2022年06月07日
アイデアよもやま話 No.5288 ”塗らない”塗装 !
2月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”塗らない”塗装について取り上げていたのでご紹介します。

布施真空株式会社(大阪・羽曳野市)の工場を訪ねると、そこにあったのは塗装前の車のボンネット、型の上に置いて赤いフィルムをかぶせます。
次の瞬間、機械の中が真っ白になって、出てきたボンネットはまるで塗装されたような状態になっています。
これは、布施真空が開発した、真空状態でフィルムを貼り付ける世界初の技術です。
真空技術によって厚さ1ミリにも満たないフィルムを立体的なものにピッタリと密着させることが出来るのです。
塗って乾かしての工程を何回も繰り返す従来の自動車の塗装。使う電力は塗装工程だけでクルマ1台をつくる総電力の4割近く、この“貼る”塗装なら従来の3分の1に減らせるそうです。
矢葺勉社長は次のようにおっしゃっています。
「夢のある工法で、社会のためにもなるかなと。」
「更にチャレンジしていくということで。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそもクルマのボディの塗装の代わりに色の着いたフィルムを真空技術によって貼り付けるというアイデアが画期的です。
また、この“貼る”塗装は従来の自動車の塗装に比べて以下のメリットがあります。
・作業工程が少なく、生産性の向上が図れる
・使用電力を3分の1に削減出来る

なお、この“塗らない塗装”について疑問が湧いてきたので直接、メーカーの布施真空に問い合わせてみました。
以下はその結果です。
Q1:部分的な傷について、従来の塗装であれば、その箇所だけ修理すればよかったが、“塗らない塗装”ではフィルム全体を貼りかえる必要があるのではないか?
A1:その通りで、従来の塗装に比べてコストがかかる。
   しかし、将来、ボディがプラスチック製になり、射出成型での製造になると低コスト化が図られる。
A2:こうした時代には、購入後にボディの色を変えるといった新たな需要が期待出来るのではないか?
A2:その通り。
   なお、ダイハツのコペンでは既にこうしたサービスが展開されている。

ということで、クルマのボディも将来的にはSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)の観点から鉄から植物由来のプラスチックに替わり、従来の塗装も“塗らない塗装”へと変化していくのではないかと思われます。

 
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