2021年12月11日
プロジェクト管理と日常生活 No.722 『衆議院選挙中に見えてきた国家安全保障上の3つのリスク』
11月9日(火)放送の「LIVEプライムニュース」(BSフジ)で衆議院選挙中に見えてきた国家安全保障上のリスクについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今日夕方、北朝鮮の発射したSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と見られるミサイルについて新たな情報が入りました。
このSLBMに関して防衛省が発表した内容は以下の通りです。
・2019年5月などに発射された短距離弾道ミサイルをベースに開発
・操舵翼と見られるもので、変則的な軌道での飛翔が可能

このSLBMについて、元防衛大臣の小野寺五典自民党安全保障調査会長は次のようにおっしゃっています。
「まず10月19日、衆議院選挙告示の日に発射されたもので、北朝鮮の東岸から、海の中から潜水艦から発射されたSLBMであります。」
「で、これ当初約50kmの高さまで上がって600km飛んだということで分析していたんですが、飛び方をかなり分析した中で分かったことは、初めに発射して飛んだ。」
「一度は降りてきたんですが、もう一度上昇して落ちたということですから、変則軌道を取って打ったということ。」
「従前から陸上から打つイスカンデル(戦域レベルの紛争用に設計された戦術ミサイルシステム)のような発射なんですね。」
「そういう変わった打ち方をするという変則軌道のミサイルというのは確認されましたが、潜水艦から発射されたというのは、実は今日防衛省に確認したんですが、今までアメリカもロシアも中国もこのような打ち方をしたということの報告はないと。」
「もしこれが北朝鮮が独自の技術でこのようなことを開発したということになると、何が脅威かといいますと、今までは変則軌道というのは野球で言えば変化球ですから、そんなに速くないし、遠くまで飛ばない。」
「ですから北朝鮮本土から日本本土までどのくらい届くのかなというような思いで見てたんですが、潜水艦ということは日本の領土に近づいてきて、そこから打てるということになります。」
「ということは、もしこれが実戦配備されれば、日本の全てのところは撃ち落としにくい弾道ミサイルの的になってしまう。」
「で、更に北朝鮮は、今回の潜水艦というのは実は実験用の潜水艦で弾道ミサイル1発しか積めないんですが、同時にこの間公開された、今年春に今建造がほぼ出来つつある大きな潜水艦には3発積めると言われています。」
「ですから、これが実戦配備されると日本としてもミサイル防衛がしにくい、やりにくい、しかもそれが潜水艦からということになると、これにもし核弾頭が積まれれば更に私たちは脅威になりますし、何よりも今までアメリカやロシア、中国もやってこなかったことを北朝鮮が独自にやってきたということは、この技術は決してあなどれないと思うべきだと思います。」
「(このミサイルについては当初、日本側では2発発射されたという情報があったが、それについては、今日の発表では1発だったということだが、複雑な軌道を飛ぶミサイルだとそういったことの情報を取ることが難しくなってくるのかという問いに対して、)地球は丸いですから、例えば弾道ミサイルは高く上がるので「ああ、見えてるな」と思って迎撃し易いんですが、低い弾道で変化されると、地球は丸いものですからより発見しにくい。」
「そういう意味では非常に脅威になるので、例えば今、防衛のいろんな技術の中ではコンストレーション衛星という低い高度の衛星を沢山上げてこういう打ち方、低い高度でも確認出来るようにしたらどうかとか、あるいは無人の24時間飛ぶような監視機を飛ばしておいて、低い高度で来たものもしっかり把握しなければいけないとか、まず始めに探知能力をかなり上げておかないとこのような脅威には対応出来ない。」
「私は、着々と北朝鮮はこの技術を向上させていると、あなどれない国だと思います。」
「今回の軌道を分析した結果を聴きますと、完全に成功したわけではないだろうと。」
「ですから恐らく成功に導くためには、まだこの実験は何回か行われるということですから、より警戒鑑賞しながら本当にどのような能力を持つかというのはしっかり分析すべきだと思います。」

