2023年01月03日
アイデアよもやま話 No.5468 今や無法地帯化している国際社会!
前回、アイデアよもやま話 No.5467 パナソニックHDが家事支援サービスを開始!でパナソニックHDが展開する、家族旅行の計画づくりや買い物の代行など、家事を支援するコンシェルジュサービスについてご紹介しました。
企業がこうした「物と心が共に豊かになる社会」の実現を目指す取り組みは本来の企業のあり方だと思います。

しかし、現在、こうした社会の実現を目指す動きがある一方で、世界的に大きな懸念材料があります。
それは国際社会の無法地帯化です。

国際社会はかたちのうえでは国際連邦(国連)という組織があり、加盟国は武力に依存しない平和的解決、あるいは人権の尊重などの内容が含まれた国連憲章(参照:No.4956 ちょっと一休み その774 『中国による“内政干渉”の一言で物事が進んでいいのか?』)を順守することが求められます。
ところが、今や国連の常任理事国であるロシアは武力統一を目指してウクライナ侵攻を続けています。
また同じく常任理事国である中国は香港や新疆ウイグル自治区で人権無視の政策を続け、南シナ海では勝手に領有権を主張し続けています。
更に、現在、台湾の武力統一も取りざたされています。
なお、2021年10月23日付けネット記事(こちらを参照)には以下の記述があります。

2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が重要な判決を下した。仲裁裁判所は、1994年に発効した「国連海洋法条約」に基づき、中国の南シナ海における主権主張を退ける判断を示したのである。

ところが中国は、仲裁裁判所の判決に従おうとしない。それどころか、判決を“紙くず”呼ばわりして無視したうえ、岩礁を埋め立ててつくった人工島に滑走路やレーダーなどを建設しはじめたのである。

中国はアメリカに睨まれても姿勢を変えることはなく、対立国への示威行動を続けた。2020年には中国の巡視船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させたり、マレーシアの国営石油会社が資源開発する海域に自国の調査船を派遣するなど、挑発的な動きがますます目立つようになった。

2021年になってからも、中国の挑発行為は止まらない。フィリピンが南沙諸島で実効支配する島の軍事拠点化計画を進めていると、3月に200隻以上の中国船団が出現し、長期停泊を続けた。その船団のなかには中国海軍の軍艦も含まれていたという。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

本来、5ヵ国の常任理事国が自ら率先して国連憲章を順守し、国際社会をリードすべきなのです。
そして、国連憲章には以下の記述があります。(こちらを参照)

第6条
この憲章に掲げる原則に執ように違反した国際連合加盟国は、総会が、安全保障理事会の勧告に基いて、この機構から除名することができる。

ですから、常任理事国以外の国連加盟国が国連憲章に掲げる原則に執ように違反した場合は、国連から除名することが出来るのです。
ところが肝心の常任理事国であるロシア、中国の2ヵ国は国連憲章をことごとく無視した行動を取り続けているのです。
しかも、国連憲章第27条により、安保理常任理事国は手続き事項を除く全ての事項に関する安保理議案への拒否権を持っており、安保理常任理事国のうち1ヶ国でも反対すれば、議案は成立しないのです。
また同108条により、安保理常任理事国は国連憲章の改正に対しても拒否権を持つのです。(こちらを参照)

ですから、5ヵ国の常任理事国はそのいづれもが国連憲章に違反した行為を行っても、自らが拒否権を行使することによって議案を不成立にすることが出来るのです。
言わば、犯罪者が自ら犯した罪を無効にする権利を持っているようなものなのです。

さすがに、こうした状況については賛否両論があるといいます。
ウィキペディアには以下の記述があります。(こちらを参照)

拒否権は大国の反対によって安全保障理事会の決定の実効性が失われるのを防ぐ事を趣旨とする大国一致の原則に基づくものであるが、賛否両論がある。

拒否権支持派は、拒否権を国際的な安定の促進、軍事介入に対する牽制とみなしている。

他方、拒否権批判派は、拒否権について「国際連合の最も非民主的な要素であり、常任理事国とその同盟国に対する国際連合の行動を事実上妨げるため、戦争犯罪や人道に対する罪への国際連合の不作為の主な原因となる」としている。

このように拒否権について賛否両論はあるものの、国連加盟国が順守すべき国連憲章はあるのですが、常任理事国の特権で国連憲章をはじめ、主な国連のルールの改正が出来ないのです。
また常任理事国が国連憲章に違反した際の罰則も第6条により、事実上、常任理事国の特権で罰せられることがないのです。
こうした状況が核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用を3本柱とする「核不拡散条約」(NPT)の再検討会議にも影響を及ぼしているのです。(参照:アイデアよもやま話 No.5464 NPT会議、再び決裂!

そもそも国連は1945年10月に51ヵ国の加盟国で設立されましたが、現在、世界の国の数は196ヵ国で、そのうち加盟国は193ヵ国なので設立当初に比べて4倍近くまで増えていることになります。
こうした状況において、未だに設立当初のまま常任理事国が5ヵ国で、その大きな特権が維持されているという状況がロシアや中国の暴挙を許しているのです。
そして、こうした暴挙が北朝鮮による核兵器開発を許すことにつながっているのです。

なお、現在のこうした暴挙に対して、各国独自に、あるいは協力して以下のような対応策が取られています。
・輸入関税の引き上げ
・安全保障などの観点からの特定製品の禁輸
・資産の凍結

しかし、資源の豊富なロシアや中国に対しては国を揺るがすほどの実効性がなく、従っていまだにロシアによるウクライナ侵攻は続いています。
しかも休戦の目処さえ立っていません。

ということで、国連加盟国は、常任理事国の特権の見直しをはじめ、抜本的な国連の仕組みの見直しに真剣に取り組むことが求められるのです。
そうしなければ、今後ともロシアや中国による暴挙、あるいは北朝鮮の核兵器開発などを止めることが出来ないのです。
その結果、第三次世界大戦をもたらす可能性はどんどん高まっていくのです。

こうしてみると、現在、日本は国家安全保障の観点から、「敵基地攻撃能力」の保有に向けて膨大な予算をつけようとしていますが、一方で国連のあり方についても平和維持の観点から積極的に国連に働きかけるべきだと思うのです。
全てにおいて“平和的な解決”こそが最善の国家安全保障対策だからです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています