2023年01月06日
アイデアよもやま話 No.5471 ロシアによるウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪を裁けるか!
昨年9月12日(月)放送の「ニュースウォッチ9」(NHK総合テレビ)でロシアによるウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪への取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。 

ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、ウクライナではロシア軍の指揮命令系統をたどり、上官などの責任を問おうとしています。
調査団体から情報提供を受けるウクライナ検察庁 戦争犯罪局では、国内法に則り、これまでに5件の裁判にこぎつけています。
ユーリ・ベローゾフ局長は次のようにおっしゃっています。
「ウクライナでこのような惨劇を犯している人々は明確に責任を負うべきだ。」
「まさに指揮命令系統を証明しなければならない。」
「罪を犯しているならば、人生の大半を我が国の刑務所で過ごす覚悟をさせるのだ。」
「このことは明らかに戦争犯罪の抑止効果になる。」

戦時下で行われる戦争犯罪の調査、そこには“裁判の証拠にする以外にも大きな意義”があると、国際調査団体「べリングキャット」のエリオット・ヒギンズさんは次のようにおっしゃっています。
「証拠は法的な説明責任としてだけでなく、戦争の歴史の記録でもある。」
「何が起きたのか、ロシアが何をしたのか、人々の記録に残すためでもある。」
「ロシアが負うべき責任を私たちは忘れない。」
「膨大な情報を有効に活用するためにはもっと時間と労力が必要だ。」

この戦争犯罪を巡っては、ロシアでもウクライナ兵の裁判が始まっています。
また、EUの5ヵ国はウクライナとの合同捜査を行うことを決めるなど、動きが活発化しています。
捜査の困難が多いようですが、そんな中でも事実を記録し、記憶することで戦争という過ちを再び繰り返させない、こうした断固とした姿勢が今求められていると感じました。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそも一般的な犯罪において、容疑者を特定する際には証拠を見つけることが必須です。
ですから戦争犯罪においても同様のプロセスが必要になるわけです。
しかし、戦場において、相手国のどの兵士がどのようなかたちで犯罪に参加したのか、それはどの上官の命令で行ったのかを指揮命令系統をたどり、証拠レベルで確認し、上官なども含めて責任を問おうとすることは戦争の規模が大きくなるほど大変な労力を伴います。
しかも、一つの戦争において全ての戦争犯罪に決着をつけるには何年かかるか分かりません。
そうしている間に証拠になるようなものはどんどん少なくなっていきます。

また、今回のロシアによるウクライナ侵攻では、侵攻直後において、兵士もその所属する軍組織も演習の一環と認識していたといいます。
このような兵士はウクライナ侵攻を決断したプーチン大統領の被害者と言えます。

確かにウクライナ検察庁 戦争犯罪局のベローゾフ局長がおっしゃっているように、戦争犯罪者を特定し、処罰することには戦争犯罪の抑止効果があります。
また、こうした戦争犯罪を記録し、一つの歴史上の事実として残すことも後世の人たちに 戦争という過ちを再び繰り返させないという意識を持たせるうえで効果があります。
それでもやはり戦争の規模が大きくなるに従って、戦争犯罪を裁くことには限界があります。
ですから、やはりいかに紛争や戦争のない平和な国際社会を築くかにより一層注力することが求められるのです。

 
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