2022年06月21日
アイデアよもやま話 No.5300 ロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界 その2 今、日本は米ソ冷戦当時の西ドイツと同じ立場に立たされている!
4月28日(木)放送の「プライムニュース」(BSフジ)でロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界について取り上げていました。
そこで2回にわたってその一部をご紹介します。
2回目は、米ソ冷戦当時の西ドイツと同じ立場に立たされている今の日本についてです。

「もし中国が日本に攻め込んで来たら何日持ちこたえられるか?」、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、この疑問に少なからず日本国民は興味を示すと思います。
そうした中、4月28日(木)放送の「プライムニュース」(BSフジ)でロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界について取り上げていました。
そこで3回にわたってその一部をご紹介します。
2回目は、甘いと見られる日本の安全保障方針についてです。

安全保障環境が大きく変わる中で日本は何をするべきなのか、自民党の安全保障調査会は国家安全保障戦略など3つの文書の改訂に向けた提言(こちらを参照)をまとめ、昨日(4月27日)岸田総理に提出しました。
そのポイントはこちらです。
この内容について、櫻井さんは次のようにおっしゃっています。
「方向性としては正しいですけど、その程度は全く満たしていないと思います。」
「5年以内でしょ。」
「5年間の時間があるかということですよね。」
「例えばドイツはですね、プーチンの侵略戦争が起きたとたんに2%以上やるって決めたんですね。」
「今までメルケルさん(前首相)の時代をずっと見てみると、アメリカがどんなにプレッシャーをかけても聞く耳を持たなくて、経済が大事だというので、当の敵であるロシアとノルドストリームを使って商売しようとしていたわけでしょ。」
「でもそれを全部凍結してショルツさん(ドイツの現首相)は2%以上というふうにしました。」
「そのためになんと1000億ユーロ(13兆円)の基金を積んだんですよ。」
「それは兵士の福祉とかお給料とか、そういったものには使ってはいけませんと。」
「全て軍備、ミサイルとかに使うべきだというので、これをNATOのためにドイツのために積み上げた。」
「それと同時に、もう一つ、私は本当にドイツってすごいなと思ったんですね。」
「天然ガスを約4割、ロシアに依存してますよね。」
「で、これを約4割をゼロにするのは中々大変なんだけれども、断固としてやるというので、再生可能エネルギーでやるというので、なんと2000億ユーロ(26兆円)の投資を決めたんですよ。」
「この13兆円の軍事費と26兆円の再生可能エネルギーのためのお金をドイツ政府は瞬時に決めたわけですね。」
「これは本当にすごいと思うんです。」
「でも彼らはそれだけの緊迫感を持ってやってるんですが、日本が5年以内って言っているのはあまりにも生ぬるいというふうに私は感じました。」
「それと同時に、そこに書いてある「専守防衛」という考え方を継続したわけですね。」
「「専守防衛」でしかもその際、保持する防衛力を必要最小限。」
「で、このような危機にウクライナのゼレンスキーさん(大統領)は国際社会のおよそ全ての国々にメッセージを出して、もっと武器・装備を下さいと。」
「今までは防御的なものだったけれども、これからは攻撃的なものも下さい、そうすれば勝てると。」
「オースチンさん(アメリカの国防長官)も適切な軍事の支援によってウクライナは勝てるかもしれないというところまできましたね。」
「これは出来る限りの力をそこに投入して戦い続けてきたからですよね。」
