ロシアによるウクライナ侵攻は依然、収束の目処が立たず、ロシアの形勢が不利になってきた中でプーチン大統領は核兵器の使用をちらつかせています。
なお、核兵器に関する国際条約として核兵器の不拡散に関する条約「ＮＰＴ」（略称：「核拡散防止条約」、または「核不拡散条約」）があり、核兵器の廃絶を目的にアメリカ・フランス・イギリス・中国・ロシアの核所有５ヵ国以外の核兵器の今後保有を禁止しようというものです。（こちらを参照）
そうした中、８月２７日（土）付けネット記事（こちらを参照）で再び決裂したＮＰＴ会議について取り上げていたのでその一部をご紹介します。
核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用を３本柱とする「核不拡散条約」（NPT）の再検討会議は26日午後（日本時間27日未明）、米ニューヨークの国連本部で最終日を迎えた。コンセンサス（意見の一致）による「最終文書」の採択をめざしていたが、ロシアが同意せず、決裂した。
前回15年の会議では中東の非核地帯構想をめぐって交渉が決裂し、最終文書を採択できなかった。2回連続で決裂したことにより、NPT体制への信頼は揺らぐことになる。
以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。
また８月２７日（土）付けネット記事（こちらを参照）でも同様のテーマを取り上げていたのでその一部をご紹介します。
岸田首相は8月1日に再検討会議に出席し、�ヽ吠軸鑄垰藩僂侶兮海僚斗彑�を共有��透明性の向上�３吠軸鐃瑤慮詐�傾向維持�こ吠軸錣良坡隼兇噺胸厠呂諒刃妥�利用�コ胴饂愼骸圓糧鑁�地訪問を通じた被爆の実相の正確な認識拡大――の五つの柱からなる「ヒロシマ・アクション・プラン」を訴えた。これについて首相は「ヒロシマ・アクション・プランを発表し、意義ある成果を収めるべく文書採択に向けてできる限りの努力を続けた。非常に残念だ」と述べた。来年5月に広島で開かれる主要7カ国首脳会議（G7サミット）などに触れ「核兵器のない世界の実現に向けて機運を高め現実的な取り組みを一歩ずつ粘り強く着実に進めたい」と述べた。
以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。
なお、アイデアよもやま話 No.5261 ロシアが核兵器を使う時！でもお伝えしたように、ウクライナ侵攻におけるプーチン大統領の狙いが「ロシア帝国の復活」にあるとすれば、軍事侵攻はキーウにとどまらずバルト３国の首都まで及ぶと見込まれます。
そうした中、ロシアの形勢が非常に不利になってきた場合にはウクライナ軍の士気をくじく狙いで核兵器の使用に及ぶ可能性は高まります。
こうした状況において、ＮＰＴ会議で「最終文書」の採択にロシアが同意せず、決裂したのは当然です。
プーチン大統領はあくまでも「ロシア帝国の復活」にこだわっている以上、ＮＰＴ会議に限らず、他の国際会議においてもロシアは国連の常任理事国の立場を利用して、「ロシア帝国の復活」の阻止につながる取り決めについては全て拒否権を発動すると見込まれます。
こうしてロシアによるウクライナ侵攻が、核兵器の投入をチラつかせつつロシアの満足のいく結果で終息すれば、引き続きバルト３国もロシアの標的になります。
しかも、こうしたロシアの動きは中国による台湾侵攻の可能性を高めることになります。
更に北朝鮮も増々核兵器開発に邁進することになります。
またロシアによるウクライナ侵攻は化石燃料の供給などサプライチェーン、更に世界経済に大きな影響を及ぼしております。
こうした状況において、さすがに国連安全保障委員会（国連安保理）の機能強化に向けた動きが国連にありました。
１２月１６日（金）放送の「国際報道２０２２」（ＮＨＫ総合テレビ）では以下のように報じています。
大国同士の対立で機能不全に陥っている国連安保理について、改革が急務だという意見が相次ぎました。
１２月１４日に開かれた、多国間主義をテーマにした会合の冒頭、グテーレス事務総長は以下の発言をしました。
「紛争は劇的に変わったが、国際的な協力の枠組みはその変化に追いついていません。」
各国からも、現在５ヵ国の常任理事国を増やすべきだとか、拒否権の行使に制限を設けるべきだといった意見が出されました。
一方、繰り返し拒否権を行使してきたロシアのネベンジャ国連大使は、“改革は必要”としながらもウクライナ情勢をめぐり、欧米側をあらためて非難、従来の主張を繰り返しました。
安保理の改革には“全ての常任理事国の同意を得て、国連憲章を改正する必要がある”ことから実現には至っていません。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
こうした国連安保理の機能不全から、残念ながら、現在の国連にはウクライナ侵攻において、国連の取り決めを無視し続けるロシアの動きを食い止める有効な手段を講じることが出来ない状態が続いています。
そもそも国連安保理については構造的欠陥があったのです。
安保理の改革には“全ての常任理事国の同意を得て、国連憲章を改正する必要がある”ことが必要である以上、１国でも拒否権を行使すれば、改革はいつまでたっても出来ないということになります。
こうした考え方は性善説がベースでなければ成り立たないのです。
ロシアのプーチン大統領のような確信犯的な行為を行う一国のリーダーに対しては現在の安保理の枠組みは全く機能しません。
本来であれば、プーチン大統領のような常任理事国のリーダーの登場を前提に安保理の枠組みをつくっておくべきだったのです。
ということで、安保理の機能不全対応策として以下の２つが考えられます。
・何らかの手段により拒否権の行使に制限を設けること
・現在の国連について、解体的出直しを図ること
いずれにしても、国連には早急に有効な対応策が求められます。
そうしなければ、今後とも安保理の機能不全により、ロシアによる更なる領土の拡大、あるいは中国による台湾進攻といったように常任理事国に起因する国際問題が繰り返し発生することになるのです。
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