昨年9月15日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で若者に広がるスマホ証券について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
資産運用というと、ある程度の年齢を重ねた人が行うものというイメージを持つ人が多いかと思いますが、今、興味を持つ若者も増えています。
その時に使うのがスマホで、手軽さが受けているといいます。
証券各社は若者を狙い、このスマホを使ったサービスに相次いで参入しています。
都内で今日行われた証券サービスの説明会、ペイペイ証券の番所健児社長は次のようにおっしゃっています。
「貯めるとか、お金を増やすですとか、そういった基本的なものの価値観をサービスで置き換えていくとか、そういったことをやっていくと、」
ペイペイ証券は先月からペイペイ内のアプリで100円から投資が出来るサービスを開始、6種類のコースから選ぶことが出来、ペイペイの残高で金融商品を購入します。
メインとなるターゲット層はこれまで資産運用に馴染みのなかった20代や30代です。
番所社長は次のようにおっしゃっています。
「(スマホ)決済は常に手元にある、そういう意味では相性がいいようなものなのかなと思っています。」
こうしたスマホから投資が出来るサービスはここ数年で増えていて、複数のポイントから投資が出来るものや、1株から購入可能なものなど、どれもハードルの低さを特徴としています。(こちらを参照)
利用者が増えている傾向は更に若い世代にもあります。
ライン証券が行ったアンケートでは19歳以下の8割以上(84%)が投資を18歳から始めたいと回答、投資への意識が高まっています。
TORANOTEC株式会社(トラノテック 東京・港区)が提供するサービスでも10代の利用者が増加しています。
資産運用アプリ「トラノコ」を運用するトラノテック投信投資顧問の斎藤博隆さんは次のようにおっしゃっています。
「2021年は2020年に比べて「トラノコ」に対する申し込みが倍くらいの数字になっています。」
このサービスの特徴は、買い物の際のおつりや歩いたり、アンケートに答えたりするともらえるポイントも投資に回すことが出来ることです。
若者が投資をする目的について、斎藤さんは次のようにおっしゃっています。
「趣味・関心事に関するお金を積み立てる、もしくは旅行のためにお金を積み立てたいと思っているお客様が多いように思いますね。」
10代の利用者の7割以上が趣味や旅行に使うお金のためと答え、老後のためと答えた人も1割近くいたといいます。
投資をする若者はこれからも増えていくと見込んでいます。
斎藤さんは次のようにおっしゃっています。
「高校でも投資の教育が始まってくるというような状況の中で、投資に関する興味が湧いてくる場面が非常に多くなっているのかなと思いますね。」
「投資を始めてない方も含めて、多くの人に投資に参加していただきたいと。」
こうした状況について、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は次のようにおっしゃっています。
「こういった若者が資産形成をやるのはとてもいいことだと思うんですが、ただ一つ重要なポイントを強調したくて、資産形成というのは終身雇用とノットイコール、真逆の考えなんじゃないかと思うんですね。」
「私、アメリカの大学に就職したんですけど、一番最初に受けたレクチャーが投資信託の運用だったんです。」
「アメリカの会社って、就職すると一番最初に資産形成の研修を受けるんですね。」
「というのは、アメリカは終身雇用ではありませんから、いくらうちの会社で給料を稼いでも、いつかは辞めるかも知れないから、ちゃんと自分の力で最初から人生のための投資、資産形成をしておきなさいというレクチャーをするんですよ。」
「そう考えると、日本がなんで今まで若い方が投資しないかというと、終身雇用だったからなんですよね。」
「だから会社に守られてきたわけです。」
「ということは、資産形成を促したいのであれば、むしろこれからの時代は終身雇用の時代というよりは若い方が自らの力でキャリアを替えたり、選んでいくと。」
「そういうことがあるから資産形成が大事なんだよと、ここまで説明していくことが大事なんじゃないかなと思っています。」
「(そういう意味では、個人の意識を変えていくこと、それから会社も意識を変えていく時代だという指摘に対して、)そう思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
なお、No.5460 ちょっと一休み その856 『総利益50億円のトップ個人投資家』でもお伝えしたように、若い世代の個人投資家の中には株式投資で何十億円という利益をあげている人がいるし、毎年一定金額の範囲内で購入した株式投資などの金融商品から得られる利益が非課税になる国の制度、NISAもこうした若い世代の投資意欲を高めます。
こうした若い世代を巡る株式投資について以下にまとめてみました。
・こうしたスマホから投資が出来るサービスはここ数年で増えており、どれもハードルの低さを特徴としている
・メインとなるターゲット層はこれまで資産運用に馴染みのなかった20代や30代である
・スマホ決済は常に手元にあるのでこうしたサービスと相性がいい
・このサービスの利用者は若い世代でも増加傾向にある
・このサービスの特徴は、買い物の際のおつりや歩いたり、アンケートに答えたりするともらえるポイントも投資に回すことが出来る
・10代の利用者の7割以上が趣味や旅行に使うお金のためと答え、老後のためと答えた人も1割近くいる(アンケート調査の結果)
・高校でも投資の教育が始まってくるというような状況である
・アメリカの会社では、就職すると一番最初に資産形成の研修を受ける
・その狙いは、終身雇用を前提としない状況における、自分の力で最初から人生のための投資、資産形成をしておくことの必要性の理解にある
確かに、スマホで、しかも100円単位などの小額投資が出来れば、株価下落による損失も少なくて済みます。
また、テクノロジーの変化のスピードの速いビジネス環境では、産業界のけん引役となる企業の入れ替わりは激しいものとなります。
ですから、必然的に終身雇用は概して縮小していくものと見込まれます。
そうした中、一流企業と言われる企業に就職しても10年単位で見れば、自分の先行きがどうなるか、予想が付きません。
そうした中、自分の人生を経済的に安定したものにするために、自らによる資産形成が求められるというわけです。
そういう意味で、スマホ証券は時代の要請を見込んで生まれたと言えます。
そして、こうした動きを後押しする国の支援策の一つがNISAと言えます。
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