「戦う時というのは、国の運命を賭けて戦う時に必要最小限でとか、国民の命を守るのに、国土を守るのに必要最小限でやりましょうという考え方そのものが成り立たないんですよ。」
「で、私も小野寺さん(自民党安保調査会長)に私の「言論テレビ」でお聞きしたんですよ。」
「必要最小限、これは専守防衛の考え方を捨ててないのはなぜかと。」
「専守防衛こそ、今もう我々は平時のごとく打ち捨てるべきだと言ったんですね。」
「そしたら、専守防衛は日本国憲法がある限り駄目だと。」
「なぜならば、憲法9条の第2項で「戦力はこれを保持しない」と書いてある。」
「で、自衛隊というのは元々警察予備隊から出発したから、法的建付けが軍隊ではなくて警察なんだと。」
「しかも必要最小限の力であるから戦力ではなくて、守るのに必要な力ということだから、持てる装備も必要最小限だし、法的建付けも警察なので、軍隊ではないから自衛隊は合憲ですという考え方が成り立つというんですね。」
「このひねくり回した理屈に合わせて、この何十年間かいろんな答弁をして、いろんなことを決めてきたから、それを今ひっくり返すのは大変だから、とりあえずこの専守防衛という考え方を維持して、必要最小限も維持したんだと。」
「でも、必要最小限というのは周りの状況に合わせて必要最小限なので、今はもう各国々の戦力も格段に上に上がったから必要最小限の力も上に上がると言うんですけども、これは屁理屈なんですね。」
「今、言ったように、国民の命を守るのに本当に必要最小限の力でやりましょうという軍隊がどこにいるかですよね。」
「災害で救助に行く時に自衛隊の人たち、3・11(東日本大震災)の時も本当に頑張って下さったけども、彼らは全力投球するわけでしょ。」
「必要最小限で行けなんて誰も言わないですよ。」
「でもここに必要最小限というのは残ってしまって、これはやっぱり専守防衛という、攻撃されてから反撃する、そこには国民の犠牲が出るということが大前提になっていて、私たちは国民の犠牲が出ることを前提にするような国防政策は持っちゃいけないんですよ。」
「国民の犠牲がないように、国土を取られないように、責められる前に防ぐ、防ぐために必要ならば攻撃するという考え方でなければいけない。」
「それがごく普通の民主主義的な国家の基準ですよね。」
「だから私たちもごく普通の民主主義の国になるために、ここのところを本当はもっと根本的に改めないといけないというふうに思いますね。」
「(生ぬるいですかという問いに対して、)生ぬるいどころか根本が全然なっていないっていうことですよ。」
「自民党の皆さん方は頑張ったのは認めるんです。」
「頑張ったのは認めるんですが、自民党の方にも岸田総理にも考えて欲しいのは、今、必要とされる頑張り方はこれでいいのかと考えて欲しい。」
「これが普通の状況なら、今の自民党は本当によくやったと褒めてあげますよ。」
「今でも私はよくやったと評価する部分もあるんですけども、今起きている変化があまりにも大きいから、あまりにも根源的な変化で、戦後の体制が本当に変わっている中で、この大変化の中で、この程度の変化で乗り切れると思っているんですかっていうのが私の問いかけです。」
「いわゆる国家の安寧とか、国民の福祉とか、命の存続とか、そういったことに全責任を持つのがやはり国家であり政治だと思うんですけど、その責任を果たすためには、今起きている変化がどれくらい大きいものであって、私、昔、よく“100年に1回の変化”ということを言いましたけれども、考えてみたら今起きている変化は“100年に1回も起きないような変化”ですよ。」
「その変化に合わせて日本は劇的に変わなきゃいけない時に、この劇的に変わる部分の根本が変わっていない。」
「この上の2%とか1.5%が変わった。」
「これはお化粧が変わったってことですね。」
「根本が変わっていない。」
「そこのところが私は非常に残念に思います。」

