2021年12月20日
アイデアよもやま話 No.5143 空気中からCO2を回収する簡易装置!?
8月22日(日)放送の「サンデー・ジャポン」(TBSテレビ)で空気中からCO2を回収する簡易装置について取り上げていたのでご紹介します。 

天才化学者、村木風海さん(21歳)のラボ(*)は東京・お台場のオフィスビルの一室です。

CRRA(シーラ:一般社団法人炭素回収技術研究機構)のラボ
CRRAは地球温暖化を止める方法から人類の火星移住の実現まで一貫して研究を行う独立系研究機関です。
化学者・発明家である村木風海さんが機構長として創設いたしました。
世界最先端の気候工学・CO2直接空気回収分野に取り組む他、空気から石油の代替燃料を製造する研究、そして有人火星探査の研究を推し進めています。(CRRAの公式ページより)

ここには村木さんの一番の発明である、ボタン一つでCO2を誰でも簡単に集められる「ひやっしー」という装置が置かれています。
この簡易型キャリーバッグこそ、“地球を救うアイテム”なのです。
その仕組みについて、村木さんは次のようにおっしゃっています。
「ここ(「ひやっしー」の上部)のチューブから空気を吸い込んで、中にCO2回収カートリッジが入っているんですね。」
「これ、僕が発明したもので、その中に特殊なフィルターみたいなものが入っていて、アルカリ性水溶液で湿っているんです。」
「で、アルカリの薬品はCO2を吸い込む性質があるので、吸収してきれいになった空気をもう一回外に出すみたいな仕組みです。」

この「ひやっしー」を全世帯に1台置くだけでCO2を3割削減することが出来るのです。
世界の全ての交通機関を止めても2割なので、これを上回る量です。
村木さんは次のようにおっしゃっています。
「今までCO2を集めてくれるマシンて、巨大な工場みたいなのしかなくて、それだと一部の科学者しか関わらないので、それで加湿器や空気清浄機みたいな身近さで置ける、誰もが親しんで、温暖化に対する意識を変えちゃうような装置が必要だって思って開発しました。」

既に一般販売を開始していて、企業のオフィスや病院の受付などに導入されています。
ちなみに、工場で月間120台が生産され、商品名「ひやっしー3」、価格は月額4万6200円(税込み ※企業プラン)です。

村木さんが「ひやっしー」を開発したのは17歳、高校2年生の時でした・
2000年に山梨県で生まれた村木さんが育ったのはごく普通の家庭だというのですが、なぜこのような研究をしようと思ったのでしょうか。
村木さんは次のようにおっしゃっています。
「僕の祖父からある1冊の本をプレゼントされたんですね。」
「子ども向けの宇宙冒険小説の「宇宙への秘密の鍵」っていうシリーズで、写真が載っていて、火星の広大な赤い砂漠に青い夕日が沈んでいくという写真で、すごくそれが不思議でしょうがなくて、それからとりつかれたように火星のことを考え始めたのです。」

“どうやったら火星に住めるのか”知りたい一心で研究を始めた村木さん、その後、火星の大気の95%がCO2と知り、CO2の研究に没頭するようになったといいます。
村木さんは次のようにおっしゃっています。
「CO2が好きすぎて11年研究してきたので、僕にはCO2が可愛く見えて仕方ないんですよ。」

そんな村木さんの“地球を守るプロジェクト”はこれだけではなく、他にもあります。
「空から作ったガソリンっていうことで、今、「そらりん計画」っていうのを進めています。」
「僕の「ひやっしー」はボタン一つで空気中からCO2を吸える装置なんですけど、集めたCO2からガソリンの代わりになる燃料をそのまま作っちゃうという計画です。」
「もうほぼ出来ていて、9月に初めて20リットルくらいの燃料が出来るんですよ。」
「それでクルマも電車も飛行機もロケットも何でも動かせるようになります。」
「なので電気自動車とか水素自動車とか普及するのに時間がかかると思うんですけど、それじゃあ間に合わないので、だけどみんな給油するガソリンの種類に代えるだけで今すぐ(CO2排出量を)ゼロに出来ちゃうので。」

更に村木さんには他にも目標があるといいます。
それは2045年までに火星人になることです。
「僕はやっぱり火星が大好きで研究を始めたので、人類で一番初めて火星に行った、いわゆる火星人になりたいなって思っているんです。」
「今、ロケットの技術自体はほぼ行けるんですけど、遠すぎて片道9ヵ月くらいかかるので、燃料が片道分しかもたないんですよ。」
「なんですけど、実はCO2の空気に火星は覆われていて、そのCO2から帰りの分のロケットの燃料を作れるので、帰ってこれるっていう技術を作っているんです。」
「しかも石油が現地(火星)で作れれば、身の回りのもの全部が作れちゃうので、石油製品は何でも。」
「(宇宙関連の研究はものすごくお金がかかるのではないかという指摘に対して、)そうなんですよ。」
「僕の研究機関は独立系の研究所で本当に国や大学に依存しないので、すごく資金難でクラウドファンディングもやっているので是非よろしくお願いします。」

なお、番組の最後に村木さんは自著について次のようにおっしゃっています。
「9月24日に光文社から僕が初めて書いた「火星に住むつもりです」という本が発売になります。」
「イラストたっぷりで小学生から大人まで楽しめる本なので、是非読んでいただければ嬉しいです。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

天才化学者、村木さんが発明した、空気中のCO2を吸収する簡易的な装置「ひやっしー」だけでも素晴らしいと思います。
しかも、既に商品名「ひやっしー3」、価格は月額4万6200円(税込み ※企業プラン)で市販化されているのです。
ですから、大量生産で販売価格が1万円程度まで低価格化が実現出来れば、全世帯に1台置くだけでCO2を3割削減することが出来るというのです。

しかし、CO2を吸収するだけでは、そのCO2をどのように処分するかが問題です。
その解決策の一つがCCSです。(参照:アイデアよもやま話 No.1334 CO2を地中に閉じ込める技術CCSに注目!)
しかし、もっと優れているのは吸収したCO2の有効活用です。
そして村木さんは、集めたCO2からガソリンの代替燃料を作る技術の発明によってこの課題を解決してしまったのです。
まさに人類にとって悪玉菌扱いされているCO2を善玉菌に変えられるようにしてしまったのです。
ガソリンの代わりになる燃料が出来るのであれば、ガソリンスタンドも従来通り営業を続けることが出来るし、ほとんどこれまで通りの暮らしが出来るのです。
しかも、この技術もほとんど実用化の目途が立っているのです。

一方、“脱炭素”対策として、国も企業も太陽光などの再生可能エネルギーによる発電、あるいはガソリン車のEV化を推し進めつつあります。
そして、太陽光や風力のような再生可能エネルギーによる発電は天候次第で発電量が不安定なので、余剰電力を蓄えておくバッテリーがセットで必要になります。
またEVも今のところガソリン車に比べて高価格なので普及のネックとなっています。

ということで、国も企業も、村木さんの発明した空気中のCO2を吸収する「ひやっしー」、およびCO2からガソリンの代替燃料を作る装置の実用化による“脱炭素”社会の実現に向けた新たな対策として検討すべきだと思うのです。

しかし、村木さんの発明はこれだけではありません。
火星の大気の95%がCO2ということから、火星でもガソリンの代替燃料が作れるので、火星から地球への帰還も出来るようになるというのです。
そればかりでなく、火星への移住もこの発明によってハードルがとても低くなるのです。

ということで、村木さんの一連の発明は人類史上でも飛び切りの発明となる可能性を秘めているのです。

 
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