2022年07月10日
No.5316 ちょっと一休み その833 『もしロシアの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら・・・』
6月6日(月)付けネット記事(前編後編を参照)でロシアの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂した場合のシミュレーションについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

(前編)
・核の脅威が再び人類に鎌首をもたげている。他ならぬロシアによってである。
これほど「核兵器が使われたら」という議論が盛んになったのは、冷戦終結後初めてのことだ。しかし一方で、もし頭上で核が炸裂したときに何が起きるか、生き残る術はあるのか、正確に知る人は少ない。核の脅威が現実のものとなった以上、その知識は誰もが持っておく必要があるだろう。
・本誌は今回、物理学・工学分野で世界トップクラスの名門校、米スティーブンス工科大学で核兵器開発史を研究するアレックス・ウェラースタイン教授の協力を得た。核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」の開発者だ。
・このNUKEMAPを用いて、日本の大都市や防衛拠点が核攻撃を受けた場合の詳細なシミュレーションをおこなった。結果は本記事の後編『埼玉・川崎・浦安まで壊滅 プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」』の図に示している。東京を例にして、詳しく見ていこう。
・広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ戦略核兵器を搭載したロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、東京を目標として飛来。核弾頭が大気圏へ突入し、西新宿にある東京都庁の上空、高度600m地点で炸裂すると仮定する。
・その瞬間、東京のど真ん中にまばゆい太陽が出現する。表面温度30万℃の火の球は、1秒足らずで半径900mまで膨張し、直下にある建物、人、全てを蒸発させる。
・都庁周辺には深さ100m・直径400mのクレーターができるが、それを生きて目にする人はいない。JR新宿駅のあたりまで数万度の高温にさらされ、人も物も原子へと還ってしまう。
・火球は3秒ほどで消えるように見えるが、終わりではない。目に見えない超高熱の赤外線が、全方向を焼き尽くすのだ。爆心地から半径3kmほどの範囲では、熱線で人や物の影が地面に焼き付けられる。それより遠くにいる人も、肉まで焦がされて焼け死ぬことになる。
・次に襲ってくるのが衝撃波、つまり爆風だ。核爆発で生まれた火球は音速をはるかに超えるスピードで膨張するため、空気と衝突して衝撃波が発生する。かろうじて熱線に耐えた建物なども粉砕され、砕かれたガラスや瓦礫が弾丸のように飛ぶ。ここまで、まだ起爆後10秒も経っていない。
・東京でいえば、東は皇居を越えて丸の内や東京駅まで。西は環状8号線のあたりまでがこの範囲に該当する。衝撃波のもたらす圧力はあまりに強く、エリアの外周にいた場合でも、衝撃で内臓や骨、脳を破壊されたり、脳震盪を起こしたりして意識を失うケースが多い。
・超高温で加熱された爆心周辺の空気は、猛烈な上昇気流を巻き起こし「キノコ雲」が生じる。同時に、衝撃波で一度吹き飛ばされた空気が一気に戻ってくるため、至るところで火災が起きる。木造の建物や布はひとりでに燃え出し、灼熱地獄と化すのだ。

