2022年06月14日
アイデアよもやま話 No.5294 核のシェアリングの是非について
3月3日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で核のシェアリング(共有)について触れていたのでご紹介します。 

核兵器の共有について、小野寺元防衛大臣は次のようにおっしゃっています。
「日本は今、“核の傘”という中でしっかりアメリカと含めて同盟関係を支えられていますので、そこはまず確認することであります。」
「やっぱり今回ウクライナが核で脅かされている。」
「それはウクライナが“核の傘”に入っていないからだと思いますので、日本でこういう議論がもし起きるとすれば、責任はロシアにあると思います。」
「ロシアがあんな核の発言をしなければ、日本国内で、例えば核のシェアリングのような議論も通常起きないと思うので、私はロシアに早くこのようなことを止めて欲しいと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、2月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では、ロシアの国防省はプーチン大統領に対し、核戦争の部隊が戦闘体制に入ったと報告したと報じています。

ですから、プーチン大統領はウクライナ侵攻前から既に核兵器をいつでも戦闘に投入出来るように準備していたわけで、プーチン大統領はこれまで核兵器は核戦争勃発の抑止力とされていた”パンドラの箱“をこじ開けてしまったのです。

こうした状況において、小野寺元防衛大臣は、ロシアが核兵器の使用をちらつかせることについて「ロシアに早くこのようなことを止めて欲しい」とおっしゃっていますが、今のプーチン大統領にそれを期待するのはとても難しいと思います。
なぜならば、専門家の多くは「プーチン大統領は何をしでかすか分からない、真意が読み取れない」と思っているからです。

いずれにしても、これまで核兵器の保有を核戦争防止の抑止力と位置付けることが国際社会の暗黙の了解であったのが、プーチン大統領により「いざという時には核兵器を使用する」という状況が現実のものとなってしまったのです。
その理由は、ウクライナが“核の傘”に入っていないからだと見られています。

こうした現状を見れば、日本としてはアメリカの“核の傘”の下にある状態の維持は必須と思われます。
しかし、核のシェアリング(ニュークリア・シェアリング こちらを参照)まで議論を進めるのはどうかと思います。
“戦争放棄”を国是としている日本としては、世界的な核兵器の保有数の削減に向けて世界に発信し続けるべきなのです。
そのためには、グローバル化の進んだ今の国際社会において、戦争がいかに愚かしいのか、あるいは核兵器の威力が格段に進んだ状況における核戦争が人類の滅亡を意味することを世界に向けて説得し続けることが日本に求められると思うのです。
なお、その際のキーワードは世界各国の人たちを対象とした以下の2つだと思います。
・平和の価値の貴重さ
・核戦争の悲惨さ(広島、長崎の事例)

なぜならば戦争における最大の被害者はそれぞれの国民だからです。
また世界各国において、戦争突入の可否を握っているのも国民の総意だからです。
従って、どの国においても国民の大多数が戦争反対であれば、その国の指導者は戦争をしたくても出来ないのです。
ですから、例えば、毎年世界各国のオピニオンリーダーと言われる方々を広島平和記念資料館に招いて核兵器の悲惨さ直接目にしていただき、平和をテーマとした議論をしていただくという試みを始め、継続することは有効な平和維持対策になると期待出来ます。
また、平和憲法を有する日本のアピールにもなると期待出来ます。
ひたすら軍備拡張に走るだけでなく、こうした取り組みも世界平和に向けて有効な手段だと思うのです。

 
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