2022年08月11日
アイデアよもやま話 No.5344 テスラが絶好調の秘密!
4月21日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でテスラが絶好調の秘密について取り上げていたのでご紹介します。 

アメリカの電気自動車メーカー大手、テスラの1月〜3月期決算は純利益33億1800万ドルで前年比約7.6倍となりました。
世界的な環境規制の強化が追い風となり、売上高も約81%増加しました。
こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「これまでどちらかというと時価総額の大きさばっかり話題になっていましたけれども、ようやく株価に実際の収益が追いついてきたような印象ですよね。」
ここに業績がありますけれど、棒グラフは四半期の決算ですけど、順調に売上、利益とも積み上がっていっている感じですね。」
「これ四半期の決算ですから、単純計算すると、日本円で今年は利益が軽く1兆円を突破する見通しですね。」
「(この順調な売上、利益の要因について、)一番は価格戦略にあるんですよ。」
「実は、テスラは、主力のモデル3があるんですけども、これはこの1年間で1万ドルぐらい値上げしてるんですね。」
「通常、自動車業界って、だいたいディーラーに販売しますから、モデルチェンジの時にしか価格改定しないんですけども、テスラの場合は同じモデルで100万円以上年間で値上げしているということですから、ちょっと考えられない、業界の常識を覆してますよね。」
「(自動車メーカーと言えば、原材料費の値上げに苦しんでいるわけですが、テスラはこうした値上げを十分に吸収していることについて、)先ほどの折れ線グラフを見ていただくとわかるんですねども、売上高営業利益率が今19%超えているんですよ。」
「だいたい自動車業界は10%を超えると高収益企業と見なされるんです。」
「19%というのは圧倒的です。」
「(テスラに課題があるとすれば、)一つあるのは中国依存ですね。」
「テスラは地域別販売台数を公開してないんですけども、どうやら昨年は中国の販売台数の方がアメリカを上回っているんですね。」
「今、このウクライナ情勢ですから、より米中の間のつばぜり合いが続いていますから、サプライチェーンが完全に分断しないといけないわけで、お互いがそれぞれの市場で地産地消型の半導体などの調達、そういうサプライチェーンを築くことが課題になると思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、7月21日(木)付けネット記事(こちらを参照)でテスラの第2四半期決算(4月〜6月期)について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

・2カ月に及ぶ中国でのロックダウンにもかかわらず、利益はアナリスト予想を上回り、株価は時間外取引で約4%上昇した。
・電気自動車(EV)メーカー、テスラの四半期の売上高は、前年同期比42%増の169億ドル(約2.3兆円)だったが、過去最高を記録した前四半期の187億ドルからは減少した。利益は23億ドルで前年同期の11億ドルを上回ったが前四半期の33億ドルからは減少した。
・テスラは今回、財務的には3番目に好成績の四半期を記録したが、成長率は前の2つの四半期を下回っている。
・テスラは今月に入り、第2四半期の販売台数が前年同期比27%増の25万4695台になったと発表した。しかし、約31万台だった第1四半期からは18%の減少だった。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

以下は上記の記事の要約です。
・EV業界は世界的な環境規制の強化が追い風となっている
・テスラはこれまで業績に先行して時価総額の大きさが話題になっていたが、ようやく株価に実際の収益が追いついてきた
・この順調な業績の要因の一番は価格戦略にある
・テスラの主力のモデル3はこの1年間で1万ドルぐらい値上げしている
・自動車メーカーは原材料費の値上げに苦しんでいるが、テスラはこうした値上げを十分に吸収して、売上高営業利益率が19%を超えている
・自動車業界は10%を超えると高収益企業と見なされるので、19%というのは圧倒的である
・第二四半期の成長率は前の2つの四半期を下回っていることから鈍化傾向にある
・テスラの課題は、中国依存からの脱却で、それぞれの市場で地産地消型の半導体などの調達といったサプライチェーンを築くことである

原材料費の値上げや半導体の調達への対応、あるいは中国依存からの脱却といった課題は自動車業界全体の課題です。
そうした中、世界的な環境規制の強化を追い風にテスラは魅力的なEVを開発してきました。
そして、テスラのEVの魅力がより多くのユーザーに受け入れられ、主力のモデル3がこの1年間で1万ドルぐらい値上げしても、売り上げ台数が増加し、しかも売上高営業利益率が19%超えるという圧倒的な成果を出しているのです。

こうしてみると、テスラの最大の強みはやはり最大限に利益を生み出す魅力的なEVづくりにあると思います。
EVに限らず、どのような商品であってもユーザーがどうしても手に入れたいと思う商品であれば、価格が高くても、あるいは多少品質に問題があっても多少無理をしてでも購入してしまいます。
そして、ユーザーにとって魅力的であればあるほど、メーカーは売上高営業利益率をより高くした価格設定が出来るのです。

ということで、日本の自動車メーカーにはテスラに負けないほどの魅力的なEVづくりに取り組んでいただきたいと思います。

 
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