2022年07月12日
アイデアよもやま話 No.5318 アメリカで広がる週休3日制に見る企業のあり方!
4月1日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアメリカで広がる週休3日制について取り上げていたのでご紹介します。 

アメリカでは依然として人手不足が深刻な状況です。
企業は高い賃金を払ってでも人手を確保しようとしているため、今回の雇用統計でも平均時給は1年前よりプラス5.6%と大きく上昇しました。
更に賃金の面だけではなく、コロナ禍で変化したライフスタイルに合わせて柔軟に働き方を変え、人手の確保を図る企業も出てきています。

ある金曜日の朝、ニュージャージー州郊外のとある家ではシステム会社に勤めるエイプリル・マドリデホスさんが息子のグレイソン君に絵本を読み聞かせています。
絵本の後は、夫を家に残し、エイプリルさんは息子と公園に向います。
実はエイプリルさんも夫と同様にフルタイムで働いています。
にも係わらず、平日の昼間、子どもと過ごせるのはなぜなのでしょうか。
エイプリルさんは次のようにおっしゃっています。
「週休3日だから今日は休み。」

エイプリルさんの働くエレファント・ベンチャーズでは2020年10月からアメリカで週休3日制を導入、金曜日が休みになり、エイプリルさんは子どもとの時間を増やすことが出来ました。
エイプリルさんは次のようにおっしゃっています。
「子どもの成長の大切な時期に一緒にいることと仕事のどちらかを選ぶ必要がなかった。」
「週休3日のお陰で子どもが初めて歩く時や話す時に立ち会えた。」

ただ、1週間の労働時間は変わっていないといいます。
エイプリルさんは完全にリモートワーク、早朝から同僚やクライアントへの連絡をしています。
エイプリルさんは次のようにおっしゃっています。
「1日10時間働く。」

エイプリルさんの会社は金曜日を休みにする代わりに、その分の労働時間を他の平日に配分、1日の労働時間を10時間にして週の合計労働時間を40時間に据え置いているのです。
この週休3日制、会社にとっても大きなメリットがあったといいいます。
エレファント・ベンチャーズのアート・シェクトマンCEOは次のようにおっしゃっています。
「求人への応募数は「週休3日」の前と比べて2〜3倍になった。」
「週休3日の導入が人手不足の中、優れた人材を確保する武器になっている。」

週休3日制の導入後、純利益が2倍に増加、生産性も落ちておらず、業務への支障も生じていないといいます。
日本語の著書もある、働き方の変化に詳しいアレックス・スジョソ―キム・パンさんは次のようにおっしゃっています。
「週休3日の会社では週休2日の会社に比べて退職者が少ない。」
「2年以内に大企業が世界標準として週休3日を導入するようになるだろう。」

日本政府も柔軟な働き方の選択肢として週休3日制の導入を企業に促していますが、広がっていくでしょうか。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、日本においても以下のようにようやく一部の企業で週休3日制が導入されようとしています。
(パナソニック こちらを参照)
・パナソニックホールディングス(HD)は4月18日、2022年度内に予定する週休3日制の試験導入について、選択できる従業員は約5000人になると明らかにした。
・持ち株会社と、間接業務を手がける子会社の全従業員が対象。

(日立 こちらを参照)
・日立製作所は4月11日、勤務日の最低勤務時間を撤廃し、週休3日も可能にする制度を導入することを明らかにした。
・柔軟な働き方を認めることで多様な人材の確保や業務効率の向上につなげたい考え。
・給与は変わらない。
・今年の春闘で労組と合意しており、導入時期や制度の詳細を今後詰める。
・日立の従業員約1万5千人が対象となる。

さて、番組を通して、あらためて企業のあり方を以下にまとめてみました。
・優秀な人材の確保
・労働環境の改善
  個々の従業員が最も働き易い環境の提供
   在宅勤務
   週休3日制の導入
・生産性の向上
  AIやロボットなどの活用
・企業の研究開発力の強化
・優れた商品の開発
・利益増
・賃金の上昇

こうしてまとめてみると、優秀な人材の確保、優れた商品の提供、および賃金の上昇を核とした企業のあり方に基づく一連の企業活動が一国の経済成長をもたらすと言えます。
ですから、単に物価上昇率を上げたり、賃上げを目指すという取り組みは本質的な経済対策とは言えないと思うのです。
例えば、利益のない企業に賃上げを求めても“無いものねだり”になってしまいます。
一方、新製品開発を疎かにして利益を内部留保として抱えてしまっては継続的な企業の成長は望めず、賃上げに回さなければ優秀な人材を確保することは出来ないのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています