2022年07月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.752 『経済の新たな指標「日本の空気感指数」』
4月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で経済の新たな指標について取り上げていたのでご紹介します。 

日経平均株価やGDP、国内総生産といった沢山の景気指標が存在する中、今、新たに生活者や社会の雰囲気、いわゆる空気感を表す指標が開発されました。
それがSNS上のデータを分析して作られるという「日本の空気感指数」で、株価とも相関性があるといいます。
様々なニュースについての意見が飛び交うSNS、そんなSNSのデータを活用して野村総合研究所(野村総研)が開発したのです。
野村総研 データサイエンスラボの田村光太郎さんは次のようにおっしゃっています。
「我々が開発した「日本の空気感指数」と呼ばれるものでして、SNS情報からテキスト情報を抽出しまして、それをもとに“日本の空気感”を“活気、混乱、落ち込み、怒り、緊張、疲れ”という観点から指数化したものになります。」

その名も「日本の空気感指数」、ツイッターに日々投稿されるツイートから元気や緊張といった人々の心理状態が見える言葉を抽出し、数値化したものだといいます。
田村さんは次のようにおっしゃっています。
「新型コロナ禍においては、様々なニュースに対して空気感が変動していることが分かります。」
「緊急事態宣言も一度目の緊急事態宣言はその発令の遅さから少し怒りの指標が高まっている傾向があるんですけれども、その宣言の解除とともに活気が高まり始めています。」

国の政策に対して、国民の心理がどう変化したかが分かるため、政策を評価する指標になるといいます。

一方で「日本の空気感指数」は景気指標としての活用も考えられています。
田村さんは次のようにおっしゃっています。
「“活気”の指標については日経平均株価との連動があることが分かりました。」
「「日本の空気感指数」はマクロな日本の社会の空気感も測ることが出来ますし、個別の事象に関して解析していくことにも機能する。」
「マーケティング施策の評価にも使っていけると考えております。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

生活者や社会の雰囲気を表す新たな指標、「日本の空気感指数」について以下にまとめてみました。
・SNS情報からテキスト情報を抽出し、それをもとに“日本の空気感”を“活気、混乱、落ち込み、怒り、緊張、疲れ”という観点から指数化したものである
・以下のようにマクロな日本の社会の空気感を測ることが出来るし、個別の事象に関して解析していくことにも機能する
  国の政策に対して、国民の心理がどう変化したかが分かるため、政策を評価する指標になる
  景気指標として活用出来る
 “活気”の指標については日経平均株価との連動があることが分かっている
  マーケティング施策の評価に使える

「日本の空気感指数」はこれまで不可能とされてきた不特定多数の国民の声を数値的に集約したものです。
そしてそれを可能にしたのが誰でも自由に自分の言いたいことを文字に表し、不特定多数の人に見てもらえる場を提供しているSNSなのです。
ですから、SNSはインターネットを活用したコミュニケーション革命をもたらしたと言えます。
そういう意味で、以前にもお伝えしたように、こうした情報を提供するサービスを可能にしたインターネットはこうしたサービスのインフラとして、歴史的な大発明と言えます。

それはさておき、今後「日本の空気感指数」のような指数はどんどん増えていくと思われます。
そして、こうした指標の数の増加、およびAIを活用した分析手法の進化に伴って政治、経済などあらゆる活動分野において、様々な予測やそれらの結果分析などで非常に役立つツールへと成長していくと期待出来ます。
更に近い将来「世界の空気感指数」も扱われるようになるはずです。
その際、株価や為替の変動予測など、お金に関するものから普及していくはずです。

なお、こうした手法はプロジェクト管理における定量的な分析にも当然活用されるようになると期待出来ます。

 
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