また国家基本問題研究所の理事長、櫻井よしこさんは次のようにおっしゃっています。
「非常に脅威に日本に対して思いますけども、今私感じていることは、これちょうど国会の衆議院選挙のさ中に起きたことですよね。」
「で、(衆院選公示日の前日からという)選挙のさ中に実際、(10月18日から23日にかけて)中国とロシアの軍艦が5隻ずつ10隻が日本列島をほぼ周回したということもありますよね。」
「普通なら、これ国家の安全保障上の一大危機ですから政治家の皆さんはじめ、それからメディアもはじめ、非常に強いショックを受けて何とかしなきゃいけないという一つの争点になると思うんですね。」
「例えば、岸田さんなんかも一生懸命やっていましたけども、日本の安全保障について私たちが今何をしなければいけないのかというのは広い意味で大変外国からも注目されていますよね。」
「にもかかわらず、この総選挙の時にこのことが全く争点になっていないということは、私、日本の国防意識といいますか、国家全体が“平和ボケ”というんですかね、日本の周辺に迫り来ている危機についてあまりにも鈍感じゃないかということを今ちょっと小野寺さんのお話を聴きながら感じていました。」

このことについて、小野寺さんは次のようにおっしゃっています。
「(解散していたら、総選挙の間に一連の出来事が起こっているわけで、議員ではなくなっている時期にこういうことが起きるということはすぐに対応出来ないのではないか、民主主義のある意味でリスク的な側面が浮き彫りになったような気がするが、)私なんか非常に悔しい思いをしました。」
「普通であれば国会で、あるいは党として安全保障調査会長としてこの問題についてどう対応するか、中国やロシアに対してどう強いメッセージを出さなきゃいけないかということをしっかり言える立場だったはずなんですが、この瞬間は実は解散しておりまして、私どもは国会議員じゃないです。」
「ですから一介の一国民として非常に悔しい思いをしながら、でもこの空白って本当に安全保障で大丈夫なのか、私はむしろ今回の北朝鮮の弾道ミサイル実験は選挙の告示よりスタートの日です。」
「そしてぐるっと一周しているのは、選挙のさ中にロシア、中国の船がぐるっと回っている。」
「言葉は悪いですが、こちらが選挙をやって中々専念出来ない、その間隙を縫って、ちょっと火事場泥棒的なやり方でわざわざこういう威嚇行為を取っているとすれば、私は非常に悔しいなと。」
「こういう面は今後、例えば憲法の議論をする時に緊急事態条項を含めて、今回は訓練・威嚇だったからよかったんですが、これがもし本当に何らかの武力攻撃に至る状況の場合に本当に国会として機能しなくていいのか、内閣だけで動いていいのか、そういういろんなことが今回、一つの事例で浮き彫りになったと思います。」

「私は全国街頭演説をさせていただく時にはこの問題を取り上げて、今だからこそしっかりしなきゃいけない、自民党、公明党と含めて与党がしっかりしなきゃいけないということを何度も話をして多くの皆さんはその気持ちを思っていただいたと思うので、これはこれから私たちが本格的に政策を作っていく中で大きな事例だったと思います。」

なお、衆院選公示日の前日から中国とロシアの軍艦が連携して日本列島をほぼ周回したことについて、櫻井さんは次のようにおっしゃっています。
「これを最初に見た時、私すぐに浮かんできたイメージというのは、中国とロシアが同盟とは言わないまでも連携してアメリカに対峙する時、もしくは日本に対峙する時、これ恐ろしい事態になるなと思ったんですね。」
「今、中国とロシアはかつてないほどに関係を近づけていますよね。」
「その中で両方ともに核大国、ロシアは核大国ですし、中国は核大国になりつつあるわけですね。」(中国の核弾頭数は現状で200発台前半だが、中国は2030年には少なくとも1000発になする意向を持っている)
「そして力による現状変更ということを是としているとしか思えない国々ですよね。」
「その2つの国が連携して日本をほぼ一周したことの持つ意味の深さ、恐ろしさというものを私はすごく感じましたね。」
「それから、専門家の中には中国の5隻の中に「101」という新型の艦艇なんですけども、そこになんと中国版のトマホークが積まれていたんですね。」
「勿論、中国は今までトマホークに似たものを持っていたんですけども、もっと距離が短かったんですが、今回のはかなり距離が長くて2000kmくらいあるということで、これは新しい現象なんですよ。」
「このような最新鋭の艦艇を出して、最新鋭のものを積んで、しかも「101」に積めるミサイルの数はアメリカや日本のものはだいたい90何発しか積めないものを3桁の数を積めるんだそうです。」
「こういったものを、こちら側に無いものを向こう側が作って、それを堂々と5隻の中に入れ込んで艦隊を組んで日本を本当にほぼ1周しているわけですね。」
「いかにも日本に力を見せつけているわけですよね。」
「小野寺さんがさっきおっしゃったように、日本の総選挙で国会議員が議員でなくなるというところまで彼らは恐らく見ていますよね。」
「だから日本は今政治的に非常に動きにくいという、そのチャンスを狙ってやってきたわけです。」
「しかも彼らは津軽海峡を通って10月17日に来ましたけども、その前の14日から17日までウラジオストック沖の日本海ですごい演習をしているんですね。」
「これは本当にすごい演習なんですよ。」
「だから、そういうことを考えると、私たちは軍事のことをもっと考えないといけないなと思いますね。」

