昨年１１月５日（金）放送の「ワールドビジネスサテライト」（テレビ東京）で無視出来ない税の無駄遣いについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
会計検査院は今日、総額２１０８億７０００万円あまりの税金の無駄遣いがあったとする２０２０年度の決算検査報告を岸田総理に提出しました。
報告では新型コロナ対策で配られた、いわゆる「アベノマスク」の未配布分の保管費用が３月時点で約６億円に上っている他、最大で９次請けまで再委託が繰り返された持続化給付金事業などを問題として指摘しています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
「アベノマスク」についてもう少し詳しく知りたかったのでネット検索したところ、Ｗｉｋｉｐｅｄｉａには以下の記述があります。（こちらを参照）
急激な需要の増大で発生した不織布マスク不足の解消を目的として、安倍政権が約２６０億円をかけて日本の全世帯に２枚ずつ配布した。
全世帯向けのほか介護施設などにも配布され]、世界でもAbenomaskとして広く報道された。
（費用）
政府は2020年6月の時点で、契約額が総額260億円（調達に184億円、配送費として76億円）に達したと発表した。
1枚あたりの単価は公開されていない。
（配布後）
2021年10月に報道された会計検査院の調査によると、政府が調達した布マスク全体の3割近い8300万枚が配りきれないまま倉庫に保管されていることが確認された（この保管分の平均単価は約140円で、総額は115億円相当だった）。
2020年8月から2021年3月にかけての保管費用が、約6億円にのぼることも判明している。
また2021年12月21日、内閣総理大臣岸田文雄は国会答弁において、この保管分の検品を実施した際、約15％となる1100万枚が不良品と判明し、さらにこうした検品費用として、約20億9,200万円の追加支出が発生していることを明らかにした。
そして岸田首相は同日の会見で、すでに高性能マスクが十分に備蓄されるようになっているとして、希望者に配布するなどしたうえで、これらの在庫分を年度内にすべて廃棄する方針を表明した。
この廃棄処分の費用は約6,000万円に上ると報道された。
（反応）
布マスク配布の方針自体には一定の評価の声が聞かれた一方で、後述のとおり広く市販されていた不織布マスクよりもサイズが一回り小さいと受け止める声が出たことや、また配布されたマスクに虫や髪の毛などの異物混入が多数報告されたこと、さらに当初目標とした全戸配布に時間がかかり、配布が終了したころにはすでに市中での一般販売が回復し始めていたことなどから、厳しい批判の声が相次ぐこととなった（肯定・批判など布マスク配布に対して上がった声の例は後述の「評価」節を参照）。
（世論）
マスク配布が決定した際の読売新聞社の世論調査では、この方針を「評価しない」が73%と多数であった。また配布がおおむね完了した6月下旬に行われた朝日新聞社の世論調査では、「役に立たなかった」は81%で、「役に立った」の15%を大きく上回った。
政府の新型コロナ対応を「評価する」と答えた人の中でも、「役に立たなかった」は69%にのぼった。
全戸配布が完了した後に行われた調査では、配布された「アベノマスク」を使用している人は8月の時点でも 3.5% にとどまり、今後も使い続けたいと回答した人は 2% にとどまった。
（検証報告）
（昨年）10月には、危機管理などが専門の弁護士や大学教授、企業経営者らで作る「新型コロナ対応・民間臨時調査会」が国内のコロナ対応を検証する報告書を公開した。この中では「アベノマスク」の全戸配布について、「総理室の一部が突っ走った、あれは失敗だった」とする官邸関係者の証言が紹介され、報告書も「問題の多い施策だった」と指摘されている。
以上、「アベノマスク」関連の内容の一部をご紹介してきました。
また、１月３１日（月）付けネット記事（こちらを参照）では以下のように報じています。
8000万枚以上が在庫となっている布マスク、いわゆる「アベノマスク」について、厚生労働省は、希望者への配布におよそ37万件の申込みがあり、配布希望枚数がおよそ2億8000万枚分にのぼると発表しました。
在庫を超える申込みがあったことから、厚労省は、廃棄や売却などはせず、すべて希望者に配る予定で、今後、枚数などを精査し3月上旬をめどに配送するということです。
こうしてみると、政治家や官僚など国による税の使い方に大きな問題があることが伺えます。
その要点は以下の５つです。
�� 要求収集の欠如
ユーザーである国民の声がきちんと反映されていない
�� 国民への低いサービスレベル（内容、タイミング）
要求収集の欠如から、適切な要件定義がされておらず、業者に委託するマスクの仕様や品質、あるいは納品など、本来の“ユーザーの声”からかけ離れた内容となっている
�� 外部委託管理の欠如（委託先、支払金額）
外部委託業者の選定に際し、業者の製品品質や下請け業者の有無などをきちんと把握していない
�� 保守管理の欠如
「アベノマスク」の手配後の在庫管理が適切に実施されていない
�� ピアレビュー（参照：プロジェクト管理と日常生活 No.9 『ピアレビュー』）の欠如
「アベノマスク」の製造・手配・保守までの一連のプロセスにおける適切なレビューが実施されていない
ということで、ソフトウェア開発における代表的な管理技法であるＣＭＭＩ（参照：プロジェクト管理と日常生活 No.712 『民主主義指数の推移』）の観点からすると、今回の「アベノマスク」の配布に係わる一連の業務をプロジェクトと考えると、最低のレベル１と考えられます。
従って、国はＤＸ（デジタルトランスフォーメーション）を進めるのと並行してＣＭＭＩのような管理技法を取り入れた仕事の進め方を検討するべきと考えます。
もし、こうした考え方を官庁の業務全般に導入すれば、これらにかかっている税金の３割程度は間違いなく削減出来ます。
しかも国民へのサービスレベルも格段に上がると見込まれます。
ということで、現政権には政府、官庁でのＤＸへの取り組みに向けて、その成果を途上国に水平展開するくらいの意気込みで真剣に取り組んでいただきたいと思います。
現状のまま、ＤＸへの取り組みで大した成果が出せなければ、日本はいずれ文字通り経済的に“日本沈没”が待ち構えているのです。
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