2022年01月26日
アイデアよもやま話 No.5175 進化する代替肉!
これまで代替肉についてはアイデアよもやま話 No.4521 広がる代替肉のマーケット!などで何度となくお伝えしてきました。
そうした中、昨年10月18日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で進化する代替肉について取り上げていたのでご紹介します。

最近スーパーの売り場でも少しずつ見かけるようになってきているのが大豆などを原料にした代替肉です。
健康志向や環境意識の高まりから市場が拡大する中、日本のベンチャー企業が焼き肉用に開発された新たな商品を発表しました。

全国に約70店舗を展開する焼肉ライク、一人で焼肉を食べるスタイルが特徴の恵比寿本店(東京・渋谷区)で今、人気を集めているのが「NEXTカルビ」、使われているのは大豆で出来た代替肉です。
焼肉ライクではこの商品を去年(2020年)10月から一部の店舗で販売していましたが、想定以上の反響があったため12月には全店舗に拡大しました。
恵比寿本店の沼田悟店長は次のようにおっしゃっています。
「焼肉ライクとしてのお客様の幅はかなり広がったと思います。」
「今後、ビーガン(完全菜食主義者)など健康志向の方というのは増えていくと思いますので、かなり今後の期待も大きいです。」

外食企業も期待を寄せる焼肉用“代替肉”、昨年10月18日に新たな動きがありました。
代替肉の製造・販売を手掛けるベンター、ネクストミーツ株式会社(設立:2020年6月)が発表したのは「NEXTカルビ」の進化版「NEXTカルビ 2.0」です。
確かに見た目はより本物のカルビに近づいたように見えます。
番組レポーターが試食した感想は以下の通りです。
「食感はカルビ、けっこう歯ごたえがあって、大豆の香りも若干するんですが、かなり本物のカルビに近いと思います。」

食感のヒミツは、タンパク質の含有量を5%ほど増やしたこと、また製造時に与える熱や圧力量も見直し、本物の食感に近づけたといいます。
1枚のサイズも大きくなっていますが、ここにも大きな苦労がありました。
佐々木英之社長は次のようにおっしゃっています。
「途中で崩れたり、折れてしまったりとか、そういうのが多い中で、しっかりと大きさを保って、お肉としてかたちが出来というのが非常に1番苦労したポイントですね。」

進化版の「NEXTカルビ 2.0」は今日(昨年10月18日)、ネクストミーツのオンラインショップで発売、今後はスーパーやレストランでも展開する予定です。
ちなみに価格は1950円です。(80g×5袋・冷凍)。

なお、カルビ以外の新商品の開発も進めています。
佐々木社長は次のようにおっしゃっています。
「例えば食事の中で1つの料理、一部だけこれ(代替肉)に変えてみとか、焼肉屋さんで最後の1皿をプラントベース(代替肉)にしようというところがスタート地点だと思っているので、これから食べる方の機会・接点を増やしていくというのが非常に大事だと思っています。」

こうした代替肉の市場は2030年には780億円と、2020年の346億円から10年で2.2倍に成長すると予測されています。

イトーヨーカドーの横浜別所店(横浜市南区)を覗いてみると、精肉コーナーの一画には代替肉の商品を並べた棚があります。
パックに入ったそぼろ上の大豆ミートは100g当り95円で、牛と豚の合いびき肉(100g当り138円)に比べて40円ほど安く売られています。
このスーパーでは2年前から販売を開始し、現在30種類ほど取り扱っています。
購入した女性のお客は次のようにおっしゃっています。
「月に1、2回ぐらい(買っています)。」
「旦那がちょっと太っているから、「肉も食べたい」と言うので代替肉を混ぜて工夫して出しています。」

「ヘルシーなものをちょっと取り入れようかと思って(買いました)。」
「さっぱりしていて食べやすい。」

新型コロナウイルスで在宅時間が増えたこともあって、自分で調理するタイプの商品を中心に販売は好調だといいます。
松島孝義店長は次のようにおっしゃっています。
「より美味しい商品をメインとして(食卓に)並べるような味、そういったものが出来てくれば、更にお客様の需要は伸びてくると思います。」
「期待しています。」

焼肉用の代替肉を開発したベンチャー企業のネクストミーツは、現在は代替肉の生産を外部の工場に委託しているということですが、更に販売を増やしていくことを目指しており、自社工場の建設も計画しているということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

代替肉について、番組を通してあらためて以下にまとめてみました。

(現状)
・健康志向や環境意識の高まりから代替肉市場が拡大しつつあり、2020年から10年で2.2倍に成長すると予測されている
・代替肉の食感や見た目が本物と比べてそん色のないレベルまで進化している
・代替肉の種類が増加傾向にある

(お客にとってのメリット)
・料理の選択肢が広がる
・本物に比べて割安である
・健康志向や環境意識の高いお客の好みにマッチしている

ということで、代替肉市場は食品メーカーにとって、ニューフロンティアと言えます。
しかも世界的に健康志向や環境意識の高まりは今後とも続くと見込まれるので、世界規模で見ると現在の市場予測以上の売り上げが期待出来そうです。
更に代替肉はSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)の観点からも世界的に好感を持って迎えてくれます。
ですから、代替肉は今後とも低価格化、食感の進化、そして種類の増加が見込まれ、従ってメーカーにとっても消費者にとってもなくてはならない存在になると思われます。
ですので、いち早く本格的に代替肉の製造・販売に取り組んでいるネクストミーツは代替肉業界の成長株として株式市場でも一定の期待感を持って迎えられると思います。

なお、ネクストミーツは2017年から代替肉の研究をはじめ、プロダクト完成の2020年に法人化したといいます。
既にアメリカ進出を果たし、実質的にアメリカで株式公開企業となっています。(こちらを参照)

こうした状況において、代替肉に限らず、SDGsの観点からこれまでの商品を見直して新商品開発に取り組むベンチャー企業にとっては国内外を問わず追い風が吹いていると言えます。

 
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