2022年12月06日
アイデアよもやま話 No.5444 ビル・ゲイツさんが期待する日本の医療技術による途上国支援!
ビル・ゲイツさんについてはこれまでもNo.5364 ちょっと一休み その840 『アメリカの「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の活動について』などでお伝えしてきました。
そうした中、8月19日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でビル・ゲイツさんが期待を寄せる日本の医療技術による途上国支援について取り上げていたのでご紹介します。 

ワクチンの確保など、発展途上国の医療の改善が求められている中、日本を訪れたマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツさんは8月19日、日本企業の技術を生かして問題解決を目指す方針を発表し、次のようにおっしゃっています。
「パンデミックが終わったら、またグローバルヘルス(世界の保健衛生)の取り組みを再開しなければいけない。」

ゲイツさんは2年前にマイクロソフトの取締役を退任し、現在は自ら立ち上げた慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」で世界の医療問題の解決に取り組んでいます。
そして8月19日、日本企業の経営者とのシンポジウムを都内で開催し、日本の技術で途上国における医療環境の改善を目指す方針を示しました。
ゲイツさんは、日本企業の技術を結集すれば、助けを求めている人たちを救うことが出来ると訴えました。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また8月22日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でジャーナリストの池上彰さんによるゲイツさんへの単独インタビューについて取り上げていたのでご紹介します。

新型コロナウイルスが発生する4年前に感染症の世界的な大流行、パンデミックを予言していた人物がいます。
マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツさんです。
8月19日、日本を訪れたゲイツさんに池上さんがインタビューしました。
パンデミックのない未来のために何をすべきか、ゲイツさんに問いました。
ゲイツさんはインタビューで次のようにおっしゃっています。
「(日本への4年ぶりの訪問の目的について、)ゲイツ財団は「グローバルヘルス」、つまり子どもたちの命を救うために様々な取り組みをしています。」
「日本政府や民間企業はその活動を支援してくれる重要なパートナーです。」
「今回の目的は、私たちのパートナーシップをどう強化し、大勢の命を救うための資源をどう増やすかを話し合うことです。」

ゲイツさんが取り組んでいるのがグローバルヘルス、ゲイツさんが莫大な私財を投じて設立したゲイツ財団、2000年の設立以来600億ドル(約6兆9000億円)を製薬会社や研究機関などに提供してきました。

ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「世界的な健康・保健について「何とかしなければいけない」と思ったきっかけについて、)マイクロソフトが私にもたらした巨額の資金の使い道を考えた時、子どもの命を救うために使われるお金がいかに少ないか、そしてアフリカに暮らす子どもは日本やアメリカの子どもに比べて40倍も死亡する可能性が高いことに衝撃を受けたのです。」
「マラリア対策にほとんどお金が使われていなかったのです。」
「全ての命には同じ価値があり、私が生きている間に全ての子どもたちが平等に生きていけるようにしたいと私は決めたのです。」

豊かな国とそうではない国との医療格差の解消に向け、ゲイツさんが注目しているのが日本企業の技術です。
ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「ゲイツ財団が必要としているのは日本政府の支援だけではありません。」
「イノベーションが必要です。」
「そして新たな手法が必要です。」

塩野義製薬やNECなど、日本企業、11社の経営陣が集まったシンポジウム、ゲイツさんは、日本の技術を生かして発展途上国の医療問題の解決を目指すことを強調しました。
この取り組みに大手商社の豊田通商も参加します。
シニアエグゼクティブアドバイザーの加留部淳さんは次のようにおっしゃっています。
「私の会社はアフリカで「ラスト1マイル」の取り組みをしています。」

豊田通商が手掛けるのは、アフリカでのドローンを使った医療品の配送事業です。
道路が無く、クルマが通れない地域で空から医薬品を届けているのです。
しかし、この事業、すぐには利益が出ないといいます。
加留部さんは次のようにおっしゃっています。
「恐らく長い時間をかけないと事業としての利益は出ないと思います。」
「世界の保険・医療の水準を上げることは社会的な課題を解決するとか、経済そのものを伸ばすことに大きなインパクトがあると我々は思っています。」

ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「(日本には古くから「情けは人のためならず」という言葉があるが、つまり誰かを助けるとそれだけではない、世界を回りまわって、結局、自分たちのためになるんだという意識がとても大事だと思うが、)勿論です。」
「私たちは自分たちの活動に誇りを持たなければなりません。」
「とても充実した取り組みです。」
「アフリカの医療システムが改善されるほど、世界的に流行する前に感染拡大を防ぐことが容易になります。」

医療格差の解消に加え、ゲイツさんは新型コロナウイルスのようなパンデミックを防ぐための仕組みづくりが急務だと訴えます。

ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「(2015年にゲイツさんはパンデミックを予言されていたが、その理由について、)実際は予測しようとしたわけではありません。」
「恐ろしい事態が起きるリスクがあり、それを避けるための対策を講じる必要があると言いたかった。」
「パンデミックによる膨大な経済損失、多数の死者、教育上の損失などを経験し、再び同じことが起きる可能性を最小限に抑えるために(感染症の)監視強化と技術革新を行うべきです。」
「(いずれまた世界的なパンデミックは必ず起きるが、私たちはどんな準備をしておけばいいのかという問いに対して、)世界的な監視体制をもっと強化する必要があります。」
「監視体制は3000人の規模にするべきです。」
「新たなパンデミックの発生に比べれば、そのコストはとても手頃だと思います。」

ゲイツさんはWHO、世界保健機構による現在の監視体制では新たなパンデミックを防げないと指摘します。
来年、広島で開かれるG7サミット、主要7ヵ国首脳会議でパンデミックを阻止するための専門組織の創設について議論すべきだと訴えます。
ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「(来年のG7は)「パンデミックへの準備が不足していた」と振り返るのに絶好の機会です。」
「そして同じこと(パンデミック)が繰り返される可能性を最小限にするために、どんな組織をつくり、資源をどう確保すべきか、致死率がはるかに高いパンデミックが起こるかもしれないのです。」

なおインタビューの終盤、世界有数の大富豪として、慈善活動に取り組むゲイツさんに池上さんは次の質問を投げかけました。
「キリスト教社会では、聖書の中に「お金持ちは天国に行けない」と言われるが、ゲイツさんもそういう意識があるのでしょうか。」
これに対して、ゲイツさんは次のようにおっしゃっています。
「私のような幸運な人間は謙虚でなければならない。」
「今後25年で私は全てのお金を使い、大きな影響を与えることを望みます。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、パンデミックのない未来のために何をすべきかについて以下にまとめてみました。
・「グローバルヘルス」の取り組みを継続させること
狙い:全ての国の医療格差を解消すること
    新型コロナウイルスのようなパンデミックを防ぐための仕組みづくり
     感染症の監視強化などの専門組織の創設や技術革新など
・そのためには日本政府や民間企業が重要なパートナーとして、この活動への支援が必要であること
・来年、広島で開かれるG7サミットでパンデミックを阻止するための専門組織の創設について議論すること

なお、世界的な大富豪であり、こうした慈善活動に取り組むゲイツさんは番組の終盤で「今後25年で私は全てのお金を使い、大きな影響を与えることを望みます」とおっしゃっています。
これまで大富豪の社会貢献についてはアイデアよもやま話 No.3557 アメリカの大富豪が『格差是正』を訴える!No.4944 ちょっと一休み その772 『渋沢栄一はSDGsを先取りしていた!?』などでもお伝えしてきましたが、より多くの世界中の大富豪の方々が社会貢献のための活動にそれぞれの立場から資金を提供することにより、あるいは自ら取り組むことにより、国際社会は格段に望ましい方向に向けて動き出すと思うのです。

 
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