2022年08月15日
アイデアよもやま話 No.5347 ロシアのガルージン駐日大使の注目すべき言葉!
8月4日(木)付けネット記事(こちらを参照)でロシアのガルージン駐日大使への単独インタビューについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

ロシアのガルージン駐日大使は8月4日、広島市で原爆慰霊碑に献花しました。
それに先立ち、広島市でJNNの単独インタビューに応じましたが、ガルージン駐日大使の発言の一部は以下の通りです。
「簡単に言えば、あの原爆がアメリカによる戦争犯罪だったと私は思っています。」
「つまり、何らの軍事上の必要性がなかったのに民間施設、そして市民を殺害してしまった。」
「これは、明らかに意図的に行われた、一般の広島の市民を対象にした事実上、核実験です。」
「ですから、私はそれを厳しく糾弾しております。」
「そして今、70年以上経っているにも関わらず、アメリカが日本国民、広島の市民のみなさんに向けて謝罪を表明する意図が全く見られていないということは、本当に批判すべきことであります。」

「我々がやっているウクライナにおける特別軍事作戦との関連で、核による行動・核兵器の使用を恐れる理由は全くありませんし、恐れる根拠は全くありません。」

「ロシアの安全保障にかかわる綱領的文章のなかで、ロシアという国家がどういう場合において、核抑止力に訴えることが法律上できるかを明示しています。」
「それは、▽ロシアが、大量殺害・大量殺りく兵器を使った侵略の対象になる場合、▽国家の存立が危機に瀕しているほどの通常兵器による侵略の対象となる場合です。」
「つまり、この2つの場合においてのみ、核の抑止力の使用が可能となっていて、そのどちらもウクライナにおける特別軍事作戦に当てはまらないものです。」

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

なお、2019年8月7日付けネット記事(こちらを参照)でアメリカが広島に原爆を落とした理由、結果、そしてアメリカ人と日本人の認識の相違について取り上げていたので以下にその一部をご紹介します。

74年前(記事掲載時 1945年)の8月6日、米国は広島に原爆を投下し、7万人以上を即死させた。3日後には2発目の原爆を長崎に投下、4万人以上を殺害した。

今に至るまで、戦争で原爆を使った国は米国のみ。この核戦争は第2次世界大戦の終結につながり、世界史上最悪の章が終わった。

(米国が原爆を落とした理由)
・マンハッタン計画に参加した米国の研究チームは、ナチス・ドイツが降伏した後の1945年7月に原爆実験を成功させていた。
・トルーマン大統領は、ヘンリー・スティムソン陸軍長官が議長を務める諮問委員会に、日本に対して原爆を使うべきかどうか判断するよう指示していた。
・「当時の委員会は、攻撃を支持する見解でほぼ一致していた。スティムソン氏は断固として原爆を使用すべきという意見だった」。米ミズーリ州にあるトルーマン大統領図書館の専門家、サム・ラシェイ氏はそう指摘する。
・ハーバード大学で歴史学を教えるチャールズ・マイアー教授によると、トルーマン大統領が違う決断を下すことも可能だったが、「この兵器が使えるのに何故それ以上戦争を長引かせるのか、米国の一般国民を納得させることは難しかった」
・原爆は「多大な苦痛を免れられる魔法のような解決策になるかもしれないと見なされた」(マイアー氏)
・マイアー氏によると、この時の日本は無条件降伏には応じない構えで、原爆の威力を見せつけるだけでは不十分だとの懸念があった。ラシェイ氏によれば、科学者やジョン・マックロイ陸軍次官補は、無人地帯で原爆を爆発させ、それを見せつけることによって日本を降伏に追い込む作戦を支持していたという。
・だがトルーマン大統領や軍の顧問は、日本への侵攻に伴う犠牲を恐れていた。
・「硫黄島や沖縄の戦闘では、日本の空軍と海軍を壊滅させたにもかかわらず、米国と日本の犠牲者という意味であまりにも代償が大きかった」とラシェイ氏は語る。「米軍の作戦本部では、日本は最後の1人になるまで戦うだろうという確信が浸透していた」
・マイアー氏は言う。「自爆攻撃は現代では珍しくなくなった。だが米軍指導部は当時の日本のカミカゼ自爆攻撃で精神的に強い衝撃を受け、(日本は)国家総動員で祖国を守ろうとするだろうと判断した」「米軍は、原爆なしでこの戦争に勝てると断言することを躊躇(ちゅうちょ)した」
・歴史学者の間では、ソ連が参戦する可能性があったことも、戦争の早期終結を図る目的で原爆投下の決断を促す一因になったという説もある。
・原爆の投下目標については4つの候補地があり、トルーマン大統領が軍に決定を委ねた。広島が選ばれたのは、軍事上の重要性が理由だった。