「この防衛予算の2%ですけれども、ここにたどり着くのに自民党の中で2%という数値目標を出す必要は無いんじゃないかと。」
「財政の健全性ということも考えてやるべきだという意見があったように聞きます。」
「でも私はさっきも申しあげたように、非常に大きな変化が起きている時に平時の考え方では対処出来ないんですよ。」
「ドイツを私たちが注目しているのは平時の考え方ではなくて有事の考え方においてガラッと変わったわけですね。」
「ドイツだけではなくてヨーロッパ諸国ほとんど全部そうですよね。」
「ところが日本にはその有事の考え方が未だにない。」
「例えば2%を5年以内に達するというけれども、今の自衛隊の現状がどういうふうになっているかということを考えるべきですね。」
「私たちは自分の足元の自衛隊の実力がどういうものかというものを知っておいて、いざという時に自衛隊が本当に動けるのと、動けるとしてどのくらい動けるのということを知っておいて、そのうえでここが足りないから一生懸命今やろうねっていうのが今の課題ですよ。」
「小野寺さんがよく言うのは、自衛隊には定員がありますと。」
「でも定員に足りない、予算がないから定員まで雇えない。」
「だから1割か2割か低い。」
「人も雇えない、それから弾薬が足りない。」
「私、今ウクライナで起きているような戦争を日本と中国の間でするようなことが万々が一あったらですね、ウクライナが今2ヵ月以上守っているけれども、日本はどのくらい守つのかって訊いたら、「国家機密です」と専門家はみんな言うんですうよ。」
「で、国家機密っていっても教えて欲しいって言ったら、ある人は2週間から1週間て言いましたよ。」
「で、ある人はそんなに守たない、それ以下だと。」
「(撃つ)弾が全部無い。」
「で、2%の目標値をするのは時期尚早だと言うけれども、我が国の軍隊が、軍隊ではないんです、法的にはね。」
「自衛隊がこういう状況にあって、いざという時にどうするのと。」
「中国は尖閣(諸島)狙っているし、台湾狙っているし、必ず来るんですよ。」
「中国が来ないなんてあり得ない。」
「必ず中国は我が国を襲いますから、その時にどうするのかということを考えなければいけないのが政治家の役割ですよ。」
「私たち言論人が警告を発しなきゃいけないんですよ。」
「そのレベルに自民党の意識が、与党の意識が全然ついてきていないということを私は言いたいんです。」
「2%を5年以内って、さっきそんな時間ありますかって、冒頭で聞きましたけども、無いと思っていた方が正解です。」
「そのような厳しい状況の中でね、自民党は今までの自民党に比べるとよくやったけれども、今はもっとガラッと変わらなきゃいけない。」
「国民のために変わらなきゃいけない。」
「しかも政治家の皆さん方に意識して欲しいのは、国民の意識の方が先を行っています。」
「永田町の国会議員の皆さん方の方が私たち庶民よりずっと後ろをくっついて来て。」
「これから議論もするでしょうけれど、核の問題だってそうですね。」
「ここでは非核三原則全然やってないんですよ。」
「核の問題については論じてないんですよね。」
「タブーになっている。」
「でも核はね、今回のロシアによる侵略戦争でまさに使える時代になって、そして核不核散体制(NPT)が崩壊したんですよ。」
「だって5大国の核保有大国のロシアが核を使って他国を脅し上げて、領土を取って、ウクライナの南岸だけではなくて、黒海まで行って、モルドバまで取ろうと今しているわけでしょ。」
「こんな無法を核の力を背景にやる時代になってきて、これを見て北朝鮮は「やっぱり俺たちの方が正しかったな」と。」
「他の国もみんな、その野望を持つ国は核を持つ時代に私たちは一歩入ったんですね。」
「その時代に私たちが核を持つか持たないかはきちんと議論をして、その前に私たち日本国は核を持つのか持たないかを決める決め手となる、アメリカとの拡大抑止、アメリカの核によって守ってもらうというアメリカとの拡大抑止が本当に機能しているのかどうか、していないんだったらどうやって機能させるのか、機能させたうえで私たちは核のない国でいいのか悪いのかというというところを議論しなきゃいけない。」
「本当は自民党の安全保障調査会はそこまで踏み込んで「我々は今、本当の正念場なんですよ」ということを何をおっしゃっているのかよく分からない岸田総理に突き付けて欲しかったと私は思います。」
「(ドイツが方向転換する時にも反対勢力はあったと思うが、それにも係わらず舵を切れたドイツと、世論が高まっているにも係わらず中々そこまで踏み切れない日本は根底にどのような違いがあるのかという問いに対して、)すごく大きな違いがあるんですけども、ドイツの状況を見てみたいと思うんですけども、ドイツのショルツさん(首相)、社会民主党という左の政党ですけども、その人は緑の党とか自由民主党という、もっと左と3党連立政権をつくっているわけですね。」
「で、ショルツさんは確かにすごく目覚めて瞬時に1日、2日にして変わったんですよね。」
「だけども本当にウクライナに武器を渡すのをためらったんです、彼は。」
「ためらってものすごい批判を浴びたの、緑の党から、自由民主党から、そして国民から。」
「で、ものすごい批判を浴びて、世論に押されて古いソビエト製の戦車(自走式空砲「ゲパルト」)を(ウクライナに)渡すようになったんですけどもね。」
「だから彼の変化の背景には日本でいう庶民の力、日本国民の力、ドイツ国民の力があったわけですよ。」
「それが凄く大きな直接的な要因だと思います。」

