2022年03月18日
アイデアよもやま話 No.5219 驚くべきウクライナ侵攻のロシアの1日当たりの戦費!
3月8日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でクライナ侵攻のロシアの1日当たりの戦費について取り上げていたのでご紹介します。

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「(ロシアは今回のウクライナ侵攻でどのくらい戦費がかかっているのかという問いに対して、)戦費の試算をヨーロッパのシンクタンクというか経営のコンサルティング会社が発表しているんですよね。」
「1日当たり約2.3兆円戦費がかかっているという試算なんですよね。」
「弾丸などが消耗品で、ミサイルをバンバン打ちまくっているじゃないですか。」
「非常にお金がかかっているんですね。」
「日本の年鑑防衛費は約5.4兆円ですから、その4割を1日で使っている。」
「これ膨大な経費ということになるんですね。」
「(それだけ戦費がかさんで、更にかなり厳しい経済制裁を科されており、この先ロシア経済はどうなってしまうのかという問いに対して、)この重圧に耐えるのは相当難しいと思うんですよね。」
「何しろロシアの年間予算(歳入)は約37.5兆円、名目GDPも年間で約200兆円規模ですから(1ルーブル=1.5円換算、このままのことをやっていると100日も経たないうちにGDPを使い果たしちゃうことになりますからデフォルト、つまり債務不履行のリスクが非常に高まっているというような状況じゃないでしょうか。」
「そういう情況を中国はハラハラしながら見ているというのがウクライナに侵攻しているロシアの状況とみていいんじゃないでしょうか。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

ロシアによるウクライナ侵攻における番組の要旨を以下にまとめてみました。
・ロシア軍では1日当たり約2.3兆円戦費がかかっているという試算がある
・日本の年間防衛費は約5.4兆円なので、その4割を1日で使っている
・この膨大な経費とかなり厳しい経済制裁を科されており、この先ロシア経済はこの重圧に耐えるのは相当難しいと見込まれる
・ロシアの年間予算(歳入)は約37.5兆円、名目GDPも年間で約200兆円規模なので、このまま戦闘が続くと100日も経たないうちに年間のGDPを使い果たしてしまうことになり、デフォルト、つまり債務不履行のリスクが非常に高まる

これまで世界各地で紛争中の国々が1日にどれほどの戦費をかけているかといったようなことに注目することはありませんでした。
しかし、番組を通して、あらためて経済面から見ても紛争はペイしないものだとつくづく実感しました。

番組では触れていませんでしたが、当然ウクライナ側もロシア軍ほどではないにしてもそれなりの戦費を毎日消費しているわけです。
更に、毎日ウクライナ関連のニュースをテレビで見ていると、ウクライナの都市の多くの建物や施設がロシア軍の攻撃により破壊されています。
こうした破壊された建物や施設の復旧にかかる費用も膨大なものになると思います。
この復旧工事に必要なコストは誰が負担するのでしょうか。
今回のケースではロシア政府が一括負担するような仕組みになるように国連で決めて欲しいものです。

もし、こうした膨大な戦費を世界中の貧困層に分配すれば、どれだけの人たちの暮らしの向上に貢献出来るかを思うととても残念に思います。

勿論、本格的な戦争に至らないまでも、規模の大小に係わらず、人命を落としたり、障害に至ってこれからの人生を送らなければならない人たちのことを考えれば、どんなに小さな紛争と言えどもすべきではありません。
対話や外交を通じての問題解決がなされるべきなのです。

しかし、問題は国の指導者、つまり今回のウクライナ侵攻においてはロシアのプーチン大統領が今のところどんな手段を使ってでも徹底してウクライナをロシアの支配下に置こうとする決意を翻さないことにあります。

ではどのような状況になるとロシアはウクライナから撤退するかですが、以下の5つが考えられます。
・ウクライナの抵抗が激しく、戦闘が長引き、ロシア軍の戦費が底をつくこと
・米欧を中心として金融制裁、あるいは経済制裁が効果をあげ、ロシア国民の不満が高まり、プーチン大統領が戦闘終結の決断をせざるを得なくなること
・国連がその強いリーダーシップにより、世界各国を束ね、あらゆる手段を使ってプーチン大統領の強い決意を翻す
・中国による経済支援、あるいは金融支援が止まり、ロシア軍の戦費が底をつくこと
・世界中の人たちの“反ロシア”の声が高まり、その多くの、そして大きな声にプーチン大統領が屈すること

なお、上記の項目にもある中国のロシアへの経済支援について、3月4日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で取り上げていたのでその一部をご紹介します。

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、アメリカがヨーロッパへの天然ガスの輸出を増やす一方、市場を失いつつあるロシアが狙うのは天然ガスの消費大国、中国です。
パイプラインでロシアから上海まで結ぶプロジェクトが今進められています。
これは完成すれば全長5000kmにも及ぶ巨大パイプライン、その名も“シベリアの力”です。
2019年に行われた開通式では、習近平国家主席とプーチン大統領が揃って出席するほど、両国にとって重要なプロジェクトなのです。
既に北京などへの供給は始まっていて、上海につながる最終区間の工事が急ピッチで進められています。
全ての区間が完成する2025年にはロシアから中国に年間380億立方メートルの天然ガスが送られる計画です。
そして、北京オリンピック開会式が行われた2月4日にはトップ会談により追加契約にも合意しました。
更に供給量を倍増させる“シベリアの力2”の計画が早くも始動、ウクライナ危機で世界中がロシアに経済制裁を科す中、中国はロシア産ガスの購入を増やして行きます。
こうした中、中国の汪文斌報道官は次のようにおっしゃっています。
「我々は一方的などんな制裁にも固く反対する。」
「制裁はこれまで問題を解決する有効な手段ではない。」
「中露は相互尊重と平等の精神で正常な貿易を発展させる。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそもこの汪報道官の発言は、これまでの中国の政策に異を唱えてきた国々への経済制裁(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.688 『オーストラリアへの経済制裁に見る中国の脅威とその対応策!』)を否定しており、“言っていることとやっていること”が全く矛盾に満ちています。

またこの汪報道官の発言では、毎日ウクライナでロシア軍の攻撃にさらされ、多くのウクライナ国民が犠牲になっている状況については一切触れず、飽くまでもロシアの立場を擁護しています。
また、中国が大量の天然ガスをロシアから購入し、その資金がロシア軍の武器購入などの資金になっていることについてどう考えているのでしょうか。
こうした中国の対ロシア政策は他の国々による対ロ経済制裁の効果を半減させているのです。
なぜ、こうした中国の対ロ政策に対して、国連、アメリカ、EU、あるいは日本の政府は非難しないのでしょうか。
また、中国の考える有効な対ロ政策とはどんなものなのか聞いてみたくなります。
なお、仮にロシアの盟友、中国がロシアからの天然ガス購入を止めれば、経済的な打撃、および中国のロシアからの離反行為ということで、プーチン大統領にとっては致命的な打撃になります。
しかし、残念ながらこうした行為を中国が行うことはほとんどあり得ません。
そうした中、“反ロシア”で結束している国々が、更に世界中の多くの国々の人たちがこうした中国の行為を非難する声を大きく上げることは、少なからず中国の対ロ政策に影響を与えると期待出来ます。

いずれにしても世界各国の指導者、国連、あるいは世界中の人たちがこの5つの観点で自ら出来ることを出来る限りを尽くして継続することでロシアによるウクライナ侵攻は終息するのです。

 
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