2022年12月10日
プロジェクト管理と日常生活 No.775 『サッカーのW杯 カタール大会であった選手への中傷について』
決勝トーナメント1回戦で日本代表はクロアチア代表と延長前後半まで戦い1対1の引き分け、PK戦で敗れました。
日本代表がワールドカップでベスト8の壁を乗り越えられなかったのはこれで4度目となります。
それでも多くの多くの国民は予想以上に健闘した選手たちから沢山の感動をいただきました。
そうした中、12月2日(金)付けネット記事(こちらを参照)でサッカーのW杯 カタール大会であった日本代表選手への中傷について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

(日本代表選手への中傷)
・サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で1日(日本時間2日)、スペインに逆転勝ちして決勝トーナメント進出を果たした日本代表は、初戦で強豪ドイツから歴史的勝利を挙げたが、第2戦はコスタリカに敗戦。「手のひら返し」のように、ネット交流サービス(SNS)で一部選手らに対する激しい誹謗(ひぼう)中傷が広がっていた中、選手たちは平常心を保とうとしながら試合に臨んでいた。
・コスタリカ戦後に非難が集中したのは、中途半端なパスで相手の決勝点につながるミスをした主将の吉田麻也選手(34)=シャルケ=らだ。吉田選手のインスタグラムには「キャプテン失格」「戦犯」といった試合に関するものだけでなく、「(日本に)帰ってくんな」などと吐き捨てるような言葉もあった。バックパスを多く選択した伊藤洋輝選手(23)=シュツットガルト=のインスタグラムにも「お帰りください」「コスタリカの12人目の選手」など見るに堪えない言葉が並んだ。
・状況を見かねて、今大会の試合解説をしている元日本代表の本田圭佑さん(36)は自身のツイッターで「伊藤洋輝さんに関して安易な批判はやめるべき」だと訴えた。2008年北京オリンピックの野球代表で大会中に失策を連発しバッシングを受けたG・G・佐藤さん(44)もコスタリカ戦後、「日本代表の誇りを胸に戦っている選手に戦犯という言葉を使わないであげて。言葉の力は、勇気や希望を与える応援に使おう」とツイートした。

(IOCやFIFAの対応)
・SNS上での度を越した批判や誹謗中傷は、今回のW杯に限らずスポーツ選手たちを苦しめ、社会問題となっている。昨年の東京五輪では競技結果などを受け、選手が過剰な非難や攻撃を受けたことが問題になり、国際オリンピック委員会(IOC)が大会中に警鐘を鳴らす事態となった。
・国際サッカー連盟(FIFA)も今大会前、期間中に選手を守る取り組みを始めることを発表。FIFAが出場選手のSNSアカウントを監視して差別や脅迫を示唆する書き込みを抽出し、違反者を法務当局に通報する方針を示している。

(メンタルケア専門家のコメント)
・スポーツ選手のメンタルケアに詳しい大阪体育大の菅生貴之教授(スポーツ心理学)は「FIFAの対応は、ともすれば言論統制のような印象にもつながるが、選手の重圧を考慮すれば表現の自由と相殺される。適切な措置だと思う」と評価する。
・来年3月の野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)など大きなスポーツ大会が続く中で、SNSでの悪質な中傷に対する懸念は続く。菅生教授は今回のような手のひら返しの現象を「責任の所在が明らかにならないSNSの『ひずみ』の象徴だ」と指摘。「W杯でもマナーを称賛された日本人なら、良心に訴える余地はまだある」とした上で、競技団体などによる啓発活動や選手を守る対策の重要性も指摘した。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会ばかりでなく、どんなスポーツにおいても世界大会に日本を代表して出場する選手はどなたも日本という国を背負って一生懸命プレイに臨んでいるのです。
そして、過剰な緊張感などから普段の実力を出し切れなかったり、大きなミスをしてしまったりして、サポーターの期待を裏切るような結果を残すことは当然あり得るのです。
こうした場合、一番精神的に落ち込んでしまうのは選手本人だと思います。
そして、こうした選手が心機一転して次の試合に臨もうと思っている時に、サポーターからの心無い誹謗中傷を受けることは少なからず選手のやる気をそぐことになります。

そもそも世界大会に日本を代表する選手が出場するに際して、選手本人、日本代表の関係者、そしてサポーターである国民の誰もが少しでも良い成績、出来れば優勝トロフィーを獲得したいと望んでいるはずです。
このように考えると、今回の第2戦のコスタリカに敗戦した後の「手のひら返し」のようにSNS上での一部選手らに対する激しい誹謗中傷があったことは、選手に悪影響を及ぼすだけでなく、誹謗中傷した本人の望んでいる、より良い結果を残すという目的を自ら阻害していることになります。
ですから、優勝を目指す過程の試合で選手が負けてしまっても、次の試合から選手がやる気を取り戻して実力を出し切れるように効果的な声援を送るということが本来求められるのです。

一方で、日本を代表して戦う選手の方々には、どんな誹謗中傷があっても、平常心で常に心身ともにベストコンディションで試合に臨めるような強靭な精神力を身に付けていただきたいと思います。

なお、このような誹謗中傷のリスク対応策について、IOCやFIFAで取り組まれていますが、SNS上で無記名での投稿が出来る以上、人を介して誹謗中傷を抑えることはとても困難です。
ですから、こうしたリスク対応策にAIを駆使することはとても有効だと思います。
具体的には以下のような機能をAIに持たせることです。
・誹謗中傷に関連するキーワードでSNSへの投稿記事の内容をチェックし、該当者に対して「誹謗中傷の疑いあり」というような警告、「イエローカード」を発する
・それでも誹謗中傷と思われる行為が止まない場合は該当者に対して「法的措置を取る」というような強い警告「レッドカード」を発する
・同時に、明らかに誹謗中傷と思われるSNSへの投稿記事に対して、他の善良なSNSユーザーは「この記事は誹謗中傷が疑われる」というようなサインを残せるような仕組みを構築する

なお、無記名で投稿出来るSNSは、どうしても誹謗中傷の温床になりがちです。
そして、こうした誹謗中傷がエスカレートすることにより、その対象となった方の中には精神的に強いダメージを受けたり、更には自ら命を断つ犠牲者まで出てきています。
こうしたことはあってはならないのです。
だからといって、いろいろな制約を設けてしまうと、言いたいことも言えない状況になってしまいます。

ではどのようなことを拠り所にして、SNSを誰もが適切なコミュニケーションツールとして使い続けることが出来るかですが、それは憲法にも謳(うた)われているように「人権の尊重」です。
「人権の尊重」を損なうような内容の投稿を抑えるリスク対応策、およびコンティンジェンシープランをSNSの機能として持たせることだと思うのです。
具体的には先ほどお伝えしたような機能です。

 
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