日本を取り巻く安全保障環境は日に日に厳しさを増しているわけですが、小野寺元防衛大臣は次のようにおっしゃっています。
「日本の周りには中国、ロシア、北朝鮮がある。」
「この3者は連携している。」
「世界でこういう複合事態があるかもしれない国は日本だ。」
「日本が一番今危機感を持たなければいけない。」

この発言について、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんは次のようにおっしゃっています。
「一時期、今のロシアでないソビエトとアメリカがものすごい対立をしていましたね、冷戦の時にね。」
「その冷戦構造の最前線にいたのが当時の西ドイツですよ、ベルリンの壁でね。」
「で、もう本当にソビエトからの核にも狙われていて、ワルシャワ条約機構という東陣営の軍事協定の国々の通常軍事力はNATO側の軍事力よりもすごく大きかったわけですね。」
「おまけに核をものすごく向こう側は持っていたわけで、西ドイツは戦々恐々の夜を過ごしていたわけです。」
「それと同じ立場に今日本が立たされている。」
「中国、ロシア、北朝鮮、3つとも独裁国家ですよ。」
「3つとも核を持っている、3つともミサイルを持っている、3つとも隙あらば使ってやろうかという邪な心を持っていますね。」
「そして国際法はほとんど無視してしまう。」
「それから私たちが掲げる価値感ですね。」
「民主主義とか人道とか少数民族とか、こんなことは一切気にしない。」
「本当に野蛮な狼藉(ろうぜき)者国家に私たちは囲まれていて、現実の脅威として核とミサイルがあって、それは今までの人類の歴史から考えると考えられないくらいのすさまじい脅威に私たちは直面していて、私たち日本はどうですか。」
「いわゆる平和憲法、9条があります、公明党がいます、岸田さんの非核三原則があります、何もしません、専守防衛だからやっつけられたら反撃しますよ、反撃力ありますよということになった、こういう事態に立っているんですよということを小野寺さんは警告しているわけですね。」
「だから今までと全く状況が違って、私たちは東西冷戦の最前線に似たところに立たされているという、その危機感を持たないといけないと思いますね。」

「日本が逆を選んだ(ロシアと融和的にならずに圧力をかける側に回った)と、現象としてはそうかもしれないですけど、選択肢はなかったと思いますよ。」
「例えば、私たちの価値感からしても中国やロシアと一緒の道を歩みたいのかという大きな質問がありますね。」
「それに日本人のほとんどの人はノーと言うだろうと思います。」
「それから我が国は日米同盟を持っていますね。」
「今までアメリカの同盟のもとでいろんな意味で守られてきたのが、アメリカが価値観を守るという意味で、それからヨーロッパがロシアがNATOと対立している状況の中で、アメリカとロシアがこのように対立している中で、我が国がロシアに融和的な態度をとって、安倍さん(元総理)の時と全然状況が違うわけですから、戦略的に中国とロシアの分断をという考えはもう捨てなければいけない時に、私たちの行く道としては今の道しかなかったと思いますし、今の道でいいと思うんですよ。」
「私たちが今すべきことはいかにしてプーチンのロシアを勝たせないか、いかにしてプーチンであるとか習近平のこの二人の首脳が喜ぶような世の中をつくるような方向に行かせないか、そのことなんですよ。」
「だから私たちはその方向で努力をしなければならないし、ここで努力をして貢献するためには日本自身がいろんなくびきを取らなきゃ何も出来ない。」
「口ばかりの存在になりますからね。」
「そのことを言ってるんです。」

