2022年01月14日
アイデアよもやま話 No.5165 SDGs先進国、フィンランドから学ぶべきこと!
昨年9月30日(木)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)でSDGs先進国、フィンランドについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

フィンランドの環境・気候変動大臣、クリスタ・ミッコネンさんは次のようにおっしゃっています。
「私のSDGsは生物多様性です。」
「人間は自然を守らなければなりません。」
「人間も自然の一員であり、自然が人間を守ってくれるのですから。」

実はフィンランドは最新の調査でSDGs 達成度ランキングで世界1位になりました。(こちらを参照)
フィンランドでは今、CO2排出量を減らすために様々な取り組みをしています。

首都ヘルシンキ市内を取材すると、目に付いたのは自転車で通勤・通学する人の多さでした。
市民のある女性は次のようにおっしゃっています。
「環境を考えてね、家族はみんな自転車で移動しているの。」
「うちにはクルマはあるけれど、使ってないのよ。」
「クルマは手放すつもりでいるわ。」

自転車に乗る市民が使っているのが専用アプリです。
移動ルートを検索すると、「地球に優しい順」という表示が出てきます。
アプリに目的地を入力すると、例えば「自家用車よりも徒歩や公共交通機関を利用してね」ですとか、「シェアサイクルや電動キックボードのレンタルステーションがここにありますよ」など、CO2の排出量がより少ない移動手段、そしてルートを教えてくれるんです。
ミッコネン大臣は次のようにおっしゃっています。
「(市民の意識の高さについて、)理由の一つはフィンランドが長年SDGs教育に力を入れてきたからだと思います。」
「幼稚園から職場まであらゆる現場でSDGsを話題にしています。」
「全員が関与しているということが重要だと思います。」
「(CO2削減のために食生活にも変化があったということですが、)食べ物や食事で気候変動への影響が出ないようにするには、肉よりも野菜を食べる必要があります。」
「これは政府も国民に推奨しています。」
「(肉よりも野菜を食べる理由は、肉は野菜よりも製造時のCO2が多くなるからだというが、肉が大好きな人はどうしたらいいかという問いに対して、)お肉を“日曜日のごちそう”と考えてみてはいかがでしょうか。」
「毎日食べるのではなく、お祝いの時のごちそうとか、たまに食べるご褒美だとか、それもありだと思いますよ。」

更に、食事を提供するレストランでは、ごみ箱が無いんです。
なぜならば、骨や卵の殻など、どうしても出てしまう生ごみはコンポストに入れて堆肥にしているからなのです。
堆肥は農家に提供し、その農家から野菜を仕入れるという“食の循環”を実現していたのです。

そして、フィンランドが凄いのは、環境や食に対する国民一人ひとりの意識の高さだけではありません。
SDGsの目標17のうち、特に「全ての人に健康と福祉を」、「質の教育をみんなに」、「ジェンダー平等を実現しよう」、この精神を国が推し進め、フィンランドは世界幸福度ランキングで4年連続1位となっているのです。(こちらを参照)
ミッコネン大臣は次のようにおっしゃっています。
「(SDGs 達成度1位、そして世界幸福度も1位を達成しているが、この2つは連動していると思うかという問いに対して、)フィンランドは幸せに安全かつ健康に暮らせる社会を構築しました。」
「ですから(幸福度は)SDGsとは密接に関連していると思います。」
「国民は互いを信頼し、政府や警察や隣人を信頼しています。」
「そうした要素がフィンランドを世界一幸せな国にしているのだと思います。」

ミッコネン大臣によると、子どもたちにより良い未来を残すためにはSDGsの教育が大事なんだとおっしゃっています。
そのうえで、例えば日常の会話でSDGsについて話し合う、そのうえで一人ひとりがSDGsに関与しているという意識を持つことが大事なんだと強調されていました。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

まずフィンランドのCO2排出量を減らすための取り組みについて以下にまとめてみました。
・長年にわたるSDGs教育による市民の意識の高さ
・自転車での通勤・通学の普及
・専用アプリによるCO2の排出量がより少ない移動手段、およびルートのガイド
・気候変動への影響が出ないような食べ物や食事の奨励
・食事を提供するレストランでは骨や卵の殻などのごみはコンポストに入れて堆肥にして農家に提供し、その農家から野菜を仕入れるという“食の循環”を実現

なお、SDGsと言えば、“CO2排出量の削減”、”脱炭素化”に注目が集まっていますが、No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』でもお伝えしたように、SDGsは経済、社会、環境の3つの側面のバランスのとれた、持続可能な開発を目指しています。
ですから、SDGs全般に真摯に取り組んでいるフィンランドがSDGs達成度ランキング1位、更に世界幸福度ランキングも1位を達成しているのは不思議ではないのです。

ちなみに、日本はSDGs達成度ランキング18位、世界幸福度ランキングは56位ですから決して誇るべき順位ではありません。
特に世界幸福度ランキングが56位というのは国民にとってとても由々しき問題です。
岸田政権は“成長と分配”を政策方針の目玉として掲げておられますが、SDGs達成度、および世界幸福度という国際的な指標を参考に日本は何を課題とすべきかを見極め、その具体的な課題解決策を政策目標として掲げ、両方のランキングで世界1位を目指していただきたいと思います。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています