2022年05月20日
アイデアよもやま話 No.5273 ロシアによるウクライナ侵攻で危機感の足りない日本政府!
5月5日(木)付けネット記事(既に削除済み)ではロシア国内で相次ぐ富豪の死、マリウポリの製鉄所への攻勢をさらに強めているロシア軍、そして侵攻を続けるロシアへの制裁について取り上げていました。
ここではロシアへの制裁に焦点を当てて要点をご紹介します。 

・EU(ヨーロッパ連合)が、年末までにロシア産石油の輸入を禁止する方針を打ち出した。
・IEA(国際エネルギー機関)によると、ロシアの石油は、およそ6割がヨーロッパに輸出されている。
・その石油の輸入を禁止することで、EUは、ロシア経済の弱体化を狙っている。
・ロシア産石油への依存度が高いドイツは、依存する割合を2021年の30%から12%まで引き下げ、慎重な姿勢から一転、追加制裁に前向きな姿勢を見せている。
・一方、日本は、石油のもととなる原油の輸入元は、ロシア産の割合が3.6%。
・萩生田経済産業相は、「石油の問題を直ちに言われても、日本の場合は資源に限界があるので、直ちに足並みをそろえてというのは、なかなか難しい部分もある」と述べ、日本がロシア産石油の輸入禁止を行うことには否定的な考えを示した。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

なお、3月9日(水)付けネット記事(こちらを参照)では以下のように報じています。

・アメリカのジョー・バイデン大統領は2022年3月8日朝(現地時間)、今後、原油やガソリン、ジェット燃料などを含むエネルギー関連製品をロシアから輸入しないことを発表した。
・これは、2月末のウクライナ侵攻に反対して、ロシア経済を衰弱させるためのホワイトハウスの最新かつ最も大胆な措置だが、他の国がこれに参加しなければ、その効果は限定的なものになるかもしれない。
・バイデン大統領は、EUはエネルギー輸入禁止の制裁に加わらないと述べている。
・2021年には、アメリカの石油輸入全体の10%弱がロシアからの輸入だったと、ホワイトハウスの高官が3月8日に述べている。アメリカエネルギー情報局(EIA)によると、これはアメリカの石油消費量全体のわずか3%だ。

要するに、アメリカは3月8日の時点で、エネルギー関連製品をロシアから輸入しないことを発表したのですが、石油輸入全体の10%弱がロシアからの輸入で、これはアメリカの石油消費量全体のわずか3%ということで、それほどの影響はないという判断で可能だったのです。
一方、アメリカは、EUなどはロシアからのエネルギー輸入の占める割合が大きいことから、輸入禁止の制裁に加わることを強く求めなかったのです。

ところが、5月5日の時点でEUは自ら年末までにロシア産石油の輸入を禁止する方針を打ち出したのです。
ロシアの石油は約6割がヨーロッパに輸出されているという状況にも係わらずです。
一方、日本はというと、原油の輸入元はロシア産の割合が3.6%ですが、萩生田経済産業相は、日本の場合は資源に限界があるので、日本がロシア産石油の輸入禁止を行うことには否定的な考えを示したというのです。

このEUと日本とのロシアからのエネルギーの輸入に対する対応の違いは、まさに今ロシアからの侵攻に直面しているウクライナの隣国であるEUとそうでない日本の危機感のレベルの違いにあると思います。
しかし、日本も独裁国家、中国、ロシア、そして北朝鮮に隣接しており、万一今回のロシアによるウクライナ侵攻がロシアの狙い通りの結末を迎えれば、他人事ではなくなるのです。
近い将来、中国は台湾に侵攻し、その次は尖閣諸島を侵攻し、更には沖縄に侵攻するリスクが格段に高くなってくるのです。
また核保有国である北朝鮮にしても、今回のロシアによるウクライナ侵攻に増々核保有の威力を実感し、何かにつけて日本に対して核兵器の使用をちらつかせてくるのは明らかです。
こうなると、拉致問題の解決はほとんど絶望的になります。

ということで、日本にとってもロシアによるウクライナ侵攻問題は“対岸の火事”ではなく、国家安全保障、あるいは経済安全保障の観点からとても大きな脅威なのです。
まさに今は“有事”の寸前なのです。
日本政府にはEUに比べてこうした危機感が少ないように感じられます、
ですから、このような時こそ、日本国のリーダーである岸田総理には、今、日本が置かれている状況を国民に分かり易く説明し、ロシアに係わるサプライチェーンからの脱却を目指していただきたいと思います。
こうしたアメリカやEU,そして日本の対応がロシア経済に影響を与え、それだけウクライナ侵攻の終息を早めることになるのです。

なお、エネルギーに関するロシア依存の脱却は、太陽光など、持続可能なエネルギーへのシフトを加速させる絶好のチャンスでもあるのです。
これまでの成功体験から日本国民は総理大臣から十分に納得のいく目標を掲げられれば、それを達成する潜在的な実力を持っているのです。


(追記 8月29日)

5月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で台湾有事について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

日米首脳会談で意見が交わされた台湾有事、台湾の情報機関のトップは日本の安全保障にも直結する事態だと指摘します。
5月16日、陳明通国家安全局長は次のようにおっしゃっています。
「中国のいわゆる「完全統一」とは、台湾に攻め込むことに留まらず、釣魚島(沖縄県尖閣諸島)も含まれるため、日本への直接的な脅威だ。」
「日本は中国、ロシア、北朝鮮という3ヵ国の核保有国からの脅威にさらされており、日本は当事者であって、傍観者ではない。」

また、現実的に脅威に直面するのはいつなのか、大学で中国の歴史などを専攻し、外交官として北京に駐在した経験のある、オーストラリアのケビン・ラッド元オーストラリア首相は次のように分析します。
「台湾を巡る問題に対する中国の計画は長期的に、(軍事行動は)2020年代後半から2030年代前半になるとみられる。」
「中国は欧米の経済制裁によって経済が機能不全にならないように、金融・経済の弾力性や独立性、自立性の水準を満たす対策に取り組んでいる。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組の内容からすると、習近平国家主席は本気で、長期的計画に基づいて、2020年代後半から2030年代前半には台湾、更には尖閣諸島への侵攻を目指していると考えるべきなのです。

 
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