「(日本は一国で自国を守るだけの軍事力はなく、当然のことながら日米同盟も大きな要素を持っている日本の安全保障を見た時に、今言われたような道しかない道を選んで、日本が台湾有事、ないしは尖閣(諸島)有事の時にアメリカが同盟のルールをきちっと守ってくれるのかどうか、ウクライナのように「兵隊は送りません、情報と大砲は送ります、後頑張りなさい」というような、勿論ウクライナとアメリカの間には、NATOに加盟していない国なので条約的には全然違うとは言いながらも、よく言われるのは「尖閣のような人も住んでいないような岩のためにアメリカの兵隊を死なすのか」という世論が出た時にバイデン大統領はどのような決断を下すのかという問いに対して、)私たちがいろんな疑いを持つのは当たり前ですよね。」
「だけれどもウクライナと日本は違う、日本はアメリカと同盟国です。」
「そこのところには非常に大きな一つの壁があると思って考えなきゃいけないと思うんですね。」
「それから尖閣のことについて、日本が先に行って守ろうとしなければ、アメリカはいくら第5条を適用しますとバイデン大統領が何回言ってもやらないですよ。」
「だけども、国と国との外交関係においては、「日米同盟は機能する」、その大前提を私たちの考え方で揺るがしてはいけないと思うんです。」
「どんなことがあっても日米同盟は機能するんだと。」
「勿論、日本が先にちゃんと自衛隊を(尖閣諸島に)派遣して尖閣を守るということは当たり前のことなんですけども、「日米同盟は機能する」という大前提の上に、しかしそれだけで本当にこの時代大丈夫なのかなというところを今持たなければならないところに世界全体が来ている。」
「NATOの国だってそうだと。」
「イギリスの状況なんかを見ると非常によく分かるんですけども、イギリスだってアメリカがNATO諸国と核の共有をしているのが常に機能するとは思っているかどうか分からないですよ。」
「サッチャーさん(イギリスの元首相)の回顧録なんか読むと、「私は疑問を持たないことにした」と書いてあるんですよ。」
「疑問を心の中で持っていたとしても、イギリスの首相として「私は疑問を持たないことにした」と。」
「英米同盟は「信頼出来るものだということは絶対に揺るがせにしてはならない。」
「しかし、その上で我が国の国防力をどういうふうにもっと強くするか」ということを考えて、彼女は4隻の原子力潜水艦に「トライデント2」という最新鋭の核弾頭ミサイルを積んで、200発くらいの核を自国で持っているわけですよね。」
「だから、そのようにする時が今来てるんですよ。」
「日米同盟は揺らぎありませんと。」
「必ず日米同盟では我々も助けるし、向こうも助けてくれる。」
「けれどもそれだけで十分ではないかもしれない時代があるかもしれないので、日本国民と国土を守るために我が国は主権国家としてちゃんとやりましょうという覚悟を持たなければならない。」
「それが核論議につながっていくんだろうと思います。」

