戦闘シナリオを分析した。
・そのうち、中国が勝利するシナリオは2つだけ。1つは、米軍が介入しない場合。もう1つは、米軍は介入するが、日本が中立を守り、在日米軍の戦闘作戦行動を認めない「ラグナロク(終末の日)」シナリオ。
・以上は、中国当局者も読んだに違いない。もし米専門家らの予測どおり、台湾有事が発生した場合、その帰趨(きすう)を決めるのは、ほかでもない、わが日本国である。

以上、2つのネット記事の要点は以下の通りです。
・もはや「台湾有事」はいつ起きるかが問題だと多くの専門家が警鐘を鳴らす。
・その時期は早ければ2025年、遅くとも2027年という。
・なお、習近平国家主席は「2027年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えるよう人民解放軍に指示した」との情報がある。
・2月9日、米有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が公表した台湾有事シミュレーションは、26年の侵攻を想定し、24通りの戦闘シナリオを分析した。
・そのうち、中国が勝利するシナリオは2つだけで、1つは、米軍が介入しない場合。もう1つは、米軍は介入するが、日本が中立を守り、在日米軍の戦闘作戦行動を認めない「ラグナロク(終末の日)」シナリオ。

なお、米有力シンクタンクが公表した台湾有事で中国が勝利するシナリオは2つだけで、1つは米軍が介入しない場合ですが、これは最近のバイデン大統領の発言から米軍の介入はほぼ確実です。
もう1つは日本が中立を守り、在日米軍の戦闘作戦行動を認めないことですが、これも最近の日米関係を考えれば、ほぼあり得ません。

ということで、米有力シンクタンクのシナリオからは、中国による台湾進攻は失敗に終わるという見込みが高いようです。
しかし、だからといって、もし中国による台湾進攻が現実のものとなれば、米軍基地のある日本の領土、あるいは国民が無傷で終わることはあり得ません。
そして、日経ビジネスの編集委員、山川さんの指摘されているように日本経済は大打撃を受けることは明らかです。
ですから台湾有事はまさしく日本有事なのです。
更に、最悪のケースは台湾有事がNATO諸国やロシア、北朝鮮なども巻き込んで第三次世界大戦の勃発、すなわち最大級の世界有事につながることです。

ということで、何とかこうした状況を客観的に把握したうえで、習近平国家主席には台湾問題を平和的に解決する道を歩んでいただきたいと思います。

リスクには個人レベルから国際レベルまで大小様々なレベルのものがありますが、中国による台湾進攻は国際平和を破戒する最大級のリスクと言えます。
勿論、今も収束の目処のつかないロシアによるウクライナ侵攻もこれに次ぐ大きなリスクと言えます。

 
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