2022年04月23日
プロジェクト管理と日常生活 No.742 『ロシアとタリバンによる”力による現状変更”へのリスク対応策』
現在、ウクライナは覇権主義のロシアから侵攻され、大変な状況になっています。
そうした中、昨年12月10日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でタリバンによる掌握で深刻な食糧危機に直面するアフガニスタンについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

イスラム主義組織、タリバンが実権を掌握して4ヵ月になるアフガニスタンは深刻な食糧危機に直面しています。
タリバンの幹部がテレビ東京の取材に応じ、国内に人権上の問題はないと主張したうえで、日本に対し、支援と投資を求めました。
今日未明、単独インタビューに応じたのは、タリバンの報道担当を務めるスハイル・シャヒーン、暫定政権が新たな国連大使に指名している幹部で、次のように答えています。
「(現在のアフガニスタンの様子について、)安定しています。」
「人々は国の端から端まで昼夜を問わず移動出来るほどです。」

ただ、国内の状況は深刻です。
干ばつなどにより不作が重なり、WFT(世界食糧計画)は「この冬だけで数百万人が餓死する可能性がある」と警告しています。
スハイル・シャヒーンさんは次のようにおっしゃっています。
「食料不足はアメリカや国際社会の制裁のせいです。」
「我々に原因はない。」

欧米各国は、女性の権利など、人権を大幅に制限してきたタリバンに対して経済制裁を継続しています。
「(この問題をクリアするためには制裁解除へタリバンに求められるのは何かという問いに対して、)タリバンに女性の権利の問題はありません。」

ただ、国内の状況はやや異なります。
アフガニスタンのカブールの街中で昨年11月に取材した靴磨きをする女性、以前は教員でしたが、最近失業したといいます。
「タリバンは女性の就労を認めるべきです。」

スポーツの分野でも代表チームの女性たちがタリバンに尾行されたり、隠れての練習を強いられたりと、実態が分かりづらくなっています。
スハイル・シャヒーンさんは次のようにおっしゃっています。
「(下部組織にも人権意識は共有出来ているのかという問いに対して、)私の答えが政策の基本です。」
「個人がそれぞれ考えを持つのは自由だが、公式の方針は私の話す内容です。」

平行線をたどるタリバンと国際社会、日本は2週間前に駐アフガン大使がタリバン幹部と初めて直接会談をして、人道支援の方向性などを探っています。
こうした状況について、スハイル・シャヒーンさんは次のようにおっしゃっています。
「日本にまず衛生や食料面の協力を期待しています。」
「その後は日本からの投資も期待しています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

タリバンの幹部で報道担当を務めるスハイル・シャヒーンの主張と現実について以下にまとめてみました。
・国内の状況は深刻で、干ばつなどにより不作が重なり、WFTは「この冬だけで数百万人が餓死する可能性がある」と警告しているが、現在のアフガニスタンは安定しており、食料不足はアメリカや国際社会の制裁のせいで我々に原因はない
・欧米各国は、女性の権利など、人権を大幅に制限してきたタリバンに対して経済制裁を継続しているが、タリバンに女性の権利の問題はない
・私の答えが政策の基本で、個人がそれぞれ考えを持つのは自由だが、公式の方針は私の話す内容である
・しかし、国内の状況はやや異なり、以前は教員だった女性が最近失業し、靴磨きをしている
・また、スポーツの分野でも代表チームの女性たちがタリバンに尾行されたり、隠れての練習を強いられたりしている
・平行線をたどるタリバンと国際社会だが、日本にはまず衛生や食料面の協力を、その後は日本からの投資も期待している

こうしてみてくると、アフガニスタンを掌握したタリバンとウクライナを侵攻しているロシアには以下のような共通点が見えてきます。
・国際ルールを無視する
・武力によりあくまでも自らの主張を貫き通す
・自らに都合のいい偽情報を国際社会に向けてまき散らす
・自らの非を認めず、その非の原因は全て他国に起因すると主張する
・国際社会の制裁にもひるまず、結果的に侵攻先の国民の暮らしを破壊している
・同様に、自らの組織の構成員、あるいは国民の暮らしにも犠牲を強いることになる

更に、ロシアは戦闘が劣勢になった場合には、生物・化学兵器や核兵器の使用をちらつかせています。
また、今回のロシアによるウクライナ侵攻がロシアの求めているような結果になれば、当然中国による台湾侵攻といったように力による現状変更の流れが出来てしまいます。
一方、北朝鮮はロシアによるウクライナ侵攻の陰で、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験を繰り返し、核兵器開発にも邁進しています。
ですから日本も中国や北朝鮮の軍事力の脅威にさらされていると言えます。

こうしてまとめてみると、以下の項目のリスク対応策、およびコンティンジェンシープランの抜本的な再検討が求められます。
・国際ルールの無視
・力による現状変更
・戦闘での核兵器や生物・化学兵器の使用

中でも重要なのは、力による現状変更、あるいは核兵器の使用に対して強力な抑止効果のあるリスク対応策の検討です。
特に核兵器の使用は人類滅亡の危機をもたらします。
そして、その要件は、国際ルール違反に対しては、相応の罪を課すようにルールを改定することだと思います。
具体的には、今回のロシアによるウクライナ侵攻を例に取れば、国際ルール違反に対しては以下のような国際ルールに改定することです。
(リスク対応策)
・全ての国際ルールには違反した際の明確な罰則規定を設けること
・なお、その際の基準は、国際ルールの違反はその国の利益よりも損失が大きいこと
・特に核兵器や生物・化学兵器の使用に際しては、最高でその国が今後何十年にも渡って立ち直れないくらいの厳罰を規定すること

(コンティンジェンシープラン)
・ウクライナを支援する圧倒的に強力な国連軍を侵攻直後に即座に派遣すること
・ロシアに対して、ウクライナの全ての復興資金、および迷惑料というような莫大な罰金を課すこと
・更にロシアがウクライナとの戦闘で核兵器を使用した場合はロシアを10年単位で国際社会から追放すること

国際ルールをこうした厳しい内容にすれば、世界各国を相手にしても勝てるほどの超軍事大国が現れない限り、他国への侵攻に踏み切る国はまずないと思うのです。

 
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