「大事なことはどれだけ兵力、軍事力を持っているかという、実際の力がどれだけロシアにあって、NATO側にあって、中国にあって、日本にあって、アメリカにあるんだという本当にむき出しの冷徹な計算ですよね。」
「そのNATOの加盟国であるバルト三国とかポーランドにはロシアが手を出さないのは、手を出したらロシアとNATOとの戦いになる。」
「で、NATOと戦う時にはロシアは絶対に負けますよ。」
「NATOには絶対に勝てない。」
「だってロシアの勢力は90万でしょ、これ徴兵と職業軍人と合わせてね。」
「今、NATOの欧州諸国だけで185万でしょ。」
「それにアメリカとカナダを加えると326万ですよ。」
「兵力だけでそう。」
「それから武器、装備に関してはアメリカが持っているから負けないですよね。」
「ですからロシアがNATOとの戦争を本当にやるとなると必ず負けます。」
「プーチンはそういうこと分かっているから手を出せない、出したくても出せない。」
「じゃあ中国はどうか。」
「中国、ロシア、北朝鮮対日本はどうかと言った時に、我が国はどうするんですかということをきちんと計算しなければいけないということですね。」
「ここのところを足元の力関係というものを私たちはこの際本当に全部頭に入れてやらないといけないと思いますよ。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんのご指摘の内容を以下にまとめてみました。
・自民党の安全保障調査会は国家安全保障戦略など3つの文書の改訂に向けた提言について、方向性は正しいが、現在GDP比が1%程度である防衛費を5年以内に2%以上へ引き上げるよう政府に要請しようとしているが5年という期間は長すぎる
・こうした日本の対応に対して、ドイツはプーチン大統領の侵略戦争が起きたとたんに有事の考え方にシフトし、13兆円の軍事費投入を決断したが、その裏には世論の強い危機感があった
・更にドイツはウクライナ侵攻以前に天然ガスを約4割ロシアに依存していたが、再生可能エネルギーへのシフト用に2000億ユーロ(26兆円)の投資を決めた
・自衛隊の法的建付けは軍隊ではなく警察であり、しかも国民の命や国土を守るのに必要最小限の兵力で闘うという考え方は成立しない
・専守防衛という、攻撃されてから反撃する、そこには国民の犠牲が出るということが大前提になっており、私たちは国民の犠牲が出ることを前提にするような国防政策は持ってはいけない
・国民の犠牲がないように、国土を取られないように、責められる前に防ぐ、防ぐために必要ならば攻撃するという考え方でなければいけない
・今起きていることは“100年に1回も起きないような変化”であり、その変化に対して平時の考え方では対処出来ず、日本は劇的に変わる必要がある
・今ウクライナで起きているような戦争が日中間で起きたら、ある人は2週間から1週間しか守たない、別な人はそれ以下だと答えている
・中国は尖閣諸島を狙っているし、台湾も狙っているので、その時にどう対抗するかを考えるのが政治家の役割である
・核については、今回のロシアによる侵略戦争でまさに使える時代になり、核不核散体制(NPT)が崩壊した
・こうした時代に私たちはアメリカとの拡大抑止を踏まえて核のない国でいいのか悪いのかをきちんと議論すべきである
・米ソ冷戦構造の最前線にいた当時の西ドイツと同じ立場に今日本が立たされている。
・中国、ロシア、北朝鮮、3国とも独裁国家で、いずれも核やミサイルを持っており、隙あらば使ってやろうかという邪な心を持っている。
・3国のいずれも国際法をほとんど無視しており、民主主義、人道、少数民族などは一切気にしていない。
・こうした状況下にある日本にはいわゆる平和憲法、9条、あるいは非核三原則がある
・しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により今までと全く状況が違って、日本は東西冷戦の最前線に似たところに立たされているという危機感を持たないといけない
・ロシアがNATOと対立している状況の中で、日本が今すべきことはいかにしてロシアを勝たせないか、いかにしてプーチン大統領や習近平国家主席が喜ぶような世の中をつくるような方向に行かせないかである

1回目で、もはやロシアによるウクライナ侵攻は日本にとって“対岸の火事”では済まない状況になりつつあるとお伝えしました。
また、アイデアよもやま話 No.5273 ロシアによるウクライナ侵攻で危機感の足りない日本政府!でも日本政府の危機感の足りなさをお伝えしました。
今回も番組を通して、感じるのはドイツに比べて日本政府の平時と有事の切り替えの不十分さです。
平時と有事とでは次元が異なり、根本的に対応の仕方を変える必要があるのです。
またあらためて感じるのは、日本はいずれも核やミサイルを保有する中国、ロシア、北朝鮮という3つの独裁国家に隣接していることです。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻と同様にいつ中国が武力による台湾統一に向けて実際に動き出すか分からないのです。
しかも1回目でもお伝えした内容から台湾統一の次にはいつ尖閣諸島、更には沖縄に武力侵攻してくるか分からないのです。
更に万一中国が日本全土に武力侵攻してきたら、現状ではせいぜい2週間程度しか守り切れないという見方があるのです。
こうした状況において、国家安全保障戦略の5年というスパンはあまりにも長すぎると思います。
国際軍事情勢が以下のように根本的にガラリと変わったのですから、早急に国家安全保障戦略を練り直していただきたいと思います。
・以下の観点からの憲法改正
  専守防衛
自衛隊の位置付け
・日米安保体制など海外との軍事協定、および核兵器の使用も視野に入れた日本の防衛体制の構築、および防衛力の現実的な確保

なお、こうした取り組みは飽くまでも最悪の事態を想定した国家安全保障対策です。
こうした方向に単純に突っ走るのではなく、今、平和憲法を有し、世界唯一の原爆の被爆国、日本に最も求められるのはいかに世界平和を実現するか、その道筋を世界に向けて提案し、実現させるべく、知恵を絞ることなのです。
その際、大きなヒントとなるのは世界各国のほとんどの国民は平和を望んでいるということです。
ですから、世界各国の国民に日本の平和憲法の素晴らしさ、一方では核兵器の悲惨さを理解していただき、平和の維持に向けてともに歩むという壮大な取り組みを進めることが一つの手段と思うのです。

 
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