2023年01月12日
アイデアよもやま話 No.5476 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その2 日本初の独自宇宙ステーション建設!
今や、宇宙ビジネスが産業界のニューフロンティアとして注目を集めています。
そして、これまでアイデアよもやま話 No.4707 ロケットの洋上打ち上げで宇宙ビジネス拡大へ!などでご紹介してきました。
そこで、3回にわたって日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例についてご紹介します。
2回目は、昨年12月8日(木)付けネット記事(こちらを参照)を通して、日本のベンチャー企業による日本初の独自宇宙ステーション建設計画についてです。
なお、日付は全て記事掲載のものです。

・日本の宇宙ベンチャー「DigitalBlast(デジタルブラスト)」(東京都千代田区)が、独自の商用宇宙ステーション建設を計画していることがわかった。米国では民間企業数社が建設計画を公表しているが、日本企業による構想が明らかになるのは初めて。
・12日に東京都内で開催される宇宙関連イベントで同社が発表する。建設費用は総額3000億〜5000億円と見積もっており、協力企業などを募る。国際宇宙ステーション(ISS)は2030年で運用を終える見通しで、「ポストISS」を見据えて30年以降の完成を目指す。
 同社によると、新ステーションは地球低軌道(高度400〜500キロ)を周回。ISSの日本実験棟「きぼう」(長さ約11メートル、直径約4メートル)の7割程度の大きさの円筒形のモジュール(構成パーツ)を三つ組み合わせた設計にする。30年までに一つ目のモジュールを打ち上げる計画だ。
 三つのモジュールは、実験棟▽居住機能などを備えるコアモジュール▽エンターテインメント棟――とする。実験棟は官民が宇宙実験の場として有償利用できる。エンタメ棟は、宇宙と地上をつなぎ、定額で動画などの配信を地上で受けられるサブスクリプションサービスを展開する。
 運用経費は年間6000億円と試算しており、新ステーションを活用した事業から捻出する。将来的には小惑星探査機などの発着点として活用し、持ち帰った試料の貯蔵や実験場所としての利用も想定している。
 同社はこれまで、人工的に重力を発生させて宇宙で植物を栽培する実験装置の開発などに取り組んだ。11月には宇宙旅行事業などを手がける米宇宙ベンチャー「アクシオムスペース」と協力関係も築いた。
 デジタルブラストの堀口真吾・最高経営責任者(CEO)は「日本の民間会社が宇宙ステーションを建設することで、国内の宇宙利用の自由度が上がる。日本が保有している技術も生かせるはずだ」と意義を強調した。
 世界の宇宙ステーションはISSが中心だったが、老朽化が進んだことなどを理由に、米国は30年で運用を終える計画で、日本も追随した。一方、中国は11月に独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させた。米国でも「ブルーオリジン」など複数の宇宙企業が20年代後半に新たな商用宇宙ステーションを建設する予定だ。
 文部科学省の担当者は「日本でも民間企業が主導して宇宙ステーションを建設する動きが出たことを歓迎したい。宇宙利用が活性化されることを期待している」と話した。

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

また、昨年12月12日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもこの商業宇宙ステーションについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今日、都内で宇宙ビジネスに取り組む企業が技術を披露しあう展示会「NIHONBASHI SPACE WEEK2022」が開催され、参加団体は昨年よりも5割近く増えました。
中でも注目されていたのは株式会社デジタルブラストで開発中の国内初の商業宇宙ステーションです。
堀口真吾CEOは次のようにおっしゃっています。
「例えばですけども、宇宙でのスタジオであったりとか、(そこから)中継をしたり、宇宙と地上をVR(仮想現実)でつなぐような空間をこちらで再現する。」

今後、協力企業を募って資金を確保し、2028年までに最初のモジュールの打ち上げを目指します。
「これまで国際宇宙ステーションは国際的な規則に従っていたので、自由に使おうと思ってもNGが出てしまうということがあったんですね。」
「(民間主体ならば)自由な使い方が出来るというところで、ビジネスとして展開するうえで幅が広がると。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

なお、デジタルブラストの公式ページには以下の記述があります。

“宇宙に価値を”提供するため常に挑戦し、宇宙産業の変革を実現していきます。

そこで、日本企業による構想が明らかになるのは初めてという、デジタルブラストによる商用宇宙ステーションで展開予定のビジネスについて以下にまとめてみました。
・小惑星探査機などの発着点として活用する
・小惑星探査機などが持ち帰った試料の貯蔵や実験場所として利用する
・植物工場を建設する
・米宇宙ベンチャー「アクシオムスペース」と協力し、宇宙旅行事業などを手がける
・スタジオ中継をする
・宇宙と地上をVRでつなぐような空間を再現する

なお、世界の宇宙ステーションはISSが中心でしたが、老朽化が進んだことなどを理由に、2030年で運用を終える計画です。
一方、中国は昨年11月に独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させました。
アメリカでも「ブルーオリジン」など複数の宇宙企業が2020年代後半に新たな商用宇宙ステーションを建設する予定です。
そうした中、デジタルブラストの堀口CEOがおっしゃるように、日本の民間会社が宇宙ステーションを建設することで、国内の宇宙利用の自由度が上がります。
その結果、新たにいろいろなビジネスチャンスが生まれます。
ですから、国はこうした宇宙ベンチャーに対して資金面での支援をする価値が大いにあると思います。

 
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