2021年11月30日
アイデアよもやま話 No.5126 賞味期限を延長出来る新容器!
8月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で賞味期限を延長出来る新容器について取り上げていたのでご紹介します。 

スーパーマーケットのイオンスタイル幕張新都心の精肉コーナーを覗くと普段よく見るトレーに入った肉が並べられています。
しかし、鶏肉はトレーを使わない商品になっております。
見慣れた油の容器も紙パックに入っています。
そして無印良品 銀座の売り場(東京・中央区)でもペットボトルのドリンクをアルミ缶に切り替えています。
これまでペットボトルで販売した炭酸飲料の容器が全てアルミ缶に代わっています。
今、売り場が様変わりしています。

容器の変化について、街の人に聞いてみると、多くの人が環境問題への対策として脱プラスチックを上げました。
しかし理由は他にもあります。
トレーを使わない鶏肉を製造している株式会社ウェルファムフーズ(東京・千代田区)事業推進本部の本間文菜さんは次のようにおっしゃっています。
「通常の(トレー)商品は店頭に並べてその日か次の日くらいまでだと思うんですけども、消費期限を2日伸ばせることが出来ました。」
「(その理由について、)人の手にも触れないので鮮度を保つことが出来ているので。」

実は社会問題になっている食品ロス対策になるといいます。
実はスーパーなどでは加工工場から送られてくる業務用パックに入っている肉を従業員がトレーに詰め替えるのが一般的です。
これを工場で真空パックにする方式に変えれば、空気や人の手に触れないためトレーの商品に比べて消費期限は2日から4日にと倍に伸びます。
更にスーパーでの詰め替え作業が減るため人手不足対策にも役立ちます。
メリットばかりに見えますが、なぜ今までやってこなかったのか、その理由について本間文菜さんは次のようにおっしゃっています。
「トレーの方がお肉のプリっと感が見えて、美味しそうに感じられると思うので、それに比べると真空パックだと少し水っぽい見栄えなので、そこが少しデメリットではあるのですが、衛生的なので(コロナ禍の)世の中のニーズに合っていると思います。」

無印良品がペットボトルからアルミ缶に切り替えたのも賞味期限が従来の180日から270日と90日間伸び、食品ロス対策にもなるためです。

油に至っては紙にすることで、なんと賞味期限が1年も延びたといいます。
JIオイルミルズ 油脂事業部の宮崎朋江さんは次のようにおっしゃっています。
「通常の牛乳パックと同じかたちなんですけど、実は構造が全然違います。」

油の品質維持にとって最大の敵は酸化です。
この紙パックは、紙の他に油が染み込むのを防ぐポリエチレンフィルムと酸素の侵入を防ぐバリアフィルムを重ねた5層構造になっています。
油は元々金属缶(1950年頃〜 賞味期限:2年)や一升瓶((1959年頃〜 賞味期限:約2年))で販売されていましたが、利便性を追求する中で浸透したのがプラスチック容器(1975年頃〜賞味期限:1年)です。
軽くて運び易いうえに取っ手が付くなど、持ち易さも加わりました。
しかし、賞味期限は短くなっていったのです。
食品ロスなどの社会問題の解決のため、2年の開発期間を経て今月(8月)からまずは2つの商品の販売を始めます。
宮崎さんは次のようにおっしゃっています。
「紙容器の方がプラスチック容器に比べると作るのに時間がかかる面もありますので、少し割高になってしまうんですが、他の業界を含めて幅広く紙容器が広がっていくのではないかなと思っています。」

脱プラスチックと食品ロス対策、2つの大きな社会問題が生み出す容器の新常識、今後も広がりを見せそうです。
新型コロナウイルスの影響もあって、自宅で料理をする人が増えている中、そういった方が食品のまとめ買いをするケースが多いということで、そういった動きが企業がこうした賞味期限を延ばすことが出来る容器に切り替える動きを後押ししたということでした。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

まず、番組で取り上げていた新しい容器のメリットについて以下にまとめてみました。
・トレーを使わない真空パック方式に変更
消費期限が2日から4日へと2日延長
人手不足対策(スーパーでの詰め替え作業が不要)
・油の容器をプラスチック容器から新開発の紙パックに変更
賞味期限が1年から2年へと1年延長
・ペットボトルのドリンクをアルミ缶に変更
賞味期限が180日から270日へと90日延長

こうしてまとめてみると、現在の食品用の容器にはプラスチックやガラス、アルミ、鉄などいくつかの種類があります。
更にこれらと真空パックなどの技術を組み合わせて商品として提供されているのです。

一方、こうした容器を作るうえで以下の課題があります。
・脱プラスチック
・食品ロス対策(賞味期限や消費期限の延長)
・低コスト
・人手不足対策(原料から商品提供までのプロセスの見直し)

このように現在、自社で取り扱っている商品の課題を整理することによって新たな商品開発につながる可能性が広がるわけです。

なお、こうした課題をバランスよく解決し、最終的にはCO2排出量ゼロを実現し、“持続可能な社会”の実現を図ることが食品用の容器に原料から商品提供までのプロセスに関わる業界に求められているのです。
そして、こうした社会を構成する個々のプロセス全体のCO2排出量ゼロを実現することが“持続可能な社会”の実現につながるのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています