2021年12月31日
アイデアよもやま話 No.5153 正確さより負の感情あおる発信源不明の「サイト」!
12月16日(木)付けネット記事で正確さより負の感情をあおる発信源不明の「サイト」 について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

(負の感情あおる発信源不明の「サイト」)
・耳目を集める事件が起きるたびに、こんな話がネット上にばらまかれ、拡散する。
  <動機判明!殺された女性は不倫していた>
 <実は騒音トラブルを起こし、恨まれていた>
・発信源は、運営者の名前も明かしていない多数の「情報サイト」。被害者への 誹謗中傷につながる内容も少なくないが、大半は単なるうわさか作り話だという。
・「いかに閲覧数を稼ぐかが勝負。本当かどうかはどうでもいい」。あるサイトを運営する20代の男性が、読売新聞の取材に明かした。
・こうしたサイトにも様々な広告が表示されている。
・ネット広告は、閲覧数が伸びれば伸びるほど企業側から運営者に支払われる金額が増える仕組みだ。

(アテンション・エコノミー)
・ネット空間で爆発的に増える情報量に対し、人が何かに注目できる時間は限られており、「関心」が希少価値を持つという概念だ。
・この経済圏では、関心が集まるところに広告費が流れ込むため、その獲得競争が激化する。正確さは置き去りにされ、負の感情をあおるような情報が量産される。
・米国の調査機関の分析では、偽情報などの発信者側に流れている広告費は、世界で年間26億ドル(約2900億円)に上ると推計される。

(偽情報対策)
・デマ発信が収益になっている構造にメスを入れる必要がある――。欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会が今年5月に公表した偽情報対策の指針では、そんな課題が改めて示された。
・広告業界も動き出した。数年前から海賊版など違法サイトへの広告遮断を求められ、問題意識は高まっていた。
・ネット上では広告主の企業側が表示先を把握するのが難しい。表示候補となるサイトは数万に上り、ネット利用者の検索履歴などに基づき、自動的にマッチングされる複雑な仕組みになっているためだ。このため大手広告会社を中心に、表示先を信用性が高いサイトに限定したり、あらかじめ不適切なサイトを候補から外す「排除リスト」を導入したりしている。
・今年3月には業界団体による「デジタル広告品質認証機構」(JICDAQ)が設立された。リスト導入などの対策を講じている広告会社を認証し、こうした会社と取引してもらうのが狙いだ。
・だが、認証を受けているのは大手など一部にとどまる。他の同業者が措置を講じなければ抜け穴は残り続ける。
・広告主の意識転換も求められることになる。「クリックされて商品が売れるなら、どんなサイトに表示されても全く構わないという企業も少なくない」。ある大手広告会社の担当者は実態を打ち明ける。
・偽情報の金脈を断てるかは、業界全体で排除の意識を共有できるかどうかにかかっている。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

確かに最近、特にスマホに表示されるネット記事の中には明らかに偽情報と思われる刺激的なタイトルの記事が多く見受けられます。
そして、その多くは実際に見てみると“見掛け倒し”で大した内容ではないのです。
要するに、投稿者はいかに注目を集めるかに知恵を絞っているわけです。
そして、こうした背景には当記事でも指摘しているように、投稿記事の閲覧回数が増えるほど、そこに広告主が広告費を払い、サイト運営業者、投稿者の収入がともに増えるからということなのです。
しかし一方で、いかがわしい記事のページに一流企業の広告が掲載されている場合には広告料を払っているのに返ってイメージダウンなのではと他人事ながら心配になります。

そもそもこれまでもこうした基本的な構図は新聞記事やテレビ番組、あるいは雑誌なども同じような構図でした。
こうしたビジネスは一定数以上の発行部数や視聴率が取れてこそ成り立っているからです。
しかし、ネット上のサイトとこれらのマスコミとでは明らかな違いがあります。
マスコミは一般的に記事の出どころが明らかですが、ネット上の投稿者は匿名でもOKですし、発信源不明のサイトからでも記事を発信出来てしまうのです。
更にネット上の情報量はどんどん天文学的に増え続けていくので明らかなデマと思われる情報でも人が判断してこうした記事を完全に削除することはほとんど不可能です。

そこでこうした有害記事を非公開にする対策として考えられるのがAIの活用です。
しかし、AIと言えどもそのアルゴリズムを考えるのは人ですから、完璧にデマや偽情報を識別することは不可能だと考えるべきです。
それでも個々のサイト運営業者には完ぺきではないながらも明らかにデマや偽情報と思われるものについては非公開にしたりすることが求められます。

では私たちは個人レベルでデマや間違った情報に惑わされないためにどのようにネット上の情報に向き合うべきでしょうか。
それは、一つの事象に対して、複数の情報源を閲覧してどの情報が真実により近いかを判断することだと思います。

それにしても何らかの情報をネット上に掲載する判断基準が真偽よりもより多くの閲覧回数であるという現実はネット社会の副作用で、何とかこの副作用を治す“薬”を早く見つけて欲しいと願います。

なお、一方でSNSの世界では、ユーチューブにおいてはユーチューバーと呼ばれるような人たちから億万長者が現れています。(参照:No.3804 ちょっと一休み その611 『急成長する“ユーチューバー”ビジネス!』
またネット通販はコロナ禍において、3密(密閉・密集・密接)を回避するうえでもとても役立っております。

ということで、ネット社会にはいろいろな弊害があるものの、ネット社会以前では不可能だったビジネスがどんどん生まれてきて、いろいろな面で人々の暮らしを便利にし、経済のニューフロンティアとしてまだまだ発展の余地があります。
ですから、ネット社会はいろいろな副作用を抱えながらもトータルとしては今後も発展し続けると思われます。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています