2022年08月05日
アイデアよもやま話 No.5339 ロシアによるウクライナ侵攻は経済戦争!
4月19日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でロシアによるウクライナ侵攻は経済戦争であると指摘していたのでご紹介します。 

IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが先ほど(番組放送時)発表されましたが、ロシアによるウクライナ侵攻で世界経済が下振れしています。(こちらを参照)
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「注目すべきは戦争の当事国ですよね。」
「ロシアが8.5%のマイナス成長、これはべらぼうな数字ですね。」
「同時にIMFは、ロシアのインフレ率が20%以上、失業率は10%に迫っているといっているんですが、これはもう経済敗戦と言っていいと思います。」
「そしてウクライナなんですけども、(35%のマイナス成長で)経済が回っていないということなんですよ。」
「だからウクライナがG7に求めている6兆ドル規模の経済支援、これは本当に重要なんです。」
「ウクライナでの戦争、これはある意味では経済戦争と言っていいような意味合いを持っていると思いますね。」
「(ウクライナがこの35%のマイナス成長ぐらいで済むかどうか気になるが、世界全体でサポートしていく必要があるのではという指摘に対して、)本当に資金の面でうまく経済を回す、人を回すということがウクライナにとって重要でしょうね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

ただでさえ新型コロナウイルスの感染拡大、そして次々に発生してくる変異株による経済の停滞、そこにロシアによるウクライナ侵攻が長引く中で世界経済は大きなダメージを受けています。

なお、ロシアによるウクライナ侵攻はプーチン大統領の合理的にはあり得ない決断によって始まったと言われています。
そしてウクライナ侵攻はすぐにでも完了するとの思惑がはずれ、現実には6ヵ月目に突入しています。
また、今のところ休戦の目処も立っていません。

こうした中、ロシアもウクライナも番組放送時の4月よりも更に経済状況は悪化していると思われます。
また両国とも資源大国なのでこれらの資源を輸入している国々も輸入量の激減、および価格の高騰で大きな影響を受けています。
特にロシアは天然ガスの供給量の削減をロシアのウクライナ侵攻に反対する国々による経済制裁への対抗手段に使っています。
このように経済のグローバル化により、特に資源大国が戦争の当事国になると輸出先の国々も大きな影響を被ってしまうことになります。
ですから、番組でも指摘されているように、戦争は単に軍事的な枠を超えて、経済戦争でもあるわけです。
そして、グローバル化が進むほど、経済戦争の占める割合が大きくなってくるのです。

さて、日本は資源の多くを輸入に依存しています。
ちなみに、日本の2020年度の食料自給率(国内の食料全体の供給に対する国内生産の割合)はカロリーベースで37%です。(こちらを参照)
また2019年度の日本のエネルギー自給率は12.1%で、他のOECD諸国と比べても低い水準です。(こちらを参照)
ですから日本は万一戦争に突入するようなことがあれば、資源がネックとなり、戦争を長引かせることは出来ないのです。
ということは、長期戦になると日本は“戦わずして負ける”ことになるのです。
こうした状況から、国家安全保障、および経済安全保障の観点から、日本は食料、およびエネルギーの自給率を高めることが急務と言えます。

しかし、何よりも重要なことは世界平和の実現、および継続です。
そのために、いかなる国も戦争に突入することは自国の利益にならないと思わせるような状況を作り出すことに日本はあらゆる手段を用いて全力で取り組むべきなのです。

 
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