(結果)
・1963年、ドワイト・アイゼンハワー元大統領は回顧録の中で原爆の使用を批判し、日本に対して降伏を強いる必要はなかったと指摘した。
・マイアー氏によれば、広島と長崎の原爆が「日本の天皇を動かして、分裂していた軍と降伏支持派に介入させた」。ただし、天皇の地位を保証するといった条件次第では、日本にも戦争を終結させる意図はあったかもしれないとマイアー氏は言い添えた。
・広島市議会は1958年、大統領の座から退いていたトルーマン氏が原爆の使用について良心の呵責(かしゃく)を感じず、万一の場合は引き続き使用を支持すると表明したことに対する抗議声明決議を採択した。
・「広島市民は、世界平和の礎となることを崇高な義務とし、いかなる理由によるとも、世界のいずれの国も、地球のどこのだれの上にも核兵器使用の過ちを繰り返させてはならないと確信している」
・決議ではそう述べ、トルーマン氏の姿勢については「広島市民とその犠牲者を冒涜(ぼうとく)するもはなはだしい」と非難した。
・抗議声明を受けてトルーマン氏は広島市議会議長に書簡を送り、「あなた方の市民の気持ちはよく分かる。私が決議に対して不快感を覚えることはない」と返答した。
・その上でトルーマン氏は、日本軍による真珠湾攻撃で米国は不意を突かれたと強調し、2発の原爆投下を決断したことは、日本への侵攻を防ぐ一助となり、米同盟軍の兵士25万人と日本人25万人の命が救われたと主張。
・「原爆の投下を命じた司令官として、日本と同盟国の両方の将来的な繁栄のため、広島と長崎の犠牲には喫緊の必要性があったと考える」とした。

(米国人と日本人の認識)
・2015年に世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが実施した調査では、原爆投下は正当化できると答えた日本人は14%にとどまり、79%は正当化できないと回答した。
・一方、米国人を対象にした1945年のギャラップの調査では、85%がトルーマン大統領の決断を支持していた。しかし2018年のピューの調査によれば、日本に対する核兵器の使用は正当化できると答えた米国人は56%に減っている。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

また、3月31日(木)付けネット記事(こちらを参照)でアメリカにおける核兵器の使用条件について取り上げていたので以下にその一部をご紹介します。

・アメリカ国防総省の高官はバイデン政権の新たな核戦略の指針について、核兵器の役割を核攻撃に対する報復などに限定せず、歴代政権が示してきた方針を維持したと明らかにしました。
・アメリカの核戦略をめぐっては、バイデン大統領が大統領に就任する前、核攻撃の抑止と報復が核兵器の唯一の目的であるべきだという考えを示していたことから、新たな核戦略の指針となる「核態勢の見直し」の中で、核使用の条件を厳しくするのかが焦点となっていました。
・こうした中、アメリカ国防総省は29日、その概要を公表し、核の抑止力の維持は最優先事項だとしたうえで「アメリカや同盟国などの死活的な国益を守るという極限の状況でのみ核使用を検討する」と明記しました。
・これについてアメリカ国防総省のワランダー国防次官補は30日、議会下院の公聴会で、使用条件を従来よりも厳しくしたのかと問われたのに対し「今回の核戦略の文言は核攻撃にのみ適用されるものではない」と述べて、核攻撃に対する報復などを唯一の目的とはしていないという認識を示しました。
・そのうえで使用条件の厳格化は採用せず、歴代政権が示してきた方針を維持したと明らかにしました。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

