2022年01月02日
No.5154 ちょっと一休み その806 『日米中の名目GDP比較に見る日本の経済力の長期足踏み』
昨年9月14日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本の経済力の長期足踏みについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

任天堂が家庭用のゲーム機「スーパーファミコン」を発売、イラクがクウェートに侵攻したのも1990年です。
ただ、1990年はバブルの崩壊が始まった年でもあります。
以降、株価はつるべ落としのように下落、金融機関の廃業や破綻も相次ぎ、日本経済は“失われた20年”とも呼ばれる厳しい時代に突入していくことになります。

31年ぶりの高値、現在の相場の主役は代わってきているといいます。
当時を知る証券マン、岩井証券の森川武さんは次のようにおっしゃっています。
「外国人(投資家)の動向が一番重要になってきているとは思うんで、当時と比べると外国人に対するウエイト、考え方は全然違うとは思いますね。」

バブル時代にはほとんど影響力を持たなかった海外投資家、今や日本株の売買の7割ほどを占めていて、相場を動かす大きな存在となっています。
そして、日経平均株価は昨年9月14日に3万670円ということで31年ぶりの高値を付けました。
最高値だった1989年12且29日の3万8915円に比べると8割ほど戻ってきています。(こちらを参照)
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「当時と今との違いというお題なんですけども、一言で言えばグローバル経済の中でも日本のウエイトが縮んじゃったことだと思うんです。」
「(日米中の名目GDPのグラフ(こちらを参照)を見ると、中国の伸びはかなり著しく、アメリカも先進国にしては伸びしろがあり、この20年ほどで倍ぐらいに伸びている、一方で日本は足踏み状態だが、)ドルベースでは5兆ドル経済、足踏みなんですけど、一つ注目したのは、にもかかわらず日本企業の利益、儲けの水準はバブル期を上回っているんですよね。」
「何でなのかというと、海外で稼ぐようになったということが大きいと思うんです。」
「国内で足踏みしているうちで海外で稼げる企業はどこにあるのかということが見極めのポイントじゃないでしょうかね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組の要点を以下にまとめてみました。
・日経平均株価は昨年9月14日に31年ぶりの高値を付け、最高値だった1989年12且29日の3万8915円に比べると8割ほど戻ってきている
・日米中の名目GDPのグラフから日本の経済力の長期足踏み、“失われた20年”が読み取れる
・日本の株価は日本株の売買の約7割を占める海外投資家の動向に大きく左右されている
・経済のグローバル化により日本企業の利益の水準はバブル期を上回っている
・しかし、グローバル経済の中で日本のウエイトが縮みつつある

こうして見てくると、中国の急激な経済成長はともかく、日本と同じ先進国であるアメリカの伸びは明らかに日本に比べて大きいことに注目すべきです。
そして、この日米の相違の要因として以下のことが考えられます。
・デジタル化の普及
・企業の活動し易い環境
・ベンチャー企業の活躍

さて、岸田政権は成長と分配を経済政策の方針として掲げていますが、この方針自体は支持出来ます。
しかし、重要なのは具体的な施策の有効性です。
勿論、こうした施策のベースとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り込んでいただきたいと思います。

ということで、岸田政権には経済成長率をせめて3%程度まで引き上げて、分配についても多くの国民が納得出来るような方法でお願いしたいと思います。

 
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