「ちょっと小野寺さん、心配していることがあって、中国とロシアが同盟とはいかないまでも今、中国とロシアの関係ってかつてないほど良いですよね。」
「で、いろんな専門家が事実上の同盟なんだっていうくらい、今、中露が接近しているわけですね。」
「すると中国とロシアという2つの核大国がアメリカに対峙するかたちになりますね。」
「その時にアメリカはやっぱり2つの国を同時には相手に出来ない。」
「今までのアメリカの戦略は中国かロシアか、一つを対手にするということだったと思いますけど、下手をするとこの2つの国を同時に相手にしなければいけないケースが生まれてくるやもしれない。」
「例えば、台湾を中国が侵攻して、クリミアみたいなところをもう1回ロシアが侵攻してというようなことが同時に起きた場合、どうするのかって。」
「ヨーロッパも一人では出来ないし、やっぱりアメリカ頼りなところがあるわけですが、アメリカは今の状況の中で両方出来ないということで、今までにないような非常に深刻な危機が私たちの前にあるというふうに感じるんですけど。」

こうした中露対アメリカの構図について、小野寺さんは次のようにおっしゃっています。
「まず、中国が言ってみれば世界の中でだんだん孤立し始めていました。」
「ですから、当初はヨーロッパにも(中国に)かなり経済的に近い国もあったと思うんですが、経済でもそれほど中国が魅力的じゃなくなってきた。」
「そして人権の問題がある、安全保障でもどうもこれはってなって、だんだん中国が孤立化してきた。」
「その時に中国がある面で声をかけて、仲間として頼れるのはロシアですので、今回ロシアの立場というのは中国から非常に頼りにされる、これをどううまく政治的に使おうか、そういうことだと思います。」
「中国とロシアはどこまで本当に信頼するかは分かりません。」
「ただ、少なくともお互いに組むことは両方の国にはプラスになるということで、こういう状況を取っているんだと思います。」
「私が一番心配なのは、この2つの国は相当軍事力を持ち、核保有国であり、そして力による現状変更を堂々とやっている国なんです。」
「ですから、この2つの国が自分たちのルールだということでやり始めてくると、どうこれを抑えきるか。」
「アメリカ一国では当然厳しい。」
「ですから今、例えばオーカス(こちらを参照)もそうでありますが、いろいろなかたちの枠組みが出てきている。」
「日本がそこに加わっていかなければ、日本も当事者ですから、これからしっかりやっていく。」
「だけども、そこに加わっていくためには日本も応分の覚悟と負担も必要だと。」
「実はこれを国民の皆さんとしっかり議論をしてやっていくこともこれからの大事な政権の大きな課題だと思います。」
「(櫻井さんがさっきおっしゃったような、現状変更の動き、クリミア半島で起きたようなことですけども、例えば中国が台湾に対してそのような行動を始めた時に、ロシアも同じタイミングで現状変更の動きを別なところでやってきて牽制するという動きはあるのかという問いに対して、)当然、言葉が悪いんですが、“どさくさ紛れ”っていうのがあります。
「結局、どこか一番わっとみんなが盛り上がっているところで、すっと後ろで実は美味しいところを取っていくというのはよくある話ですから、逆に戦術的に言えば、一番戦術の正面を見せておいて、実際は一番大事なところを取っていく。」
「当然ロシアもそこで何かみんな目がそっちにいけば、そこは自分たちがやりたいところをやっていくという、考えていると思いますよ。」
「(ある程度、ロシアの狙いはあるのかという問いに対して、)それはロシアは着々と、例えばクリミアの力による現状変更も含めて、何かの空白があった時に速やかに出ていくじゃないですか。」
「中国も同じですよ。」
「ですから、何らかの空白があった時に、そこにさっと手を出していくということを常に虎視眈々と狙っているということだと思います。」

櫻井さんは次のようにおっしゃっています。
「中露の関係の中でいうと、ロシアに中国が声をかけたにしても、ロシアにとってはものすごく中国が頼りになるんですね。」
「精神的にはプーチンさんは絶対に嫌でしょうけれども、ロシアは経済も振るわないし、国力はどんどん落ちてきていますけども、ロシアの武器輸出は、新しい兵器とかそうしたものが中国にものすごく流れ込んでいるわけですね。」
「2016年から20年の5年間で中国が輸入した武器の77%がロシア製なんですよ。」
「しかもかなり最新鋭のものを出していて、お互いに戦略的な面での協力も一緒にし始めているという意味で、中国とロシアの距離が中々私たちの見えないところでもっともっと密接になっているなということを感じるんですね。」

中露の関係について小野寺さんは次のようにおっしゃっています。
「例えばエネルギーの問題にしても、中国はこれから経済成長する中での必要なエネルギーはロシアからかなりの部分が入ってきていますので、お互いに協力することで得なことは当然ありますから、おっしゃる通りだと思います。」

なお、番組では中国と台湾を巡るアメリカの動きについても取り上げていましたがここでは触れませんが以下のお二人の発言だけご紹介します。
小野寺さんは次のようにおっしゃっています。
「台湾と中国が軍事衝突するかもしれないという可能性については、アメリカの太平洋艦隊の全司令官が明確に6年以内で緊張が高まると言っていますので、そういう意味ではアメリカがどうするかというよりも日本がその時にはどう対応するか、どう備えるか、日本の政治がむしろ試される番が来ていますので、台湾の話はアメリカとの話をすることも大事なんですが、日本が当事者になる可能性があることを私たちはどう備えていくかということ、これが大事だと思います。」

これを受けて、櫻井さんは次のようにおっしゃっています。
「私、本当にそう思うんですよ。」
「今、小野寺さんがおっしゃったことが問題の核心をついていると思うんです。」
「台湾問題は日本問題なんですよ。」
「日本が当事者意識を持たないかぎり、何か起きた時に最も悲劇的な被害を受ける国の一つになると思いますよね。」
「だから、それをどうやって抑止するのか、中国に手を出させないようにするには私たちは今何をすべきかって、本当に今しないといけないんですね。」
「私はさっき岸田さんが自民党の公約を掲げて(総選挙を)闘いましたねと言いましたけども、あの公約の中にはその気概が入っているんですよね。」
「いかなる力による変更、それから侵略を許さないぞと、我が国は我が国で守るという。」
「そして、我が国を守ることによって、結果として台湾を守ることになる。」
「アジアの国も守ることになる。」
「で、地球社会全体に良い影響を及ぼすわけですね。」
「だから本当に自民党政権にしっかり考えて欲しいと思うんですが、・・・」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して見えてきた、日本の国家安全保障上、非常に危惧すべき極めて高い3つのリスクについて以下にまとめてみました。

1. 北朝鮮が新たに開発したと見られるSLBM
(リスク)
・このSLBMは変則的な軌道での飛翔が可能なので、低い弾道で変化されると、地球は丸いので発見しにくい
・10月19日、衆議院選挙告示の日に北朝鮮の東岸の海中を潜航する潜水艦からこのSLBMが発射されたが、今までアメリカもロシアも中国もこのような打ち方をしたということの報告はされていない
・もしこれが実戦配備されれば、日本の全ての地域は撃ち落としにくい弾道ミサイルの的になってしまう
・この潜水艦にもし核弾頭が積まれれば更に日本の脅威になる

(リスク対応策)
・探知能力の向上
・具体的な案としては以下のようなものがある
―コンストレーション衛星という低い高度の衛星を沢山打ち上げて低い高度でも確認出来るようにする
―無人の24時間飛ぶような監視機を飛ばしておいて、低い高度で来たものでも把握出来るようにする
・このSLBMの技術は完全に成功したわけではないようなので、本当にどのような能力を持つかの分析を続ける

2. 衆院選公示日の前日から中国とロシアの軍艦が連携して日本列島をほぼ周回したこと
(リスク)
・中国とロシアの軍艦が5隻ずつ10隻が日本列島をほぼ周回したが、今回の総選挙の時にこのことが全く争点になっていなかった
・衆議院が解散中、国会議員は一介の一国民なので、この空白は安全保障上非常に大きなリスクである
・中国の5隻の中の「101」という新型の艦艇に中国版のトマホークが積まれていたが、その飛行距離は2000kmくらいあり、しかも「101」に積めるミサイルの数はアメリカや日本のものはだいたい90何発しか積めないものを3桁の数を積める

(リスク対応策)
・憲法の議論をする時に緊急事態条項を含めて、実際に何らかの武力攻撃に至る状況の場合に国会として機能するように空白を作らないように検討する
・中国版の3桁の新型トマホークのようなものが一度に飛んできても撃ち落とせる新たな技術を開発するか、他国からそうした兵器を輸入する

3.中国とロシアが急接近
(リスク)
・中国とロシアは相当な軍事力を持ち、核保有国であり、これまで力による現状変更を堂々とやってきた
・この中国とロシアが協力してアメリカに軍事的に対峙した場合、アメリカは2つの国と同時に向き合うだけの戦力を持ち合わせていない
・例えば台湾を中国が侵攻して、同時期にロシアがクリミアに侵攻した場合にアメリカ一国だけでは最悪の場合、見過ごすこともあり得るが、こうした状況は現実味を帯びている
・更に中露によるこうした侵攻が成功を収めれば、今後ともこうした事例が度重なり現実のものとなり得るリスクが高まる

(リスク対応策)
・オーカスのような枠組みを日本も含めた民主主義陣営全体に広げて、中露両国が共同で同時期に台湾やクリミアに侵攻しようと試みても太刀打ち出来ないと諦めてしまうほどの圧倒的な軍事力を民主主義陣営の国々全体として早急に確保する
・更に全体として速やかに機動力を発揮出来るような体制を整備する

なお、中国が台湾を侵攻する可能性について、アメリカの太平洋艦隊の全司令官が明確に6年以内に緊張が高まると明言しており、日本がその時にはどう対応するか、どう備えるかは日本の安全保障上とても大事であると小野寺さんは指摘されております。
また、櫻井さんは「台湾問題は日本問題である」、そして「我が国を守ることによって、結果として台湾を守ることになる、アジアの国も守ることになる、で地球社会全体に良い影響を及ぼす」と指摘されております。

お二人の指摘はまさにその通りだと思います。
日本の国家安全保障の観点からは、台湾がもし中国に侵攻された場合、次は沖縄への侵攻というように他人事では済まされないのです。
中国による南シナ海における一方的な人工島の建設などから、こうした流れは他のアジア諸国についても言えるのです。
中国はこのように“一国撃破”方針を掲げているように、一国ずつ中国の支配下に置くような取り組みをしています。
ロシアも同様のようです。

ここで、国際的にとても大きな問題は、中露ともに軍事費にものを言わせて国際的なルールを一切無視する傾向があるということです。
ですから、今後ともちょっとでも世界各国が隙をみせると、いつ世界中のどこかの小国が侵攻の的になってしまうか分からないというのが現実なのです。

一方、残念ながら、かつて“世界の警察”と言われたアメリカは今や中露、2大軍事国に同時に対峙するほどの軍事力の相対的な優位性は持ち合わせていません。
ですから、このような中露、2大軍事国に対峙するには、繰り返しになりますが中露よりも圧倒的な軍事力を民主主義陣営の国々全体として保有し、いつでも一致団結して対抗出来る体制を整えておくことが中露による他国への侵攻の抑止力となるのです。
ですから、岸田政権には是非こうした体制を速やかに構築すべく、アメリカを始め民主主義陣営の国々に訴え、リーダーシップ発揮していただきたいと思います。

なお、今週、バイデン大統領は中露の動きを意識した対抗策を一歩前進させました。
それは「民主主義サミット」の開催です。(こちらを参照)
以下はこのネット記事の一部です。

アメリカが日本やヨーロッパの首脳などを招いて開いた「民主主義サミット」が閉幕し、バイデン大統領は「民主主義の価値観は国際システムの中心にあると確信している」と述べて成果を強調しました。
12月9日から2日間、オンライン形式で開かれた民主主義サミットにはおよそ110の国や地域の首脳などが招かれました。

中国はこうしたアメリカの動きに対抗して、アメリカの民主主義の弊害について浮き彫りにし、真っ向から論戦を挑んでいます。
こうした米中の論戦は大いに歓迎です。
というのは、こうした論戦がアメリカの唱える民主主義と中国の唱える共産主義の相違を浮き彫りにし、それぞれの良さ、悪さについて世界的に多くの人たちが考えるきっかけになるからです。
こうした論戦によって、両陣営の国々がお互いの良さを取り入れて、改善する動きにつながればと願っています。

 
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