2023年01月19日
アイデアよもやま話 No.5482 東大で「メタバース工学部」が開講!
昨年9月23日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で東大によるで「メタバース工学部」の開講について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

インターネット上の仮想空間、メタバースを活用して東京大学が新しい教育体験の提供に乗り出しました。
東京大学の本郷キャンパスで今日開かれたのは東京大学が10月に開校する「メタバース工学部」の設立記念式典です。
ソニーグループやリクルートなど6社の協力のもと、メタバース空間を使って、社会人向けにAIや5G通信などの専門知識が学べるオンライン講座を提供します。
東京大学工学部長の染谷隆夫教授は次のようにおっしゃっています。
「アバター(分身キャラ)で学ぶことによって、プライバシーに対する十分な配慮が出来る。」
「従来のオンライン授業よりも、より率直な意見交換、あるいはライブ感のある意見交換が可能になると。」

また、社会人向けだけでなく、中高生は原則無料で工学の基本知識を学べる講座も用意されています。
この「メタバース工学部」、設立の背景にあるのは「工学系人材」の不足です。
染谷教授は次のようにおっしゃっています。
「DX人材が不足しているのは日本にとっても大きな問題だと思っています。」
「女性人材、あるいは文系の素養があり、工学やテクノロジーに興味を持っていただける方、こういう人材をもっと増やしていく必要があると。」

一方、協力企業、リクルートの柏村美生執行役員は次のようにおっしゃっています。
「データ活用に関しては特に日々の業務に直結する学びだと思いますし、また、これからの新規事業開発にも本当に欠かせないスキルなんですよね。」
「世代を超えて、エリアを超えて、多様な人材が一つの場に、メタバースの世界に集まるのはとても魅力で、化学反応が起きると思うんです。」

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱりデジタル時代に即した教育の進化だと思うんですよね。」
「で、遠隔地に住んでいたり、金銭的な負担があったりで、今まで出来なかった人たちがこういう簡易なやり方で手軽に出来るというのは非常に大きいと思う。」
「で、もう一つは、理工系の人材の学部の数の定員が日本は少ないんですよね。」
「もう一つは女性、これ志望者が少ない。」
「更にもう一ついうと、日本は職場、あるいは学校と家庭、この2つの空間が非常に時間を占めるんですけど、どちらでもない自由に活動出来るサードプレイスというところで学びを広げるという、これが使われれば、学びの場が広がると思うんですよね。」
「(日本はコロナ禍でリモート授業も徐々に広がっており、時間や距離の壁を越えられるようになったのは大きいと思うが、まだ日本は遅れているかという問いに対して、)日本でも大学が無料で授業をオンラインで公開するという、日本最大のオンライン大学講座「JMOOC」が始まっているんです。」
「ただ、まだ知名度が低いですし、あまり規模もおおきくなっていない。」
「で、もともとアメリカで「MOOC」というものがあって、数千万人規模の人が受けてるんですね。」
「ですので、今回の東大の工学部の動きをきっかけに、いろんな大学でこの取り組みが加速するということを期待したいですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまでメタバースについてはNo.5478 ちょっと一休み その859 『 ユーミンの新曲発表はメタバース内だった!』などで何度かお伝えしてきました。
メタバースは今や産業界のニューフロンティアと言えるほど、様々なかたちで社会に浸透されつつあります。
そして、今後とも関連企業の急成長が期待出来ます。
なお、メタバースの本質は現実と仮想現実との融合にあり、これまでのビジネスプロセスを再構築する可能性を秘めています。
従って今後、メタバース関連を中心に「工学系人材」の需要が急増することが見込まれます。
そうした中、東京大学が新しい教育体験を提供すべく、「メタバース工学部」を開講したことはとても理に適っています。
その内容を以下にまとめてみました。
・社会人向けにAIや5G通信などの専門知識が学べるオンライン講座を提供する
・アバターで学ぶことによりプライバシーに十分な配慮が出来る
・従来のオンライン授業よりも、より率直な、あるいはライブ感のある意見交換が可能になる
・中高生は原則無料で工学の基本知識を学べる講座も用意されている
・従って、誰もがいつでもどこでも無料で、あるいは比較的低価格で学ぶことが出来る
・また、世代を超えて、エリアを超えて、多様な人材がメタバースの世界に集まることにより化学反応が起きると見込まれる

なお、日本最大のオンライン大学講座「JMOOC」が以前から開講されており、歴史、統計学、プログラミング、心理学など、多岐に渡るジャンルの講座を学ぶことが出来ます。
ですので、原田さんも指摘されているように、今回の東大の「メタバース工学部」の開講をきっかけに、いろんな大学でこうした取り組みが加速することがより広範囲で、より質の高い講座内容につながると期待出来ます。
こうした中で「工学系人材」のみならず、工学系の基礎知識を理解した人材が増えることにより、メタバースがより早く社会に浸透し、私たちの暮らしがより豊かになると期待出来るのです。

 
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