2023年02月18日
プロジェクト管理と日常生活 No.802 『空飛ぶクルマのリスクと課題』
空飛ぶクルマについてアイデアよもやま話 No.5435 空飛ぶクルマの最前線!、およびNo.5436 ちょっと一休み その852 『空飛ぶクルマの歴史』などでお伝えしてきました。
今回は昨年10月1日(土)放送の「ついに未来がやってきた!空飛ぶクルマ大全集」をテーマに取り上げていた「NHKBSプレミアム」(NHKBS)を通して空飛ぶクルマのリスクと課題に焦点を当ててご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

近い将来、実用化するという空飛ぶクルマ、しかし安全面は大丈夫なのでしょうか。
航空工学が専門の東京大学特任教授、鈴木真二さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱり空を飛ぶ機械ですから落下した時が一番心配なんですね。」
「それに関しては、飛行機の安全基準をこういった新しい空飛ぶクルマにも適用しようということで、そこを解決しようとしています。」
「1つのプロペラが止まっても安全に飛べるとか、そういった単一の故障では墜落しないということを保証して飛ばそうと。」
「そういうことですね。」
「それから落下した時に、衝突した時のエネルギーを吸収するような構造にしたりですとか、他にもパラシュート、それからエアバッグ、そういうものも今開発が進んでいるところなんですね。」

「(近い未来、空飛ぶクルマが飛び交うような世界になった時の衝突の危険性について)、そういうことが起きると危険ですので、例えば自動車でも最近カメラですとかレーザーですとか、そういったもので障害物を検知するようなシステムがありますよね。」
「こういった新しい飛行機もそういうものの開発が進んでいますが、一方で鳥のようなものが空を飛んでいるわけですので、それをよけることは中々難しいということで、これに関しては「鳥がぶつかった場合に墜落することがないような安全性を保証して開発して下さい」というようなことが求められているということはありますね。」

またテトラ・アビエーションの中井CEOは次のようにおっしゃっています。
「飛ぶものとして例えば今の旅客機でもカナダガンというような大型の鳥を吸い込んでしまうような事故が起こったりしています。」
「で、そういったことがもう当然起こり得る前提で、なるべく鳥が怖がるような音を出したりとか、そういったところに近づかない場所に離着陸場を作ったりとか、メーカーも運行業者もそこに対して努力しているので、そういったかたちで新しい技術が出てくるんじゃないかなと思っています。」

鈴木教授は次のようにおっしゃっています。
「(空飛ぶクルマの弱点について、)今の飛行機もそうですけど、やはり台風の時には飛ばないわけですよね、」
「そういった自然の環境をちゃんとモニターして安全な状況下で飛ばすということは空を飛ぶものの宿命かないというところはありますよね。」

スカイドライブの福澤CEOは次のようにおっしゃっています。
「(自動操縦になって、何かあった場合について、)今、ちょうど自動運転のクルマでも同じ議論がされているかなと思ってまして、例えば遠隔で万が一の時は操作するだとか、自動だけれど万が一の時は緊急で降りる場所を探してゆっくる降りるとか、そういったところの開発が世界各地で進んでいます。」

またテトラ・アビエーションの中井CEOは次のようにおっしゃっています。
「飛行機の世界は自動運転が一番盛んで、離着陸が全部自動で行われるぐらいの技術が進化していますし、最近発売された小型機はパイロットの方が心臓が痛いとなって、運転出来なくなっても、乗客の方がボタンを押すだけで近くの飛行場まで自動で降りる機能もついていたりします。」
「そういったかたちで飛行機は一番自動運転が進んでるんですね。」

鈴木教授は次のようにおっしゃっています。
「(空飛ぶクルマが実現するうえで一番大事なことについて、)社会が抱えている課題を解決する。」
「やはり自由に空を飛びたいっていう希望をかなえてくれるっていうのは大きいんですけど、困っている時に困っている人を助ける役割を非常に期待されています。」
「それは地方が人が少なくなってきた時に生活をどうやって維持するかということもありますし、災害時の救助や緊急医療ですね、」
「そういったところでドクターヘリはあるわけなんですけど、まだまだ数が限られてますので、そういうところで活躍出来るものをまずは作り上げていくのが大事なんじゃないかなと思いますね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を参考に、飛ぶクルマのリスク、および対応策について以下にまとめてみました。
・故障やバッテリー切れなどによる落下
⇒ 飛行機の安全基準を適用
  1つのプロペラが止まっても安全に飛行可能
落下時に衝突した時のエネルギーを吸収するような構造
パラシュートやエアバッグの装備
緊急時の着陸場所の設置
・飛行時の鳥などとの衝突
⇒ 障害物検知システムの装備
鳥が近づいてくると鳥が怖がるような音を出すこと
鳥が近づかない場所に離着陸場を設置
・台風など悪天候での飛行中の事故
 ⇒ 自然環境のモニター
・自動操縦での事故
⇒ 緊急時の着陸場所の設置
乗客が緊急ボタンを押すだけで近くの飛行場、あるいは緊急時の着陸場所まで誘導
遠隔操作により緊急時の着陸場所に誘導
・空飛ぶクルマ間の衝突事故
⇒ 飛行可能区域の設定
飛行ルートの設定

次は課題についてです。
・社会が抱えている課題の解決
 ⇒ 災害時の救助や緊急医療など、困っている時に困っている人の支援
・騒音防止
 ⇒ 騒音の少ないモーターの開発
   騒音防止装置の開発
・フル充電での飛行可能距離の延長
 ⇒ 機体やバッテリーなどの軽量化
   より容量の多いバッテリーの開発
   より高い性能のモーターの開発
・小さな機体で陸・水・空、いずれにおいても簡単な切り替えで移動出来るような空飛ぶクルマの開発

こうしてまとめてみると、自動運転車、および空飛ぶクルマの開発が相まって、それぞれの関連技術がお互いの開発を支援するかたちで大変なスピードで移動手段の革命が進んでいるというのが現状ではないでしょうか。

 
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