2022年07月05日
アイデアよもやま話 No.5312 盛況の移動販売!
3月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で盛況の移動販売について取り上げていたのでご紹介します。 

飲食店などが続々と参入したのがキッチンカーを使った移動販売です。
今、様々な業種が乗り出していて、中には1日に1000万円を売り上げる移動販売も登場しました。
なぜここまで人気なのでしょうか。

北海道の帯広市内を走る路線バス、一見普通のバスですが、終点に到着すると行き先表示が「マルシェバス」に変わりました。
車内を覗いてみると、実はこちら日本初という路線バスの移動販売店なのです。
地元の百貨店と協力し、食品や雑貨など約300点を販売します。
買い物に来たお客は次のようにおっしゃっています。
(女性客)
「すごく楽しみにしてて、ついつい買い過ぎちゃう。」
(男性客)
「10回か11回来ている。」

バスの終点となっている大空団地付近にスーパーがなく、高齢者が多い地域、こうした“買い物弱者“を支援するために始まったサービスです。
十勝バス 事業本部長、長沢敏彦さんは次のようにおっしゃっています。
「近くにあったスーパーなども撤退してきて、買い物されるのに非常に不便を感じている住民の方たちも沢山いるというお話も聞きまして、お店屋さんをバスでやろうと考えたわけでございます。」

一方、東京・世田谷区のある広場ではサイクルピットにより自転車の出張修理サービスが行われており、壊れたライトの交換など、お客が引っ切り無しに訪れます。
なぜこの場所で人気があるのでしょうか。
ある女性客は次のようにおっしゃっています。
「家が近所なんですけど、普通のお店として自転車屋さんがなくて、ここが週に1回来てくれるので利用しちゃおうかなと思って。」

このエリアは最寄り駅まで徒歩20分の距離にあり、生活に自転車が欠かせません。
そうした駅から離れた住宅街にあり、マンションや公園などを中心に定期的に出店し、出張修理を行っているのです。
サイクルピットを運営するイーチャリティの今西一樹さんは次のようにおっしゃっています。
「中古販売もしていて、その時は販売とからめて26万円という売上げが出た日もあります。」

移動販売店とお客を結ぶ手助けをしているのがショップストップというアプリ、地図を見ると、自宅の近くにどんなお店が出店しているのか把握出来る仕組みです。
お店にとっては出店場所選びが増々重要になります。
ショップストップを運営するメロウの城後幸代さんは次のようにおっしゃっています。
「首都圏でも多くの方が高齢化されていく中で、移動出来る範囲が狭まっていくと言われています。」
「そこに対しての買い物訴求がどうしても出てくると思うので、そこもフォロー出来るようなサービス体系にしていきたいと思います。」

滋賀県の最高峰、伊吹山の眼下に拡がる琵琶湖に珍しいスタイルで人気を集める移動販売店があります。
普通のアパレルのお店のように見えますが、商品は「DOKO?」と書かれたロゴがあります。
このお店、事前の告知は大まかな出店エリアと営業時間のみ、詳細な出店場所は伏せられています。
ではどうやってお店を見つけるのでしょうか。
営業時間が近づくとZenlyという地図アプリにクルマのGPS情報が表示されます。
お客はそれを頼りに出店場所を探し出す仕組みなのです。
ちょっと手間がかかるように感じますが、お店の前には大行列が出来ています。
ある男性客は次のようにおっしゃっています。
「見つけた時にテンションが上がるので、探して「やった!」と一番になれた喜びで自己満足です。」

トレーナー1着で約2万円と少々高めですが、飛ぶように売れていきます。
1日の売り上げは平均約150万円、過去には1100万円販売した日もあります。
なぜお客の心をつかむのでしょうか。
別の男性客は次のようにおっしゃっています。
「ネットで何でも買える事態なので、そっちが日常じゃないですか。」
「多分ちょっと“面倒くさい事”に飢えているんじゃないかなって。」
「“面倒くさい事”をやって買えたからこそ、満足感があるっていうか、それがより熱狂を生んだんじゃないかな。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組で取り上げていた移動販売の事例を以下にまとめてみました。
(路線バス)
・バスの終点となっている団地付近にスーパーがないため、高齢者など“買い物弱者“を支援するために始めた
・地元の百貨店と協力し、食品や雑貨など約300点を販売している

(サイクルピット)
・生活に自転車が欠かせない、駅から離れた住宅街のマンションや公園などを中心に定期的に出店し、自転車の出張修理サービスに取り組んでいる
・壊れたライトの交換や中古販売など、お客が引っ切り無しに訪れる

(ショップストップというアプリ)
・首都圏でも多くの方が高齢化されていく中で、移動出来る範囲が狭まっていく
・こうした状況において、地図を見ると、自宅の近くにどんなお店が出店しているのか把握出来る、移動販売店とお客を結ぶ手助けに取り組む

(地図アプリで出店場所を探し出す)
・営業時間が近づくと地図アプリにクルマのGPS情報が表示され、お客はそれを頼りに出店場所を探し出す
・それでもお店の前には大行列が出来ており、1着約2万円のトレーナーが飛ぶように売れている
・1日の売り上げは平均約150万円、過去には1100万円販売した日もある
・こうした背景には“面倒くさい事”をやって買えたからこそ、満足感があるという見方がある

こうしてまとめてみると、以下のような移動販売が盛況な背景が見えてきます。
・地方の過疎化などによる商店の撤退
・高齢化などによる“買い物弱者“の増加
・移動販売にゲーム感覚の要素を追加

ちなみに、こうした背景のみならずコロナ禍による外出の抑制や在宅勤務の増加に伴い、フードデリバリーサービスも売上げを伸ばし続けています。(こちらを参照)

なお、ゲーム感覚で思い出したことがあります。
私の身近な例ですが、家族でくら寿司によく行く理由が低価格だけでなく、子どもが大好きなガチャガチャ「ビッくらポン」(こちらを参照)というのです。
ですから、年齢に関係なくゲーム感覚で楽しめる要素も売り上げを増やすうえで有効なのです。

 
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