2007年07月16日
No601 奇跡は起きる 〜神田高校10年ぶりの1勝〜!
 7月1日(日)放送のフジテレビ番組「ザ・ノンフィクション」のタイトルは「負けんじゃねぇ 〜神田高校に起こった奇跡〜」でした。
最近、録画ビデオがたまり気味でようやく今週末に見終えたのですが、この番組にはとても感動しました。
いつもよりちょっと長くなってしまいますが、ご紹介します。

2006年7月16日の全国高等学校野球選手権神奈川大会は、神田高校対鶴嶺高校戦でした。
神奈川県平塚市にある県立神田高校は10年間公式戦での勝ち星が一度も無かったのです。
この試合でも1回に1点、3回に3点、神田高校は鶴嶺高校に先制されていました。
松山大介監督から選手たちに対してとても厳しい言葉が浴びせられていました。
4回に1点を返し、5回を終わると1点差まで追い上げました。
3対4、と1点差のまま8回裏まで進み、この回に鶴嶺高校に痛恨の1点を追加されてしまいました。
そして、3対5で迎えた9回表の最後の攻撃もツーアウト、ランナーなしとなってしまいました。
ここで、3年の佐藤和成選手が代打に起用されたのです。
佐藤選手にとっては、高校3年間で最初で最後の公式戦でのバッターボックスです。
正選手ではないけど、野球が大好きで毎晩深夜の素振り練習をしていたそうです。
バットを振った初球はレフト前ヒットになりました。
恐らく、佐藤選手の心のなかには、公式戦初めてのバッターボックスでの緊張感、初めてバッターボックスに立てた喜び、最後の打者になりたくない、松山監督の言葉、などいろいろな思いが巡っていたと思います。
佐藤選手のヒットで相手投手が動揺し、デッドボールや走者一掃の3塁打などで結局この回6対5と逆転してしまいました。
そして、9回裏の相手側攻撃もなんとか0点に押さえ、神田高校は10年ぶりの1勝を果たしたのです。

これは、その試合に参加していた選手たちや見物客にとって、まさに奇跡の勝利だったと思います。
勝利の後の選手たちや応援席の人たちの喜びようはテレビ画面からも十分に伝わってきました。
実は、この大会前に行われた最後の練習試合で負けた後のミーティングで、松山監督は選手たちにこの夏を最後に神田高校を去る決心とともに、涙ながらに野球への取り組みに対する自分の思いを伝えていたのです。
そして、最後の言葉は「負けんじゃねぇ」でした。
「負けんじゃねぇ」この一言が選手たちの心に火を点けたのです。
そして、大会まであと10日、部員全員が自主的に夜間練習を始めたのです。

神田高校野球部は6年前までは部員数が少なく、その年の部員数はたったの3人まで落ち込んでいたそうです。
そこへ赴任してきた松山監督が野球部を変えたのです。
松山監督はそれまでサラリーマンを経験していたのですが、26歳の時に高校時代に熱中した野球をもう一度やりたいと決心して30歳の時に野球部監督として神田高校にやってきたのです。

番組での松山監督の次のような言葉がとても印象的でした。
・年収700万円〜800万円貰っていたので、24歳のサラリーマンじゃいい生活の方だろうと思ったが、全然自分は満たされていなかった
・明日死んじゃうかもしれないし、倒れた時に笑って死ねるような、あるいは坂本竜馬のように志半ばでもその志に向かって倒れることができれば人間は幸せなんだろう
・自分で素直になった時に教員になりたいって言うか、高校野球の監督やりたいなって思えた
・どう生きるかだと思うよって今は言える
・自分のやりたいものを本当に見つけられる能力と、それに対して走り出せる力と、それに対して走り通せる意志の強さがあればいいと思っている
・あいつら(選手たち)にもよく言うんですけど、それが無かったらおまえらは”お前高卒かとか、あそこの学校の出だ”とか、つまらない社会に潰されてしまう
・だから「覆す力と跳ね返す力を持て」と僕がやつらに対して何が伝えられるかと言ったらその部分しかないと思っている
(試合後の言葉)
・自分や仲間、信じられる仲間に出会えたことが多分こいつらの一生の財産だと思います
(今年春から神奈川県立伊志田高等学校に野球部監督として赴任後)
・神田高校の野球部が僕を受け止めてくれたことに対して恩返しできたっていう風な思いがあるからここに立てるのであって、それがなかったらここに立てていない
・そういう意味では、あの1勝っていうのかあの夏が無かったらここには来れないと思っている
多くの人たちから脚光を浴びるようなプロ野球や高校野球の決勝戦でなくとも、また派手なスーパーヒーローはいなくても、感動させられる試合は存在するのです

この番組を観て、いろいろなことを考えさせられました。
それを次にまとめてみました。
・自分のやりたいものは何かを見つけることが人生にとってとても大切である
・諦めずに目標に向かって前進していれば、必ずチャンスはめぐって来る
・誠心誠意接すれば、必ずその思いはいずれ伝わる
・心の底から目標を理解すれば、おのずと人は自主的に動き出す
・一生懸命に努力した結果は、周りの人たちにも勇気と自信を与える

最後に、自分のやりたいものを本当に見つけられる能力と、それに対して走り出せいる力と、それに対して走り通せる意志の強さがあればいい、この松山監督の言葉はどんな人生であっても、それを豊かに過ごすとても大切な能力だと思います。

 
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