(後編)
・一連の爆発で発生するキノコ雲は高度30kmに達し、晴れていれば東海地方や東北からも視認できる。予想される被害は、死者133万9000人、負傷者429万4920人。東京23区住民の半分以上が死傷し、日本の国家機能は停止する。
・さらに悪いことに、破壊されるのは東京だけではないかもしれない。この秋にもロシアが配備する大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下する。爆撃機からゆっくり投下された、77年前の核とは全く違うのだ。
・大気圏に突入するMIRVの弾頭は、空を切り裂く美しい光の筋のように見えるという。だが、目撃した人は次の瞬間に蒸発する。迎撃はまず不可能だ。たった一発のサルマトによって、日本全土に地獄絵図が現出するのである。
・中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ。中でも'15年に就役したDF-5Bには、一発に400キロトンの核弾頭が3つ搭載されている。サルマトには及ばないが、壊滅的な威力であることに変わりはない。
・気になるのは、実験と称して弾道ミサイルを撃ちまくっている北朝鮮だ。拓殖大学海外事情研究所客員教授の武貞秀士氏が言う。
「これまで『北朝鮮は核の小型化に苦労している』と言われてきましたが、金正恩体制はむしろ核の運搬手段であるミサイルの高性能化や大型化に成功しつつある。たとえば最近、同じ日に弾道ミサイルを何発も撃っていますが、これは同じ気象条件で燃料の量や点火のタイミングを微妙に変えて実験を行っているということ。つまり高性能ミサイルの開発が最終調整段階にあるということです」
・さらに金正恩は、'17年9月に水爆実験も成功させたと発表している。もし事実ならば、北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる。
・「もし現実に北朝鮮が核を使用する場合、反撃を防ぐために沖縄や三沢、横須賀など自衛隊・米軍の拠点を狙う可能性が高い。アメリカは『北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則を守っていますが、ウクライナの状況を見ると、実際には難しいでしょう。核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」(武貞氏)
・北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない。生き残る術はあるのか。・ウェラースタイン氏が語る。
「日本にはJアラートという緊急警報があると聞いています。警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」
地下へ逃げ込むなら、入り口からできるだけ離れる。衝撃波で吹き飛ばされたり、その後の吹き戻しで外へ吸い出される可能性があるためだ。広島や長崎でも、運よく防空壕や地下室へ逃げ込んでも、爆風が流れ込んで亡くなった人がいた。
「それが難しければ、地震のときと同様に、窓から離れて机の下へ入り、体を可能な限り小さく丸めてください。衝撃波や熱線に触れる面積をできるだけ少なくするのです。爆発が収まっても、すぐ外へ出てはいけません。大量の放射線や放射性物質にさらされるからです。最低でも数時間、できれば数日はその場を動かないのが賢明です」(同)
・もっとも、この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今、ロシアによるウクライナ侵攻が続いており、今後どのような展開になるか、誰も分からないような状況です。
そして、プーチン大統領はロシアが追いつめられた状況になったと判断した際には“核兵器の使用”を命じると明言しています。
一方、NATOもフィンランドとスウェーデンの加盟が認められる方向で進んでいます。
また、NATOはロシアによるウクライナ侵攻が続く中、今後ともウクライナへの全面支援を継続すると報じられています。

一方、中国は以前からロシアに軍事的、経済的に協力すると明言しています。
更にプーチン大統領はこうしたNATOの動きに対抗すべく、途上国などにロシア側につくように協力を求めています。

ですから、今やロシア対ウクライナの戦争からNATO対ロシア陣営の戦争に拡大する可能性が高まりつつあるのです。

万一、ロシアの戦況が悪化して、プーチン大統領が“核兵器の使用”を命じるようなことになれば、まさに第三次世界大戦が現実のものとなってしまいます。

一方、結果的にロシアの満足のいくようなかたちでウクライナ侵攻が終息するようなことになれば、中国による台湾侵攻の可能性が高まってきます。
そうなると、次は日本の国家安全保障も危うくなってきます。
一方、北朝鮮の核兵器やミサイルの開発も増々エスカレートしていきます。

こうした状況において、記事の中で特に注目すべきは以下の箇所です。
(1発に10以上の核弾頭を搭載している大型ICBM「サルマト」の)迎撃はまず不可能だ。たった1発のサルマトによって、日本全土に地獄絵図が現出するのである。

金正恩は、'17年9月に水爆実験も成功させたと発表している。
もし事実ならば、北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる。

日本の国家安全保障だけを考えても、万一ロシアか中国、あるいは北朝鮮による核攻撃を受けるようなことがあれば、迎撃はまず不可能で一瞬にして日本という国そのものが崩壊してしまうのです。
ですから、一旦核兵器が投入されるような本格的な戦争が始まってしまったら中途半端な軍事力の増強、更には日米同盟も役に立つことはないのです。
今やこうした前提での現実的な国家安全保障対策が真剣に検討される時期を迎えているのです。

 
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