また、中国における核兵器の使用条件については、Wikipediaに以下の記述があります。(こちらを参照)

中国は自身が1992年に批准した核拡散防止条約において核兵器保有を認められた5か国の内の1つである。中国は核保有国の内唯一非核保有国に対し核兵器不使用の保障を行なった国である。
中国はいつ、いかなる状況下にあっても非核保有国あるいは非核地帯に対し核兵器を使用しないし、核兵器をもって脅迫をしないことを約束するとした。
中国が公式に表明している核兵器に対する政策は、敵国の標的に対し核報復攻撃を行なう能力を保有した抑止力であり、常に「先制不使用」を維持していることである。
ただし、2021年7月、中国の軍事チャンネル「六軍韜略」で、日本に対してのみは核兵器先制不使用の例外にすべきとした動画が流れ、いったんは削除されたものの、陝西省宝鶏市の共産党委員会が再掲載して拡散した事件があった。

中国軍朱成虎少将は「台湾海峡での武力紛争に米国が介入し、中国を攻撃するなら、中国は対米核攻撃に踏み切る用意がある」と公言し、米国との軍事衝突が起きた場合、「中国は西安以東のすべての都市が破壊されることを覚悟する。
もちろん米国も数多くの都市が中国によって破壊されることを覚悟しなければならない」とも公言し、物議を醸した。
同少将は日本についても言及し、「政府はすべての幻想を捨て、あらゆる力を集中して核兵器を増やし、10年以内に地球人口の半分以上を消滅できるようにしなければならない。」
「アメリカは強大な国力を保っているので、徹底的に消滅させないと、将来大患になる。アメリカに対しては、我が国が保有する核の一〇分の一で充分だ。台湾、日本、インド、東南アジアは人口密集の地域であり、人口消滅のための核攻撃の主要目標となる。」としている。

これら一連の情報を整理してみると、核兵器の使用について以下のことが言えます。
・太平洋戦争の当時も今も、多くの国民は戦争による自国の犠牲者数を最小限にしたいと考えている
・同様に軍隊も兵士の犠牲者数を最小限にしたいと考えている
・一方で、不幸にもアメリカは人類初の核兵器を開発し、その威力は従来の兵器に比べて格段の威力があり、時代とともにその殺傷能力を増している
・米中ソにおいては、戦争時における核兵器投入の基準を持っている
・その大枠は、以下の通りである
  核攻撃の抑止力
  先制不使用

しかし、現実として、日本に対する核兵器の使用は正当化出来ると答えたアメリカ人は今も半数以上に上っております。
ですから、ロシアのガルージン駐日大使が指摘しているように、アメリカが広島、長崎への原爆投下について公式に謝罪を表明することはあまり期待出来ないと思われます。

また、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻に際し、核兵器使用をちらつかせています。
更に、中国軍朱成虎少将は「台湾海峡での武力紛争に米国が介入し、中国を攻撃するなら、中国は対米核攻撃に踏み切る用意がある」と公言しております。

このように、今の国際情勢は第二次世界大戦以降で最大の危機を迎えていると言えます。
どんな理由であれ、第二次世界大戦と同等の規模の戦争に突入するようなことになれば、核兵器の使用の可能性は格段に高まるのです。

ですから、何とか早期にロシアによるウクライナ侵攻、および台湾問題における米中の対立を平和裏に解決することは人類存続の観点からもとても重要なのです。
一方で、中国による覇権主義の世界展開の動きを食い止めることが出来るかどうかは民主主義陣営の国々にとって死活問題です。

ということで、今ほどリーダーシップのある優れた政治家の登場が待たれる時はないように思うのです。

 
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