2022年06月23日
アイデアよもやま話 No.5302 特産品の雪中貯蔵に取り組む雪国!
アイデアよもやま話 No.5287 北国の“白いダイヤ“ !?で冬に集めた雪を倉庫で1年中保存し、お米を保管したり、大量のサーバーの冷却に活用する取り組みについてお伝えしました。
そうした中、3月10日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で 特産品の雪中貯蔵について取り上げていたのでご紹介します。

この冬は東北、北陸、更に東京などでも大雪の被害が相次ぎました。
この厄介者の雪を有効活用して地方から特産品を生み出そうという試みが始まりました。

秋田県湯沢市、年間100日以上雪が降る豪雪地帯です。
熱心に雪かきをしているのは地元で卸売業を営む、秋田・湯沢 雪中貯蔵協会(こちらを参照)の会長、吉村和幸さん、掘り進めると貨物用のコンテナが現れました。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「これが僕たちが作った雪室(ゆきむろ)という天然の冷蔵庫です。」

雪室の中のブルーシートを開けてみると、長ネギやほうれん草、りんごがあります。
昨年の秋に収穫した野菜や果物をここで1ヵ月以上貯蔵していたのです。
このように雪の中で貯蔵すると食材に変化が起きるといいます。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「熟成されることによって、本来の味より糖度がのって美味しくなります。」

雪室の中の温度は約0℃、湿度は90%以上、野菜や果物が凍ることなく、ゆっくり熟成し、甘みが増します。
実際に雪室で貯蔵したりんごの糖度を測ってみると17.7%、業務用冷蔵庫で貯蔵したりんごに比べて5%近く甘みが増しています。
更に地元の酒や栗、そしてコーヒー豆まで、雪中貯蔵で熟成が進むのか、地元の11の業者と共同で実験を始めたのです。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「街全体が厄介者の雪を利用してブランディングして、湯沢市のPRにつながればいいなと思っています。」

3月上旬、吉村さんは雪中貯蔵した野菜を高級イタリアンレストラン、代官山ASOチェレステ 日本橋店の菊池恒毅料理長にリモートで売り込もうとしていました。
旬の食材を生かした人気のお店です。
早速、雪中貯蔵した野菜の味を確かめた菊池さんは次のようにおっしゃっています。
「(大根を味見して、)甘い、梨(のような味)ですね。」
「1ヵ月寝かしているとは思えないくらい、キラキラしています、野菜たちが。」
「野菜のポテンシャルが上がるのを痛感しましたし、これから料理する上ですごい楽しみです。」

春以降、吉村さんの野菜を採用することが決まりました。
雪中貯蔵のブランド化へ大きな一歩です。
更に吉村さんは雪室で熟成させたあるものを使って新商品の開発を進めていました。
訪ねたのは地元で惣菜店「食彩工房 ゆきつかさ」を営む塩田幸司さんです。
塩田さんが得意とするのは秋田名物の寒天、カラフルなフルーツがSNSでも話題となり、県外から買いに来るお客もおります。
中にはケチャップたっぷりの「ナポリタン寒天」(280円)や「冷やし中華寒天」(324円)など、変わり種もあります。
そこへ登場したのがあの雪中貯蔵したりんごを使った「雪中りんご寒天」です。
寒天に牛乳を混ぜて、雪に埋もれたりんごをイメージし、りんごの皮で自然な赤色を出したといいます。
吉村さんはこの寒天を4月以降、ネットや道の駅で販売する予定で次のようにおっしゃっています。
「雪の力を利用して、秋田県という過疎地域から雪の商品をどんどん発信していきたいです。」

この雪室コンテナには地元のクラフトビールやお米のあきたこまちなども貯蔵しているそうです。
熟成することで深みのある味に変わることを期待しているということで、こうした雪国ならではの特産品で地元を知ってもらうきっかけにしたいそうです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

雪室と呼ばれる天然の冷蔵庫ですが、年間100日以上も雪が降る豪雪地帯においては雪室に必要な雪には事欠きません。
ですから、これまで厄介者扱いされていた雪が一転して必要不可欠な存在に変わったわけです。
しかも、雪室に貯蔵していた野菜や果物は熟成されることによって、本来の味より糖度がのって美味しくなるというのです。
驚くのは、雪中貯蔵した大根が甘くて梨のような味になるという効果です。
このように味が美味しく変化するのですから高級イタリアンレストランからの引き合いが出てくるのは当然と言えます。

一方、吉倉さんたちが開発を進めている、秋田名物の寒天と雪中貯蔵したりんごを使った「雪中りんご寒天」は見た目にも美味しそうです。
ですから、機会があれば是非食べてきたいと思っています。
更に雪室コンテナには地元のクラフトビールやお米のあきたこまちなども貯蔵しているといいますが、これらも機会があれば試してみたいと思います。

吉村さんたちは、街全体が厄介者の雪を利用してブランディングして、湯沢市のPRにつながればと思っているといいますが、雪室を活用した野菜や果物の味は普通に育てたものに比べてはるかに美味しくなるのですから、その願いはきっと叶うと思います。

なお、ネット通販を覗いていたら、青森県産の”雪室りんご”が掲載されていましたが、数量限定、かつ完全予約制で残念ながら今年の分は既に3月時点で販売終了になっていました。
そこで湯沢市ビジネス支援センターに直接問い合わせてみたら、やはり今年分は既に販売終了でしたが、秋田県湯沢市のふるさと納税の返礼品の対象になっていると教えてくれました。
ちなみに、返礼品の期間は例年1月〜3月で業者さんは詩の国商店ということです。
ですから、来年は是非タイミングを見計らって雪室関連の野菜や果物を故郷納税の返礼品として入手したいと思っております。
やはり、“梨のように甘い大根”という言葉に惹かれてしまいます。

さて、ここで思いついたことがあります。
それは、雪中貯蔵と同様の効果をもたらす冷蔵庫です。
もし、こうした効果のある冷蔵庫が市販化されれば、多少高価でもかなりの引き合いがあると思います。
毎日のように美味しい野菜が果物を食べることが出来るからです。
私も是非購入したいと思っています。
ですので、こうした冷蔵庫の製造にチャレンジしてくれるメーカーが現れることを期待したいと思います。

 
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