2022年01月19日
アイデアよもやま話 No.5169 米粒2つ分の重さでもエネルギー密度は従来の4倍のマイクロバッテリー!
前々回、前回と2回にわたって今開発中の先進的なバッテリーについてお伝えしてきました。
そうした中、昨年9月24日(金)付けネット記事(こちらを参照)で米粒2つ分の重さでもエネルギー密度は従来の4倍のマイクロバッテリーについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・米粒2つ分の重さでありながら、大きく重いバッテリーと同等のエネルギー密度を持ち、保護パッケージ不要のマイクロバッテリーを製造する方法が開発された。
・この研究はペンシルベニア大学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、米Xerion Advanced Battery Corpによるもので、2021年7月19日付で『Advanced Materials』に掲載された。
・無線対応の電子機器はますます小さくなり、より多くの場所で使用されるようになってきている。それに伴って、バッテリーはより少ないスペースでより多くの電力を蓄えられることが求められている。また、ウェアラブルデバイスやロボットといった形でモバイル化も進んでいるため、バッテリーを日常生活での衝撃に耐えられるものにする一方で軽量化もする必要がある。しかし、バッテリーを小さくするにつれて、エネルギー密度を向上させることは指数関数的に難しくなる。困難である理由の1つに、バッテリーに必要な実装面積のうち、より多くの部分を保護用パッケージに割かなければならないことが挙げられる。
・そこで、今回の研究では、最小サイズでもエネルギー密度を最大限に高めるマイクロバッテリーの新しい製造およびパッケージ方法を提示した。重要な開発ポイントは、新しい種類の集電体とカソードだ。これらはエネルギーを貯蔵する材料の割合を増やし、同時に保護シェルとしての役割も果たす。
・特に集電体は、電子伝導体としてだけでなく、バッテリー内へ水や酸素が侵入しないように防ぐ非導電性の保護パッケージとしての役割もあり、1つで2つの役割を果たす。これにより、通常はバッテリー内部の繊細な化学物質を保護するために使われている非導電性パッケージの必要性が減るので、スペース効率が従来より上がり、同様の大きさで、現在の最新のマイクロバッテリーと比較して4倍のエネルギー密度が得られた。
・新しいパッケージと組み合わせることで、マイクロバッテリーは米粒2つ分の重さでありながら、大きさが100倍のバッテリーに匹敵するエネルギーと電力密度を持つようになる。
・このマイクロバッテリー設計は、空を飛ぶマイクロロボットの小型化や、埋め込み型医療機器の耐用年数を伸ばすことに寄与し、さらにはモノのインターネット(IoT)にとってこれまでは不可能だったさまざまなデバイスへの道を開くものだ。研究チームは今後、性能をさらに向上させるために調整可能な化学的および物理的特徴の研究を続けるとともに、この新しい電源を利用したウェアラブルデバイスやマイクロロボットを作っていく予定だ。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

これまで何度となくお伝えしてきたように、EVの製造コストの半分程度はバッテリーなのでその分販売価格が高くなり、重量も重いことからその分航続距離を短くしていると言われてきました。
そうした中、今回ご紹介したマイクロバッテリーは米粒2つ分の重さでありながら、大きさが100倍のバッテリーに匹敵するエネルギーと電力密度を持つようになるというのですから、これが実用化されれば上記の問題は解決されると大いに期待出来ます。

そして、このマイクロバッテリー設計はEV以外にも以下のようなメリットをもたらすというのです。
・空を飛ぶマイクロロボットの小型化
・埋め込み型医療機器の耐用年数を伸ばせること
・モノのインターネット化(IoT)にとってこれまでは不可能だったさまざまなデバイスへの道を開くこと

なお、現在主流のリチウムイオンバッテリーの次世代バッテリーとして、現在、全個体電池に注目が集まっています。
ところが、今回ご紹介したマイクロバッテリーは全個体電池よりも更に格段に優れたバッテリーになり得る可能性を秘めています。

さて、前々回は6分で充電出来る次世代リチウムイオンバッテリー、前回はナトリウムイオンバッテリー、そして今回はマイクロバッテリーについてご紹介してきました。
他にも全個体電池が次世代バッテリーとして有力視されております。
ということで、現在のバッテリー業界は“群雄割拠”、あるいは“百課争乱”状態にあると言えます。
またバッテリーを制する者がEVを制するとも言われております。

こうした次世代バッテリーの特徴を以下の4つに整理してみました。
・現行リチウムイオンバッテリーの進化版
・現行リチウムイオンバッテリーの固体化
・レアメタルであるリチウムに依存しないベースメタル(大量の生産量)を原料としたバッテリー
・バッテリーの構造そのものを見直した進化版(小型化、あるいは簡素化)

こうしたそれぞれの特徴を生かした技術を組み合わせることにより格段のバッテリーの低価格化、および環境への負荷の低減が図られると期待出来ます。

ということで今後のバッテリー技術の行方如何で、EVやドローンなどの移動体や家電製品など様々な機器に、更には発電量が不安定な太陽光など自然エネルギー発電の余剰電力を蓄えるバッテリーに新たな革命が起きるかもしれないのです。
まさに“乞うご期待”です。

 
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